原発不明がんの診断・効果的治療の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200925029A
報告書区分
総括
研究課題名
原発不明がんの診断・効果的治療の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-029
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中川 和彦(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 和人(近畿大学医学部 ゲノム生物学)
  • 岡本 勇(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
  • 河野 勤(立がんセンター中央病院第1領域外来部)
  • 倉田 宝保(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
  • 松本 光史(兵庫県立がんセンター)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科)
  • 向井 博文(国立がんセンター東病院)
  • 三輪 啓介(埼玉医科大学国際医療センター腫瘍内科)
  • 高橋 信(東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野)
  • 山本 信之(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
  • 山中 康弘(栃木県立がんセンター 化学療法科)
  • 瀧口 裕一(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
  • 竹内 文乃(東京大学大学院情報学環・学際情報学府)
  • 南 博信(神戸大学医学部附属病院、腫瘍内科)
  • 高橋 俊二(財団法人癌研究会有明病院化学療法科)
  • 洪 泰浩(静岡県立静岡がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
18,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DNA発現解析により原発巣の推定を行う新しい治療戦略の画一的な従来の原発不明がん治療戦略に対する臨床的有用性を問う第III相比較試験の実施妥当性を無作為化臨床第II相試験にて評価する。
研究方法
臨床試験デザインに関しては参加施設の合意形成が重要である。これまでの原発不明癌を対象にした臨床試験(Single arm phase II studyばかりであるが)において、プラチナ製剤を含む化学療法での生存期間中央値は6-10か月と報告されている。これらのデータより算出した1年生存率35%をコントロール群の1年生存率と仮定する。それに対して今回、DNAチップを用いて原発巣を推定することでより個々の症例において標準的治療法を受ける可能性が高いものと推定し、1年生存率を50%と仮定した。βエラーを0.2、αエラーを0.2とすると登録期間3年、追跡期間2年とした場合、各群57例必要となる。逸脱例も考慮してtotal 120例必要となる。
結果と考察
2008年11月より症例登録が開始され、2010年3月31日現在、41症例の症例登録を得ている。DNA発現解析実施施設に検体が到着してから推定原発巣の結果を通知するまでの期間中央値は7日で、次第に期間短縮化が可能となりつつある。また、抽出RNAの収量とその質については近畿大学医学部ゲノム生物学教室において順次モニターされており、これまでのところDNA発現解析をする上で問題はないと判断されている。つまり、原発不明癌患者より腫瘍検体を採取し、解析機関への送付、DNA発現解析の実施、DNA発現解析結果に基づく原発巣の推定、原発巣推定結果の報告、報告結果に基づく無作為化割付、割付結果の参加施設への報告、割付結果に基づく治療の実施という本臨床試験で計画された一連の複雑な実施手続きの実施可能性が明らかとなった。また、一年間で約30症例の登録が得られたことは、今後3年間以内での目標症例数120例の登録可能性を示すことができた。
結論
原発不明がんに対する現行の画一的な治療戦略から、遺伝子発現解析による原発巣の推定を通して、原発不明がん患者に対する個別化治療という新しい治療戦略への転換を促すことが期待される。また、原発不明がん患者の遺伝子発現パターンを知ることにより、原発不明がんについての新しい生物学的理解が得られる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200925029B
報告書区分
総合
研究課題名
原発不明がんの診断・効果的治療の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-029
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中川 和彦(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 和人(近畿大学医学部 ゲノム生物学教室)
  • 岡本 勇(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 )
  • 河野 勤(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
  • 倉田 宝保(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 )
  • 松本 光史(兵庫県立がんセンター 腫瘍内科)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科)
  • 向井 博文(国立がんセンター東病院)
  • 三輪 啓介(埼玉医科大学 国際医療センター 腫瘍科学)
  • 高橋 信(東北大学 加齢医学研究所)
  • 山本 信之(静岡がんセンター 呼吸器内科)
  • 山中 康弘(栃木県立がんセンター 薬物療法科)
  • 瀧口 裕一(千葉大学医学部 呼吸器内科)
  • 竹内 文乃(東京大学大学院情報学環・学際情報学府)
  • 南 博信(神戸大学医学部附属病院 腫瘍内科)
  • 高橋 俊二(財団法人癌研究会有明病院化学療法科)
  • 洪 泰浩(静岡がんセンター 化学療法科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DNA発現解析により原発巣の推定を行う新しい治療戦略の画一的な従来の原発不明がん治療戦略に対する臨床的有用性を問う第III相比較試験の実施妥当性を無作為化臨床第II相試験にて評価する。
研究方法
臨床試験デザインに関しては参加施設の合意形成が重要である。これまでの原発不明癌を対象にした臨床試験(Single arm phase II studyばかりであるが)において、プラチナ製剤を含む化学療法での生存期間中央値は6-10か月と報告されている。これらのデータより算出した1年生存率35%をコントロール群の1年生存率と仮定する。それに対して今回、DNAチップを用いて原発巣を推定することでより個々の症例において標準的治療法を受ける可能性が高いものと推定し、1年生存率を50%と仮定した。βエラーを0.2、αエラーを0.2とすると登録期間3年、追跡期間2年とした場合、各群57例必要となる。逸脱例も考慮してtotal 120例必要となる。
結果と考察
2008年11月より症例登録が開始され、2010年3月31日現在、41症例の症例登録を得ている。DNA発現解析実施施設に検体が到着してから推定原発巣の結果を通知するまでの期間中央値は7日で、次第に期間短縮化が可能となりつつある。また、抽出RNAの収量とその質については近畿大学医学部ゲノム生物学教室において順次モニターされており、これまでのところDNA発現解析をする上で問題はないと判断されている。つまり、原発不明癌患者より腫瘍検体を採取し、解析機関への送付、DNA発現解析の実施、DNA発現解析結果に基づく原発巣の推定、原発巣推定結果の報告、報告結果に基づく無作為化割付、割付結果の参加施設への報告、割付結果に基づく治療の実施という本臨床試験で計画された一連の複雑な実施手続きの実施可能性が明らかとなった。また、一年間で約30症例の登録が得られたことは、今後3年間以内での目標症例数120例の登録可能性を示すことができた。
結論
原発不明がんに対する現行の画一的な治療戦略から、遺伝子発現解析による原発巣の推定を通して、原発不明がん患者に対する個別化治療という新しい治療戦略への転換を促すことが期待される。また、原発不明がん患者の遺伝子発現パターンを知ることにより、原発不明がんについての新しい生物学的理解が得られる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200925029C