再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200925021A
報告書区分
総括
研究課題名
再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森谷 宜皓(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院 消化器外科)
  • 松井 孝至(栃木県立がんセンター 外科)
  • 長谷 和生(防衛医科大学校 外科)
  • 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター 消化器外科)
  • 小西 文雄(自治医科大学附属さいたま医療センター 消化器外科)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院 大腸骨盤外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンターセンター 消化器外科)
  • 正木 忠彦(杏林大学医学部附属病院 消化器・一般外科)
  • 青木 達哉(東京医科大学病院 消化器・小児外科)
  • 高橋 慶一(東京都立駒込病院 外科・大腸外科)
  • 長谷川 博俊(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 消化器外科)
  • 斉田 芳久(東邦大学医療センター大橋病院 外科・大腸外科)
  • 赤池 信(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 渡邊 昌彦(北里大学医学部、外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター 消化器内視鏡)
  • 藤井 正一(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター 下部消化管外科)
  • 瀧井 康公(新潟県立がんセンター新潟病院 大腸外科)
  • 伴登 宏行(石川県立中央病院 消化器外科)
  • 齊藤 修治(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 平井 孝(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
  • 山口 高史(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 大腸外科)
  • 大植 雅之(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 消化器外科・大腸外科)
  • 福永 睦(市立堺病院 大腸外科)
  • 加藤 健志(箕面市立病院 下部消化管)
  • 村田 幸平(市立吹田市民病院 外科)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合病院 外科)
  • 岡島 正純(国立大学法人広島大学大学院医歯薬学総合研究科 内視鏡外科学講座)
  • 久保 義郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 消化器外科)
  • 北野 正剛(国立大学法人大分大学医学部 第1外科)
  • 島田 安博(国立がんセンター中央病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 Stage Ⅲ治癒切除大腸癌に対する術後補助化学療法の確立を目指して、大規模比較臨床試験を遂行し、国内医療環境に適応した標準治療を確立する。JCOG0205試験の追跡および新規臨床試験の計画を行う。
研究方法
 JCOG0205「Stage Ⅲの治癒切除大腸癌に対する術後補助化学療法としての5-FU+l-LV静注併用療法とUFT+LV錠経口併用療法とのランダム化第Ⅲ相比較臨床試験」研究計画書に従い、臨床試験を実施した。Disease-free survivalを主評価項目、Overall survivalと有害事象発生割合を副評価項目とした非劣性デザインで、静注群と経口群の2群比較である。
平成15年2月17日から平成18年11月9日に1,101例の症例登録が完了し、現在全例の抗がん剤治療は終了し、再発・生存の追跡調査中である。
 次期臨床試験としてJCOG0910試験を計画立案する。
結果と考察
 JCOG0205試験は、平成15年2月17日から平成18年11月9日に1,101例の症例登録が完了し、現在全例の抗がん剤治療は終了し、再発・生存の追跡調査中である。平成22年3月末の2009年度後期モニタリングレポートにて報告された試験成績は良好であり、国内での標準治療の確立に寄与できる。2009年12月4日現在、無病生存割合は3年78.2%、5年73.6%、全生存割合は3年94.2%、5年87.5%であり、海外試験と比較しても優れた成績である。2011年11月が追跡終了であり、その後に最終報告予定である。治療完遂率や有害事象発生割合についても臨床上許容できる範囲であり、臨床導入が可能と考えられる。今後は二次治療の発生頻度の追跡など、長期データを追跡する予定である。
 次期研究として、国内手術成績が良好なことから、対費用効果に配慮し、経口抗がん剤同士のJCOG0910(CAPS)試験計画書を完成し症例登録を開始した。さらに再発高危険群を抽出して治療法の個別化を目指すことも可能である、
 本試験成績は、経口抗がん剤の術後補助療法での位置づけを明確にすることができる。

結論
 JCOG0205試験では、国内外科手術+経口抗がん剤による術後補助療法で優れた治療成績が実現できることが確認された。さらに、JCOG0910試験により、経口剤の最適薬剤の選択を目指すことが可能である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200925021B
報告書区分
総合
研究課題名
再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森谷 宜皓(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院 消化器外科)
  • 固武 健二郎(栃木県立がんセンター 外科)
  • 松井 孝至(栃木県立がんセンター 外科)
  • 澤田 俊夫(群馬県立がんセンター 消化器外科)
  • 鮫島 伸一(群馬県立がんセンター 消化器外科)
  • 長谷 和生(防衛医科大学校 外科)
  • 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター 消化器外科)
  • 小西 文雄(自治医科大学附属 さいたま医療センター 消化器外科)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院 大腸骨盤外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター 消化器外科)
  • 正木 忠彦(杏林大学医学部附属病院 消化器・一般外科)
  • 青木 達哉(東京医科大学病院 消化器・小児外科)
  • 高橋 慶一(東京都立駒込病院 外科 大腸外科)
  • 長谷川 博俊(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 消化器外科)
  • 斉田 芳久(東邦大学医療センター大橋病院 外科)
  • 赤池 信(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 渡邊 昌彦(北里大学医学部 外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)
  • 藤井 正一(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター 下部消化管外科)
  • 瀧井 康公(新潟県立がんセンター新潟病院 大腸外科)
  • 山田 哲司(石川県立中央病院 消化器外科)
  • 伴登 宏行(石川県立中央病院 消化器外科)
  • 石井 正之(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 齊藤 修治(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 加藤 知行(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
  • 平井 孝(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
  • 山口 高史(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 外科)
  • 大植 雅之(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 福永 睦(市立堺病院 外科)
  • 加藤 健志(箕面市立病院、下部消化管)
  • 村田 幸平(市立吹田市民病院 外科)
  • 岡村 修(関西労災病院 消化器外科)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合病院 外科)
  • 岡島 正純(国立大学法人広島大学大学院医歯薬学総合研究科 内視鏡外科学講座)
  • 久保 義郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 消化器外科)
  • 北野 正剛(国立大学法人大分大学医学部 第1外科)
  • 島田 安博(国立がんセンター中央病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 Stage Ⅲ治癒切除大腸癌に対する術後補助化学療法の確立を目指して、大規模比較臨床試験を遂行し、国内医療環境に適応した標準治療を確立する。
研究方法
 JCOG0205「Stage Ⅲの治癒切除大腸癌に対する術後補助化学療法としての5-FU+l-LV静注併用療法とUFT+LV錠経口併用療法とのランダム化第Ⅲ相比較臨床試験」研究計画書に従い、StageⅢ大腸がん術後患者を対象とし、無再発生存割合を主評価項目、全生存割合と有害事象発生割合を副評価項目とした非劣性デザインで、以下の抗がん剤治療群を約6ヶ月間実施するランダム化比較試験を実施する。5FU+レボホリナート(l-LV)静注併用療法:5FU 500mg/m2,レボホリナート250mg/m2を週1回、6週連続、2週休薬を1コースとして、3コース繰り返す。UFT+ロイコボリン(LV)錠経口併用療法:UFT 300mg/m2/日,ロイコボリン75mg/日 分3,28日間内服、7日間休薬を1コースとして、5コース繰り返す。予定登録症例数は、1,100例である。また、平成21年度は次期RCTとしてJCOG0910試験のプロトコールを完成した。倫理面の配慮はJCOG臨床試験審査委員会と各研究参加施設の倫理審査委員会で承認された説明同意文書を使用する。
結果と考察
 JCOG0205は平成15年2月17日から平成18年11月9日に1,101例の症例登録が完了し、現在全例の抗がん剤治療は終了し、再発・生存の追跡調査中である。2009年12月4日現在の成績を示す。無病生存割合は3年78.2%、5年73.6%、全生存割合は3年94.2%、5年87.5%であり、海外試験と比較し優れた成績である。海外MOSAIC試験の成績(3年無再発生存割合 73%)とほぼ同様であり、国内大腸癌手術と経口抗がん剤による術後補助療法により、海外での標準治療と同等の成績が実現できる可能性を示した。オキサリプラチンを補助療法に使用せずに転移、再発時まで温存出来ることは治療戦略全体を計画する上でも大きな利点となる。2011年11月追跡終了であり、最終報告予定である。
結論
 国内における大腸がん術後補助療法の標準治療確立を目指して多施設共同臨床試験JCOG0205を完遂し、追跡調査を継続している。また、次期術後補助療法の比較試験としてJCOG0910(CAPS)試験プロトコールを完成し、症例登録を開始した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200925021C