日中間におけるがんの予防・検診・診断・治療の向上のための調査研究

文献情報

文献番号
200924053A
報告書区分
総括
研究課題名
日中間におけるがんの予防・検診・診断・治療の向上のための調査研究
課題番号
H21-3次がん・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
井上 真奈美(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 友孝(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部)
  • 片野田 耕太(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部)
  • 林 櫻松 (リン インソン)(愛知医科大学医学部 公衆衛生学講座)
  • 田中 政宏(大阪府立成人病センター がん予防情報センター 企画調査課)
  • 戸塚 ゆ加里(国立がんセンター研究所 がん予防基礎研究プロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
24,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年に厚生労働省と中国衛生部間において、衛生及び医学科学に関する協力覚書が締結され、この中で、がんは、優先領域として位置づけられ、日中間の研究連携を促進することが奨励されている。これを受けて、本研究は、日中間におけるがん統計等のがん対策に必要な基礎データの相互比較・分析を行うとともに、がんの要因探索のための研究を展開していく基盤となる、両国の作業チームの編成と情報収集、日中間研究連携の具体的活動計画の策定、両国間の専門家の交流やがん予防対策研究に関するシンポジウムの開催などを調整、実現することを目的とする。
研究方法
本年度は、がん疫学予防分野を軸に、日本側作業チームを編成し、1)疫学・予防研究、2)がん統計、3)たばこ対策、4)がん関連感染症、5)環境発がん物質等に関連する各分野について、関係出版物やウェブサイト等の利用可能資料や科学専門誌の文献検索、及び日中専門家によるワークショップを開催し、情報収集を進め、研究連携の可能性について検討した。
結果と考察
疫学研究の現状としては、中国では高危険集団において食道・子宮頸がんの早期発見に関する研究や栄養改善による介入研究等を展開している一方、大規模なコホート研究は相対的に少なかった。がん予防研究については、人口寄与割合の推定が両国において進行中であり、方法の標準化や比較といった研究連携が可能であることを確認した。また、がん罹患データを共有して解析し、欧米とは異なり日中に共通する出生コホート別リスクパターンを示唆する結果を得た。さらに喫煙については、男性喫煙率が高い、製造販売が国の管理下に置かれているなど共通の特徴を確認した。感染症としては、B型肝炎が中国では最も重要な肝がんのリスク要因であるが、予防接種により予防が進んでおり、今後C型肝炎対策に移行していくことが示唆された。中国ではHCV感染についての疫学的研究自体が希少であり、研究の蓄積の多いわが国との研究連携を導いていくことが重要であることを確認した。日中に共通した環境発がん物質の曝露レベルの評価等を実施したが、ヒト発がんへの関与に関しては、日中間の研究連携が不可欠であることが示唆された。
結論
がん予防・対策に関して検討した各分野について、研究連携の可能な課題が明らかとなった。来年度以降、各分野において具体的な研究テーマを設定し、適時適切な日中研究連携を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
-