新たな形態の医療機器等をより安全かつ有効に使用するための市販後安全対策のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
202225035A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな形態の医療機器等をより安全かつ有効に使用するための市販後安全対策のあり方に関する研究
課題番号
21KC2007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
宮島 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
  • 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、科学技術の発展に伴い、IoT医療機器を含む製品のほか、他社製品を組合せて使用する可能性のある医療機器等、新しい形態の医療機器が医療現場に導入されつつある。これらの医療機器では、サイバーセキュリティや、他社製品組合せ使用時の留意点等、市販後安全対策に関する新たな課題が存在する。また、再生医療等製品については、品質のばらつきや少ない治験症例数に起因する想定外の不具合の発生等、その特性を踏まえた市販後安全対策を構築する必要がある。
研究方法
本年度は、以下の4課題について研究を行った。
結果と考察
1) 他社製ペースメーカ/リード組合せ使用時のMRI検査に及ぼす影響評価と安全対策
令和4年度の実証試験では、MRIモードに設定したペースメーカを、同社または他社のリードを接続した状態で、ポリアクリルアミドゲルを充填したファントム内に患者における3D配置を参考に配置し、MR装置(1.5T)による発熱試験を行った。ISO TS 10974及びASTM F2182等に準拠した試験により、各測定ポイントにおいて温度の上昇が観察された。温度上昇に対する統計解析の結果、同社と他社組合せ間で有意差は認められなかった。今後、遺残リードを想定した試験を実施し、発熱に関するデータの収集を進める。これまでに実施した調査研究、実証試験の結果を踏まえ、3学会では合同ステートメント改訂に向けた検討を開始した。
2) 誤接続防止コネクタの国内導入に係る留意点と安全対策
令和4年度は、規制当局、関連団体と連携して検討班を設立し、製造販売業者及び医療機関を対象に、在庫管理や施設内における情報共有体制の実態等をはじめとする誤接続防止コネクタ切替え時の状況について予備調査を実施すると共に、アンケート調査に必要な項目を検討、整理した。来年度は、神経麻酔分野のコネクタの切替えの実態等についてのアンケート調査を実施し、その結果を検討班で整理して安全対策に関する課題を抽出し、新規格コネクタへの適切な切替えを確保するために必要な留意点等を整理して提言に取りまとめる。
3) 再生医療等製品の特性等を踏まえた市販後安全対策及び再生医療等製品の臨床情報に基づく妥当性検証
再生医療等製品のリスク管理計画(RMP)については、令和3年度に抽出した再生医療等製品RMP指針の必要性や指針策定に係る現状の課題と留意点を踏まえて、令和4年度は医薬品/医療機器等のRMP指針における考え方を参考にして再生医療等製品RMP指針素案のたたき台を作成した。検討委員会にて本指針の位置づけや適用範囲等を中心に議論を行い、その方針を基に規制当局とも協議してRMP指針素案のさらなる改訂を進めた。一方、新規モダリティ製品が数多く登場する再生医療等製品を安全かつ有効に使用するためには、分かりやすい添付文書の構成が不可欠である。「再生医療等製品の電子化された添付文書の記載要領」等の改訂に向けて、産学官メンバーで構成される検討委員会を立ち上げた。まず現行の記載要領、細則、及び使用上の注意の記載要領について、の3文書に関して課題と想定される点を抽出し、その対応方針について議論を行い、改訂の方向性を決定した。特に医薬品に関する記載要領との比較から、その特徴的な記載方法の導入可否を検討した。これら班会議での議論を受けて、改訂素案を作成した。令和5年度は、改訂案を取りまとめ、パブリックコメント募集を行った後、さらにその意見を受けての最終案の作成を行う予定である。
4)医療機器サイバーセキュリティの市販後安全対策に関する研究
本研究では、産官学連携の下に検討班(WG)を設立し、医療機器サイバーセキュリティ(CS)関連の不具合報告事例、海外の規制状況について調査を進めると共に、医療機器CSに関する不具合報告の基本的考え方について検討を行った。医療機器CSの不具合報告事例については、一般社団法人 日本医療機器産業連合会、製造販売後調査委員会CS不具合報告サブWGと連携し、海外における不具合事例、脆弱性に関する事例等についての調査結果が共有されたと共に、国立衛研、検討委員によっても調査された。これまでに患者に健康被害があった実例はなく、CSにおいて特化した不具合の考え方はないが、不具合及び脆弱性の情報共有体制が国毎に異なると共に、当該体制構築が重要であることが判明した。個別事例を踏まえ、一般化して提示できる不具合報告事例の整理を進めている。令和5年度は、海外の規制状況調査を行い、各国でのCSに関連した医療機器の不具合等報告制度、関連団体との情報共有状況、その他情報収集体制についての調査を進め、文書案をとりまとめる。
結論
4課題ともに、最終年度の文書案作成に向け、研究計画に沿って、それぞれ実証試験、調査及び検討班会議等が順調に実施された。

公開日・更新日

公開日
2023-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202225035Z