文献情報
文献番号
202223013A
報告書区分
総括
研究課題名
治療と仕事を両立する患者に対する継続的な支援の実態と方策の検討
課題番号
22JA1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
永田 昌子(産業医科大学 医学部 両立支援科学)
研究分担者(所属機関)
- 立石 清一郎(産業医科大学 災害産業保健センター)
- 江口 尚(産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学)
- 高橋 都(岩手医科大学 医歯薬総合研究所)
- 吉川 悦子(高橋 悦子)(日本赤十字看護大学 看護学部)
- 伊藤 美千代(東京医療保健大学 千葉看護学部)
- 古屋 佑子(東海大学医学部 基盤診療学系衛生学公衆衛生学)
- 原田 有理沙(産業医科大学 医学部 両立支援科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,963,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
患者の治療と就労の両立をしていくなかで、患者側の要因(病状や治療など)や職場側の要因(仕事内容など)は変化する。それらの変化に応じ治療と就労の両立をする患者を継続的に支援していくことが求められる。本研究は、継続的な支援が必要となる状態の類型化と、継続的な支援の促進要因と阻害要因を明らかにし、支援が行われる環境と条件を整理することを目的とする。
研究方法
業務遂行能力の変化を生じやすい状態、当事者の背景情報と合わせ、継続的な支援が特に必要な状態を整理・類型化するために、当事者に着目した調査と支援者の視点に着目した調査を行った。
1. 当事者の継続調査
2. 日本版RTWSE-19(Return to self efficacy test)の開発
3. 治療と仕事の両立支援を必要とする復職後の患者に対する離職要因を検討するための調査
4. 支援者視点の客観的な調査: 就業配慮の変更に関する産業医側からの調査
5. 支援者視点の質的調査
5.1産業保健看護職の視点に着目した調査
5.2炎症性腸疾患患者に対する医療機関における健康管理と仕事の継続的両立支援の実際と課題: 医療機関の支援者を対象としたインタビュー調査
5.3支援機関の支援者の視点での調査
1. 当事者の継続調査
2. 日本版RTWSE-19(Return to self efficacy test)の開発
3. 治療と仕事の両立支援を必要とする復職後の患者に対する離職要因を検討するための調査
4. 支援者視点の客観的な調査: 就業配慮の変更に関する産業医側からの調査
5. 支援者視点の質的調査
5.1産業保健看護職の視点に着目した調査
5.2炎症性腸疾患患者に対する医療機関における健康管理と仕事の継続的両立支援の実際と課題: 医療機関の支援者を対象としたインタビュー調査
5.3支援機関の支援者の視点での調査
結果と考察
継続的な支援が必要な状態の類型化のために、医療機関および産業医を対象に就業上の配慮の変更の時期や契機などを調査する事例収集調査を行い、継続的な支援が必要とされる状態を整理した。医療機関における患者横断調査によって、継続支援の必要性が高くなることが予想される状態として、精神的苦痛が持続している、両立に関する情報が不足している、身体的高負荷作業への従事、が推察された。一方、継続的支援の必要性が小さくなることが予想される状態として、職場からの配慮(同僚からの支援・業務内容の調整)がある、意見書発行がある、産業保健スタッフの存在、が推察された。
産業医を対象に就業上の配慮の変更の時期や契機などを調査する事例収集調査で、現時点での集計として、配慮の見直しの契機は、「就業上の配慮を要する期間をあらかじめ定めておいて、その前に面談等にて状況を確認」したことであり、配慮の実施後半年以内に7割以上の配慮の変更がなされていたことを考えると、企業側の産業保健スタッフに求められることとして復職時の配慮の実施期限は半年を目途にし、見直しを求めることが適切かもしれない。
また、変更した理由は下記の5つに分類できた。
① 症状等軽減による配慮の解除
② 復帰後の勤務実態や仕事ぶりに合わせた配慮
③ 症状増悪もしくは新たな症状の出現による配慮の追加
④ 職場側の変更による配慮の変更
⑤ リスクが下がったことを確認し配慮の解除
また、最初の支援を行った支援者が、継続的な支援が必要な人をスクリーニングするツールを検討し、復職に対する自己効力感を評価する尺度の日本語版(試行版)を作成した。
継続的な支援の促進要因と阻害要因の調査では、支援者の視点で産業保健看護職と支援機関の支援者のインタビュー調査から要因を検討した。仕事と治療の両立を継続するためには、①本人の要因 ②周囲の要件 ③会社の体制 ④医療機関 ①は本人のセルフケア能力、コミュニケーション能力(医療機関、主治医、上司、職場の管理部門)、意欲などが挙げられ、②は上司や同僚の理解、フォロー体制など、③は職場の健康管理体制、社内規定など、④は医療機関・医師の認識などが挙げられた。
産業医を対象に就業上の配慮の変更の時期や契機などを調査する事例収集調査で、現時点での集計として、配慮の見直しの契機は、「就業上の配慮を要する期間をあらかじめ定めておいて、その前に面談等にて状況を確認」したことであり、配慮の実施後半年以内に7割以上の配慮の変更がなされていたことを考えると、企業側の産業保健スタッフに求められることとして復職時の配慮の実施期限は半年を目途にし、見直しを求めることが適切かもしれない。
また、変更した理由は下記の5つに分類できた。
① 症状等軽減による配慮の解除
② 復帰後の勤務実態や仕事ぶりに合わせた配慮
③ 症状増悪もしくは新たな症状の出現による配慮の追加
④ 職場側の変更による配慮の変更
⑤ リスクが下がったことを確認し配慮の解除
また、最初の支援を行った支援者が、継続的な支援が必要な人をスクリーニングするツールを検討し、復職に対する自己効力感を評価する尺度の日本語版(試行版)を作成した。
継続的な支援の促進要因と阻害要因の調査では、支援者の視点で産業保健看護職と支援機関の支援者のインタビュー調査から要因を検討した。仕事と治療の両立を継続するためには、①本人の要因 ②周囲の要件 ③会社の体制 ④医療機関 ①は本人のセルフケア能力、コミュニケーション能力(医療機関、主治医、上司、職場の管理部門)、意欲などが挙げられ、②は上司や同僚の理解、フォロー体制など、③は職場の健康管理体制、社内規定など、④は医療機関・医師の認識などが挙げられた。
結論
本研究は、7つの研究を実践することで継続的な支援が必要となる状態の類型化、継続的な支援の促進要因と阻害要因を明らかにし、支援が行われる環境と条件を整理することを目的とした。
次年度、今年度の研究とインターネット調査の結果とともに解釈を行い、継続的な支援が必要となる状態の類型化を進める予定である。復職に対する自己効力感を評価する尺度の日本語版は、信頼性と妥当性を検証する予定であり、医療機関や職場で継続的な支援が必要な人をスクリーニングするためのツールとしての活用の適否を検討する予定である。継続的な支援の促進要因と阻害要因の調査ではインタビュー者を増やし、医療機関のインタビュー結果の分析を加えて、継続的な支援の促進もしくは阻害する要因を整理する予定である。
次年度、今年度の研究とインターネット調査の結果とともに解釈を行い、継続的な支援が必要となる状態の類型化を進める予定である。復職に対する自己効力感を評価する尺度の日本語版は、信頼性と妥当性を検証する予定であり、医療機関や職場で継続的な支援が必要な人をスクリーニングするためのツールとしての活用の適否を検討する予定である。継続的な支援の促進要因と阻害要因の調査ではインタビュー者を増やし、医療機関のインタビュー結果の分析を加えて、継続的な支援の促進もしくは阻害する要因を整理する予定である。
公開日・更新日
公開日
2023-06-08
更新日
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