新しい内視鏡診断機器の臨床への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する調査研究

文献情報

文献番号
200924048A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい内視鏡診断機器の臨床への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する調査研究
課題番号
H21-3次がん・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 豊(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 哲也(獨協医科大学 医療情報センター(消化器内視鏡センター))
  • 関口 隆三(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 武藤 学(京都大学大学院医学研究科 内科学消化器内科学講座・消化器病学(消化器内科学講座))
  • 角川 康夫(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 検診開発研究部)
  • 吉永 繁高(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)
  • 木戸 尚治(山口大学大学院医学系研究科 応用医工学系学域医療支援工学分野画像支援診断工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最新の内視鏡診断装置の診断能の検証ならびに既存の装置の改良などから,効率的に消化管癌を診断するための新しい内視鏡診断法の開発.
研究方法
1)画像強調内視鏡:胃癌診断における狭帯域分光内視鏡(NBI)の有用性に関する多施設ランダム化試験(RCT)を行う.NBIおよび自家蛍光内視鏡(AFI)の,大腸腫瘍検出の効率化に対する有用性を多施設RCTで明らかにする. 2)カプセル内視鏡:カプセル内視鏡による食道・胃癌検診を目的に,新しい検査法を考案する.大腸カプセル内視鏡の有用性を日本で初めて評価する.本研究に先立ち多施設パイロット研究を行う. 3)超音波検査:超音波内視鏡(EUS)への応用を目的に,消化管癌の描出能について検討する. 4)EUS-FNA:EUS下穿刺吸引細胞・組織診(EUS-FNA)の膵腫瘍に対する有用性を検討する. 5)画像自動解析:内視鏡診断客観化のため,大腸NBI画像のテクスチャ特徴量より組織分類を行う.
結果と考察
1)画像強調内視鏡:多施設RCTのエントリー(胃1100例・大腸800例)を終了し解析中. 2)カプセル内視鏡:全小腸の観察が92%で可能で,食道・胃病変も判定可能であった.大腸Pilot研究の結果,負担の少ない腸管前処置方法にて良好な洗浄度が得られた. 3)超音波検査:胃癌に対し高周波プローブを用いることで原発巣同定可能であり,造影による血行動態の描出も可能であった. 4)EUS-FNA:EUS-FNAに対する遡及的検討で,正診率97.6%,重篤な合併症(-).多施設前向き試験のプロトコールが完成した. 5)画像自動解析:治療方針の観点からNBI画像を3クラスに分類した結果,85%という高い識別率を得た.
結論
1)画像強調内視鏡の有用性をRCTにより明らかにすることで,効率的な消化管癌スクリーニング体系を構築でき,がん死抑制・コスト削減につながる. 2)カプセル内視鏡による消化管癌検診が可能となれば,被験者の負担も軽く,癌検診の受容性が向上することが期待される. 3)三次元表示・造影超音波などの新技術をEUSに導入することで消化管EUS診断能が飛躍的に向上する. 4)EUS-FNAの遡及的成績は良好であり,多施設前向き検討を行うことは重要である. 5)内視鏡NBI画像のコンピューター画像解析にて高い識別率が得られ,内視鏡診断学の普及・均霑化に有用である.

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
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