実践を踏まえた災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の質の向上、構成員、受援者の技能維持に向けた研究

文献情報

文献番号
202227005A
報告書区分
総括
研究課題名
実践を踏まえた災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の質の向上、構成員、受援者の技能維持に向けた研究
課題番号
21LA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
服部 希世子(熊本県人吉保健所)
研究分担者(所属機関)
  • 木脇 弘二(熊本県八代保健所)
  • 藤内 修二(大分県福祉保健部)
  • 内田 勝彦(大分県東部保健所)
  • 市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
  • 緒方 敬子(熊本県天草保健所)
  • 小倉 憲一(富山県厚生部)
  • 武智 浩之(群馬県利根沼田保健福祉事務所)
  • 西田 敏秀(宮崎県高鍋保健所)
  • 藤田 利枝(長崎県県央保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和4年3月に一部改正されたDHEAT活動要領では、新たに保健医療福祉調整本部における統括DHEATの配置が明記され、本部の機能強化および被災保健所との連携強化が期待されている。さらにDHEAT事務局が設置され、全国DHEAT協議会に加え地方ブロックDHEAT協議会も設置する方向性が示されるなど、現実的な連携体制の構築に向けて動き始めた。頻発化、激甚化する災害に対し、全国的な連携体制を実効性のあるものにし、より効果的なDHEAT活動につなげ、災害時に支援側と受援側が協働し迅速かつ適切な保健医療福祉活動が展開できることを目的とする。
研究方法
①運用体制、②マネジメント業務、③情報支援、④人材育成・受援体制構築、の4グループ体制で研究を行う。研究成果を全国的な体制整備へ還元できるよう、全国衛生部長会、全国保健所長会から研究分担者として加わっていただいた。研究期間は令和3年度・4年度の2年間である。今年度は、昨年度の研究成果も踏まえ、4グループ合同で、モデル的な地方ブロックDHEAT連携訓練およびDMAT実働訓練と連携したDHEAT出動訓練に取り組む。これら訓練の課題も含め、マネジメント業務班が中心となってDHEAT活動ハンドブックの改訂を行う。
結果と考察
今年度は、昨年度の研究成果も踏まえ、4グループ合同で、モデル的な地方ブロックDHEAT連携訓練(九州ブロックDHEAT連携訓練)およびDMAT実働訓練と連携したDHEAT出動訓練(九州・沖縄ブロックDMAT実働訓練(DHEAT編))に取り組み、訓練のなかで統括DHEAT等新たなDHEAT運用体制を導入し検証した。これら訓練の課題も含め、マネジメント業務班が中心となってDHEAT活動ハンドブックの改訂を行った。なお、人材育成・受援体制班で今年度予定していた福祉支援活動に係るアンケート調査は、予算およびコロナ対応のため計画中止とせざるを得なかった。
1)九州ブロックにおけるDHEAT連携体制と行政の対応体制検討のための訓練形式による実証研究事業(九州ブロックDHEAT連携訓練):九州地方をモデルとし、被災想定から複数のDHEATの派遣が要請されるシナリオに基づくロールプレイング形式の訓練を、SIP研究班(研究代表者 市川学)との共同で企画、実施した。訓練後のアンケート調査では、統括DHEATの役割の明確化、DHEAT事務局の役割、本庁本部と保健所本部の連携や派遣されたDHEAT間同士の連携などの課題が抽出された。また、D24Hを用いた避難所アセスメント訓練も実施し、DHEATによる情報収集・整理分析の支援の有用性や、D24H、保健所現状報告システム(くものいと)等のITツールの利便性が確認された。
2)九州・沖縄ブロックDMAT実働訓練と連携したDHEAT出動訓練(九州・沖縄ブロックDMAT実働訓練(DHEAT編)):令和4年度厚労科研「DHEAT及びIHEAT等の役割の検討と連携体制の再構築に向けた研究」(研究代表者 市川学)の協力事業として実施した。本研究班の分担者・協力者合計6名がDHEATとして保健医療福祉調整本部および被災保健所へ出動した。DMATとの連携体制の構築、支援者としての技術力、本庁DHEATと保健所DHEATの連携や具体的な役割の明確化等、新たな課題を見出すことができた。
3)DHEAT活動ハンドブックの改訂:今年度は中長期各論のタイムランを整理した。DHEAT活動検証や各都道府県等災害マニュアルの整理等昨年度までの研究内容、また本年度行った訓練から抽出された課題も踏まえ、実践的な内容を強化し、「DHEAT活動ハンドブック(第2版)」を作成した。
結論
モデル的な地方ブロックDHEAT連携訓練から、新たなDHEAT運用体制やD24H等の情報支援システムに関する課題を整理することができた。DMAT実働訓練と連携したDHEAT出動訓練では、机上型訓練では得られない課題が多く上げられた。今年度実施した2つの訓練の課題も踏まえ、DHEAT活動ハンドブックの改訂を行った。

公開日・更新日

公開日
2024-04-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202227005B
報告書区分
総合
研究課題名
実践を踏まえた災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の質の向上、構成員、受援者の技能維持に向けた研究
課題番号
21LA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
服部 希世子(熊本県人吉保健所)
研究分担者(所属機関)
  • 木脇 弘二(熊本県八代保健所)
  • 藤内 修二(大分県福祉保健部)
  • 内田 勝彦(大分県東部保健所)
  • 市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
  • 緒方 敬子(熊本県天草保健所)
  • 小倉 憲一(富山県厚生部)
  • 武智 浩之(群馬県利根沼田保健福祉事務所)
  • 西田 敏秀(宮崎県高鍋保健所)
  • 藤田 利枝(長崎県県央保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DHEATの制度化と実災害における活動経験に伴い、被災地における災害時保健医療福祉活動のマネジメント支援の必要性が広く認識されてきている。実災害におけるDHEATの活動は、状況に応じた本部運営支援、保健医療調整本部・保健所・市町村間の連携支援や支援チームとの協働など確実に進歩しており、DHEAT養成研修や各自治体で行われている研修の成果が表れている。しかし、活動経験を重ねるにつれてDHEAT活動要領との間にギャップが認められ、より迅速効率的なDHEAT運用体制の構築が求められている。また、急性期から中長期にかけて保健医療調整本部・保健所・市町村の3層いずれでもマネジメント支援が可能となるような、過去の災害における保健医療福祉活動のエビデンスに基づくDHEAT活動手法の開発やDHEAT活動に即した情報支援の在り方について検討を行い、DHEAT活動要領、DHEAT活動ハンドブックや研修へ反映させ、DHEAT活動の質の向上に資することを目的とする。
研究方法
①運用体制、②マネジメント業務、③情報支援、④人材育成・受援体制構築、の4グループ体制で研究代表者と研究分担者が協同して研究を行う。研究成果を全国的な体制整備へ還元できるよう、全国衛生部長会、全国保健所長会から研究分担者として加わっていただいている。コロナ禍を踏まえ、各グループともウェブ会議を活用し研究を進めている。研究期間は令和3年度から2年間である。
結果と考察
①運用体制班:令和3年度は新たなDHEAT運用体制(①都道府県・指定都市におけるDHEAT活動体制の強化、②地域ブロックDHEAT協議会の設置、③全国DHEAT協議会の設置)について具体的な運用方法を提言し、全国衛生部長会、全国保健所長会、厚生労働省と協議を行い、DHEAT活動要領一部改正に反映された。令和4年度は、モデル的な地方ブロックDHEAT連携訓練(九州ブロックDHEAT連携訓練)や九州・沖縄ブロックDMAT実働訓練と連携したDHEAT出動訓練(九州・沖縄ブロックDMAT実働訓練(DHEAT編))を実施し、訓練内容として統括DHEAT等新たな運用体制を導入し、今後の運用体制構築の推進に係る課題を抽出、整理した。
②マネジメント業務班:令和3年度は過去の災害における保健医療調整本部でのDHEAT活動の整理、中長期におけるマネジメント支援活動の充実について各都道府県災害マニュアル等の整理、タイムライン等の作成を行った。活動検証や九州ブロックDHEAT連携訓練等の課題も踏まえ、令和5年3月にDHEAT活動ハンドブックを改訂した。
③情報支援班:令和3年度は、優先的に介入すべき避難所の検討を行うため、避難所環境と避難者の健康課題について関連する文献を整理し、また施設・避難所等ラピッドアセスメントシートおよび災害時保健医療福祉活動支援システム(D24H)と連携した、DHEAT活動に即した避難所情報収集方法等の検討を行い、DHEAT活動ハンドブック改訂に反映した。令和4年度は、九州ブロックDHEAT連携訓練および九州沖縄ブロックDMAT実働訓練(DHEAT編)をとおして、D24Hを活用し避難所アセスメント等の訓練を実施、D24Hの稼働に向けた課題整理を行った。
④人材育成・受援体制班:令和3年度は災害時福祉活動に係る指揮系統、災害派遣福祉チームの理解や支援・受援の課題把握のため、アンケート調査を企画した。その後、アンケート調査はコロナ禍のため中止せざるを得なかったが、令和4年度は九州ブロックDHEAT連携訓練の準備、実施をとおして、支援側と受援側が共に行う訓練モデルの作成および人材育成に係る課題の整理を行った。
結論
令和3年度は、統括DHEATの配置、全国DHEAT協議会、地方ブロックDHEAT協議会等、新たなDHEAT運用体制に係る提言を行い、令和4年3月DHEAT活動要領一部改正に反映された。また、避難所情報収集及び分析評価の手法について検討し、これまでのDHEAT活動や災害対応経験を整理するなどDHEAT活動ハンドブックの改訂作業を進めた。令和4年度は、九州ブロックDHEAT連携訓練および九州沖縄ブロックDMAT実働訓練(DHEAT編)を実施し、訓練のなかで新たなDHEAT運用体制を導入、課題を整理した。訓練から抽出された課題も踏まえ、DHEAT活動ハンドブックを改訂した。

公開日・更新日

公開日
2024-04-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202227005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究班の成果により、全国的なDHEAT連携体制の構築が推進される。また、モデル的な地方ブロックDHEAT連携訓練の内容や資料は、今後、DHEAT養成研修の一環として全国展開が予定されている地方ブロック訓練内容や教材の検討に活用可能である。また、令和4年度の実績を踏まえ、今後もDMAT実働訓練とのDHEAT連携訓練の計画が進められており、各地方ブロックにおけるDMATとDHEATとの連携強化が期待できる。
臨床的観点からの成果
特に臨床的観点からの成果はない。
ガイドライン等の開発
活動検証等をもとに改訂したDHEAT活動ハンドブック(第2版)は、都道府県、保健所設置市、特別区や全国の保健所に配布し、また全国保健所長会および厚生労働省のホームページで公開された。平時におけるDHEAT体制整備および災害時のDHEAT活動での活用が期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究班の研究結果をもとに、DHEAT活動要領の一部改正が行われ、今後、全国的なDHEAT連携体制の構築が進められていく。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
2024-06-21

収支報告書

文献番号
202227005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 60,237円
人件費・謝金 169,200円
旅費 1,709,378円
その他 4,301,185円
間接経費 1,760,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-02-08
更新日
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