「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
202224034A
報告書区分
総括
研究課題名
「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究
課題番号
21KA2002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 種村 菜奈枝(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
  • 鎌尾 まや(神戸薬科大学 エクステンションセンター)
  • 荒木 通啓(医薬基盤・健康・栄養研究所 AI栄養PJ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
13,411,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康食品の利用による健康被害が散見され、医薬品と健康食品との併用による相互作用は重篤な健康被害をもたらす可能性がある。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所では「健康食品」の安全性・有効性情報サイト(以下、HFNet)を介して、健康食品の情報提供を行っている。本研究は、健康食品の利用による健康被害の未然・拡大防止のため、以下の3つの課題を実施する。
研究1)「健康食品」の安全性・有効性情報の活用
研究2)アドバイザリースタッフ・認定薬剤師の現状把握および活用の検討
研究3)医薬品との相互作用検索システムの構築
研究方法
研究1)
1. 令和3年度に実施した日本医師会、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本栄養士会、アドバイザリースタッフ研究会の各代表者とHFNet認知向上に向けた取り組み等に関する意見交換の内容を踏まえ、日本栄養士会会員を対象に「健康食品に関する相談者に対する支援等の現況把握のための事前調査」を行った。
2. 一般消費者を対象に「ダイエットや美容目的にサプリメントを摂取している利用者の特性に関するアンケート調査」「健康食品の情報ニーズ調査」および「病気の治療目的のための健康食品利用実態調査」をインターネット調査にて実施した。
研究2)
1. NR・サプリメントアドバイザー、食品保健指導士、健康食品管理士、健康食品領域研修認定薬剤師619名を対象に、健康食品・サプリメントに関する情報収集の方法などについて調査を行った。
2. 一般消費者3,881名を対象に、健康食品の利用、健康食品の専門資格の認知・相談経験、健康食品について相談したい相手・内容などについて調査を行った。
研究3)
1. 令和3年度の研究成果に基づき、医薬品と健康食品の相互作用の検索システムのプロトタイプを構築した。
2. PubMedおよび医学中央雑誌より、健康食品に用いられる素材・成分に関連する人における医薬品との相互作用の症例、および薬物代謝への影響を検討した研究論文を収集した。
結果と考察
研究1)
1. 日本栄養士会の主要な会員65名を対象に、「健康食品に関する相談者に対する支援等の現況把握のための事前調査」を行い、その調査結果を踏まえて、「令和5年度 一般消費者または患者さんからの健康食品利用に関する相談応需におけるスキルアップセミナー開催に関する提案書」を作成した。令和5年度のワークショップ実施に向けて調整している。
2. リスクを共用してもサプリメントの利用を継続する利用者に対して、サプリメントの摂取中止推奨を目的とした安全性情報を提供する場合、1) ゆがんだ「美しさの概念」の転換、2) サプリメント摂取の自己調整や摂取中止のための自己指標の設定の回避に繋がる危険性の認知、が重要であると考えられた。また、健康食品の情報ニーズ調査では、有効性(効果)情報のニーズが最も高く、テレビ・ラジオ、インターネットから情報を得ており、公的機関の情報はほとんど見ていないことが明らかとなった。さらに、インターネットの情報を基に、健康食品を病気の治療に用いている者では、その効果を実感しており、医薬品との相互作用のリスクを伝えても使用を継続すると回答した者が多かった。
研究2)
1. アドバイザリースタッフ及び健康食品領域研修認定薬剤師を対象とした調査において、約半数がHFNetを認知し利用しており、そのうち約7割が消費者への助言や患者指導に役立ったという回答が得られた。
2. 一般消費者を対象とした調査では、健康食品・サプリメントの専門資格保有者の存在を認知している者は5~7%であり、低年齢層で認知度が高い傾向であった。専門資格保有者の存在を認知している者のうち、約4割は専門資格保有者への相談経験があり、そのうち9割以上が相談により、健康食品・サプリメントの問題が解決したと回答した。
研究3)
1. KEGG DRUGから医薬品1072件、薬物代謝酵素55件の各情報を抽出し、HFNetより健康食品情報として933件の情報を抽出し、リスト化した。健康食品の各名称と代謝酵素をキーワードとして、PubMed検索を行い、薬物代謝酵素関連242,936件、健康食品(英名)関連4,504,227件、健康食品(学名)関連491,400件の各論文数が得られた。これらのデータを用い、検索システムのプロトタイプを構築した。
2. PubMedおよび医学中央雑誌を検索し、人における医薬品との相互作用の事例(症例報告またはレター)を含めた50件(29素材)の情報を作成した。
結論
本研究から、健康食品の利用者、特にリスクテイクユーザや病者の特徴が明らかとなったことから、これらの対象者に適切なアドバイスができる専門職のニーズが明らかとなった。そのため、専門職に対する継続的な情報提供が必要である。

公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202224034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,434,000円
(2)補助金確定額
17,179,000円
差引額 [(1)-(2)]
255,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,240,665円
人件費・謝金 4,935,669円
旅費 0円
その他 5,980,493円
間接経費 4,023,000円
合計 17,179,827円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
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