建設工事における安全衛生の確保のための設計段階の措置の確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202223004A
報告書区分
総括
研究課題名
建設工事における安全衛生の確保のための設計段階の措置の確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20JA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 直孝(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202223004B
報告書区分
総合
研究課題名
建設工事における安全衛生の確保のための設計段階の措置の確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20JA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 直孝(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 大幢 勝利(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 研究推進・国際センター)
  • 平岡 伸隆(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 堀 智仁(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所建設安全研究グループ)
  • 伊藤 和也(東京都市大学 建築都市デザイン学部 都市工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 令和2年度において、①国内外の行政及び研究分野の動向についての調査、②国内の建設工事現場において実施された設計段階の安全衛生に関する措置の事例収集、③設計段階(施工前段階)からの安全衛生確保について、既に行政がガイドラインで示している分野(工事種)での事例研究、を3つの柱として実施することで、国内の建設工事において、活用できる設計段階の安全衛生対策をまとめることを目的とした。
 令和3年度において、肌落ち、土砂崩壊、転倒、倒壊、爆発災害を取り上げ、災害事例分析を通じて、トンネル建設工事、法面保護工事、地盤改良工事、ビル新築工事、構造物建築工事における設計段階からの適切な安全衛生対策を抽出することを目的とする。また、施工の合理化・効率化だけでなく、BIM/CIMにおいて安全衛生の情報も管理できるよう、BIM/CIM図面上にリスクポイントを記載し、一覧表として直ちにリスク情報を管理できるようにすることを目的とする。
 令和4年度において、建設工事における安全衛生の確保のための設計段階の措置を体系的にまとめ、設計段階の措置の確立に向け提言することを目的とする。また、具体の試みとして、急傾斜地崩壊防止工事を取り上げ、設計段階からのリスク低減措置を検討することを目的とする。
研究方法
 令和2年度では、文献調査とヒアリング調査を主な研究方法とした。令和3年度では、災害事例分析を実施するとともに、BIM/CIMソフトウェアによるリスクポイントの開発を主に実施した。令和4年度では、これまでの研究成果及び既往の研究を体系的にまとめた。
結果と考察
 ヒアリング調査から好事例として情報提供のあった「BIM/CIM」の活用、「設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)」の採用、発注者、設計者及び施工者の合同連絡会議の開催等を適宜実施し、設計段階から安全衛生への配慮を推進していくことが望まれる。また、設計段階又は施工計画段階からの安全衛生への配慮の1つの具体的な事例として、斜面ガイドラインを挙げ、リスクコミュニケーションの重要性を指摘した。
 また、各工事の各種災害について、本質的安全設計方策を含めて再発防止対策を提案することができ、これらの本質的安全設計方策は、企画、基本計画、基本設計、実施設計等の企画・設計段階で考慮する必要がある。そのためには、建設プロジェクトの情報を一貫して管理するために着目されているBIM/CIMを有効に使うことが望まれる。そこで、BIM/CIM図面上にリスクポイントを記載し、一覧表として直ちにリスク情報を管理できるような方法を開発した。具体的には、BIM/CIMソフトウェアにおいて、部品(ファミリ)として、リスクポイントを新たに作成した。リスクポイントはBIM/CIMの図面上で任意の位置に配置でき、リスクの種類、リスクの大きさ、考慮すべきフェーズ、対策等を属性情報として登録可能である。また、配置した全てのリスクポイントの属性情報は、一覧表として直ちに出力することができる。さらに、部品(ファミリ)として作成したリスクポイントは、同じソフトウェア上の全ての建設プロジェクトにおいて利用可能である。このように、新たに作成したリスクポイントという部品(ファミリ)を使用して、設計段階からリスク情報を一貫して管理できる可能性が示唆された。
結論
 令和2年度から令和4年度までの研究結果及び既往の研究から、建設工事における安全衛生の確保のための設計段階の措置を体系的にまとめた。これらの結果から、発注者、設計者及び施工者が行うことが望ましい取組として、以下の事項を提言した。
・設計図書等に、施工性、経済性、耐久性、維持管理、環境保全、美観等の要件を記載することに加えて、労働安全衛生の要件を追記すること。
・「設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)」、「BIM/CIM(Building Information Modeling / Construction Information Modeling)」、「DR(デザインレビュー)」、「FL(フロントローディング)会議」等を積極的に利用すること。
・発注者、設計者、施工者等の関係者が協力し、基本設計の段階から、実施設計、施工計画、施工、維持管理、補修、解体等の各段階において想定されるハザード又はリスクを列挙し、リスク登録表等に記載すること。
・発注者、設計者、施工者等の関係者が協力し、設計段階において、合理的に実施可能な範囲内で、想定される全てのリスクを除去又は低減すること。除去又は低減できないリスクについては、リスク登録表等を利用し後工程に適切に伝達すること。
・建設プロジェクト終了後、各段階におけるリスク登録表等を整理し、将来の建設プロジェクトのチェックリストとすること。なお、建設工事の種類ごとに整理すること。

公開日・更新日

公開日
2023-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202223004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 ハザード又はリスクを可視化するため、BIM/CIMソフトウェア上にて、任意の建設プロジェクトファイルに設置できるリスクポイントを開発した。開発したリスクポイントは、BIM/CIMの部品(ファミリ)の特徴である属性情報(リスクの種類、リスクの大きさ、対策、色等)を付与できる。設計段階において想定される全てのハザード又はリスクをプロジェクトファイルにリスクポイントとして多点配置することで、設計から施工、施工から維持管理へとリスク情報が一貫して活用される仕組みを構築できた。
臨床的観点からの成果
 機械安全分野のスリーステップメソッドによる整理から、「本質的安全設計」に係る対策を設計段階のチェックリストとし、「安全防護」及び「使用上の情報の提供」に係る対策を施工段階のチェックリストとすることで、簡単に設計段階及び施工段階のチェックリストを整理できることを示した。また、具体の事例として、トンネル建設工事、法面保護工事、地盤改良工事、ビル新築工事、構造物建築工事の肌落ち、土砂崩壊、転倒、倒壊、爆発災害のチェックリストを示した。
ガイドライン等の開発
「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」(以下「基本計画」という。)が令和5年6月13日付けで変更された。変更後には基本計画の第2の4(2)に『海外におけるBIM(Building Information Modeling)の安全衛生対策の活用事例も含め、施工の安全性に配慮した建築物等の設計に係る先行事例の収集・普及を促進する。』と記載された。本研究の成果としてBIMの安全衛生対策の活用事例を具体的に提示できたことから、このような基本計画の記載へと繋がったと考えている。
その他行政的観点からの成果
 建設工事の種類ごとに設計段階において想定すべきリスクとリスク低減措置を整理したことから、建設工事に係る発注者及び設計者に対する資料に使用することができると期待している。また、本研究にて提案したBIMを用いたリスクポイントによる安全衛生情報の可視化という研究成果が、一般社団法人仮設工業会が基準化した「8D BIM安全衛生情報デジタルパッケージ(https://kasetsu-digital.com/digital-contents/8d-bim/)」に採用された。
その他のインパクト
 研究代表者の所属先のホームページにおいて、「建設工事における設計段階からの安全配慮に関するBIM/CIMの活用例」として、開発したリスクポイントとトンネル建設プロジェクトファイルを例としてアップしている。https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2022/164-column-1.html
 これらのリスクポイント及びプロジェクトファイルは同じBIM/CIMソフトウェア上で動作するため、任意のプロジェクトに適用可能である。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
ホームページ1件、書籍発行1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
柴田達哉, 伊藤和也, 杉山竜一
斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドラインを用いた地質リスク抽出と実際の地山挙動
土木学会論文集F6(安全問題) , 77 (1) , 1-13  (2021)
https://doi.org/10.2208/jscejsp.77.1_1
原著論文2
柴田達哉, 伊藤和也, 吉川直孝, 平岡伸隆, 他
残存型枠を利用した擁壁施工中の斜面崩壊による労働災害防止の有効性
土木学会論文集F6(安全問題) , 78 (2) , I_81-I_91  (2022)
https://doi.org/10.2208/jscejsp.78.2_I_81

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
2026-06-05

収支報告書

文献番号
202223004Z