食品添加物の試験法の検討及び摂取量に基づく安全性確保に向けた研究

文献情報

文献番号
202224027A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物の試験法の検討及び摂取量に基づく安全性確保に向けた研究
課題番号
22KA1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田 浩樹(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
  • 建部 千絵(佐々木 千絵)(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 西崎 雄三(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 大槻 崇(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部第一室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
10,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の安全性確保には、適正な使用が重要であるため、1)生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定に関わる研究、2)香料化合物及び天然香料物質の使用量調査研究、3)香料化合物のSPET 法による摂取量調査研究、4)マーケットバスケット(MB)方式による香料の摂取量調査の検討を行った。また、食品添加物公定書(公定書)の規格試験法(一般試験法及び各条規格試験法)の改良のため、5)ICPを用いた規格試験法に関する研究、6)食品添加物の規格試験法の改良に関する調査研究並びに7)卓上NMRを用いた規格試験の開発に関する研究を行った。
研究方法
1)食品添加物製造・輸入業者を対象に、令和2年度に開始した第13回指定添加物生産量調査(令和元年度対象)のアンケート調査と令和3年度の追加調査の結果を精査し、品目ごとに一人一日摂取量を推定し、とりまとめを行った。令和3年度に開始した第8回既存添加物生産量調査(令和2年度対象)の追加調査を行い、結果を精査し、とりまとめを行った。2)昨年度実施した食品香料使用量調査(令和2年対象)について一部再確認を行い、使用量や摂取量推定値等の結果を過去4回と比較した。天然香料については、追加調査を実施し、使用量等の結果を前回調査結果と比較した。3)Single Portion Exposure Technique(SPET)法による香料化合物2品目の予備調査を行い、課題の検討をした。4)ラクトン系香料を対象にQuEChERS法をガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)と組み合わせ、MB試料を分析し、摂取量を求めた。5)誘導結合プラズマ(ICP)を用いた分析法の国内外の規格での採用内容について調べ、公定書への導入に向けた課題を検討した。6)アスパルテーム成分規格への定量NMR(qNMR)の適用を目的とし、基礎的検討を行った。7)卓上NMRの規格試験法導入に向けた課題を検討するため、高磁場NMRとでqNMR実施時の差異について調べた。
結果と考察
1)指定添加物の摂取量調査では、前回までと同様に、許容一日摂取量(ADI)との比較において、一人一日摂取量で問題となる品目は無かった。既存添加物の製造・輸入量調査では、参考までに、製造量と輸入量の合計値を食品への使用量とみなし、人が摂取する量を計算し、まとめた。2)香料化合物及び天然香料物質の使用量についての再確認及び追加調査の結果を踏まえ、令和2年に我が国で使用されたこれらの使用量を確定した。結果を過去の調査と比較し、香料化合物の大半の推定摂取量は過去の調査と同様に極めて少量であることが示された。3)香料化合物2品目を選定し、調査票案を作成してSPET法による摂取量調査の予備調査を実施した。予備調査結果を基に、本調査に向け、調査票の内容や実施方法の改善方法を検討した。4)MB試料中の代表的なラクトン香料を分析し、20歳以上の人の喫食量データに基づき一日摂取量の推計を行った。ADIに比べて推定摂取量は十分に低いことが示された。5)海外規格及び国内規格の一般試験法でICP法が用いられている試験法や各条でICP法による元素分析が採用されている品目について調査し、測定条件等についてまとめた。海外規格と公定書の比較を踏まえ、公定書の一般試験法のICP法について検討し、ICP法の各条適用候補品目を検討した。6)アスパルテーム及びその異性体のqNMR条件検討により、定量に適したシグナルが見出され、これらの試薬規格等への適用性が示された。7)卓上NMRと高磁場NMRでの定量用試薬10種のqNMR結果の比較により、その定量値の差異は2%以内と良好だったが、卓上NMRでは共鳴信号の分離が悪くなる場合も見られ、予め積分範囲を十分に吟味することが必要であることが示唆された。
結論
生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定に関わる研究、香料化合物及び天然香料物質の使用量調査研究、香料化合物のSPET 法による摂取量調査研究、MB方式による香料の摂取量調査の検討により、食品添加物の適正な使用に関わる知見が得られ、これらの結果は食品の安全の確保に資すると考えられる。食品添加物公定書の規格試験法(一般試験法及び各条規格試験法)の改良に向けた研究では、ICPを用いた規格試験法に関する研究で、国内外規格におけるICP法の採用状況を確認し、公定書への導入に向け、適切な測定波長や内標準物質の濃度の検討が必要であることが明らかとなった。食品添加物の規格試験法の改良に関する調査研究では、新たな対象物質の規格試験へのqNMRの適用可能性が明らかとなった。また、卓上NMRを用いた規格試験の開発に関する研究では、規格試験法を検討する際の条件検討の重要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2023-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-06-02
更新日
2023-12-14

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収支報告書

文献番号
202224027Z