機械設備に係るリスクアセスメント支援システムの開発

文献情報

文献番号
202223003A
報告書区分
総括
研究課題名
機械設備に係るリスクアセスメント支援システムの開発
課題番号
20JA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202223003B
報告書区分
総合
研究課題名
機械設備に係るリスクアセスメント支援システムの開発
課題番号
20JA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 濱島 京子(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 芳司 俊郎(労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
  • 清水 尚憲(独立行政法人 産業安全研究所 機械システム安全研究グループ)
  • 池田 博康(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
  • 梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
  • 木村 哲也(長岡技術科学大学システム安全系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では,機械設備の設計段階及び使用段階におけるリスクアセスメント(以下,RAという。)について,中小事業場での普及を促すことを目的に,機械安全に関する知識や経験の限られた設計技術者・生産技術管理者を支援する際の要点を明確化し,これを満たす「RA支援システム」を各々開発する。その過程で得られる知見等を通じて,今後 ICTを活用して様々なシステムが構築される際に共通に参照される「基本要求仕様」を確立する。
研究方法
 設計段階RA支援システムの開発を「項目1」とし,使用段階RA支援システム2種の開発・検証をそれぞれ「項目2」及び「項目3」と設定して検討を進めた。項目1では,設計段階RAで実施すべき項目と要件を明確化し,結果として,支援の対象を「危険源の同定」と定めた。そして,機械安全規格を活用した支援手法を考案し,これを実行する手段の例として危険源同定支援ツールを開発した。項目2では,既実施研究で提案した選択式簡易RA手法をより実施し易い方式へ改良するとともに,本手法で危険源を同定できる機械の機種を拡充する方法を確立した。6種の機械を対象としたアプリケーションソフトを具体的手段の例として開発し,労働安全コンサルタント及び機械を使用する中小事業場の担当者を対象にその有効性を評価した。項目3では,既実施研究で提案した典型災害事例を応用した簡易RA手法について,扱える機械の機種を拡充した上でタブレットPCに実装し,支援システムとして構築した。加えて,現場の写真や動画などを容易に機械安全専門家に伝達できるICTの特徴に着目し,遠隔でRAの妥当性を診断する仕組みを考案し,支援機能として開発した。以上を通じて得られた知見や有効性評価の結果などを一般化し,最終的に,RA支援を目的に開発されるすべてのシステムに共通に適用される「基本要求仕様」を確立した。
結果と考察
 項目1:設計段階RAの各手順で実行すべき必須事項をISO規格や包括指針等の原則に遡って検討し,中でも「危険源同定」が,最も支援が必要であることを明らかにした。さらに,設計段階でメーカが最低限達成すべきリスク低減水準を検討し,既存の市販RA支援ツール等の調査結果も踏まえ,危険源同定を支援する手法を複数考案した。これらを統合する形で,すべての機械に共通に適用される機械安全規格の要求事項から抽出した危険源/危険区域を技術情報の形で提示する支援ツールを開発した。中小メーカの設計技術者を対象に,提案する支援の有効性を評価した結果,危険源同定の難しさを軽減する有効な支援になり得ると評価された。
 項目2:既実施研究で提案した選択式簡易RA手法を,対象とする機械の災害発生の経緯(危険シナリオ)をイラストで提示するとともに,実際の機械を撮影した画像上で該当する危険源を特定する方式へ改良した。さらに,対象機械の種類を拡充するため,公表されている労働災害データベース等の災害事例から危険シナリオを抽出する手法を確立した。6種の機械を対象にアプリケーションソフトを具体的手段の例として開発し,機械を使用する中小事業場を対象に調査した結果,ユーザビリティの観点で課題が示されたものの,提案する支援アプリは概ね評価され,事業場にRA着手を促す有力な支援になり得ると判断できた。
 項目3:既実施研究で提案した典型災害事例を応用した簡易RA手法について,扱える機械を12種に拡充した上でタブレット端末に実装し,支援システムとして構築した。加えて,現場の写真や動画,作業手順等の情報を機械安全専門家に容易に伝達できるICTの特徴に着目し,遠隔でRAの妥当性を診断する仕組みを考案し,具体的な支援機能として実装した。労働安全コンサルタント及び機械を使用する中小事業場の安全管理者等を対象に,その有効性を調査した結果,理解し易く,納得してリスク低減対策を実施できるようにする支援であるとの評価を得た。
 最終的に,以上の項目1~3を通じて得られた知見や有効性評価の結果などを一般化し,RA支援を目的に開発されるすべてのシステムに共通に適用される「基本要求仕様」を確立した。システムの要求仕様が ISO/IEC/IEEE 29148 の示すソフトウェア要求仕様のアウトラインに従って作成されると前提した上で,RA支援を目的とする場合に各項目で記載すべき要件や制約,留意すべき事項等を明らかにした。
結論
 機械の設計段階と使用段階におけるRAを支援する上での必須要件を明らかにし,システムとして実現する例を具体的に示した。そして,得られた知見を一般化して基本要求仕様を策定した。これを規範に,今後,様々な機能・特色をもった支援システムが適切に開発されることで「RAの難しさ」が克服されれば,中小のメーカとユーザ双方における機械設備のRAの推進・定着に大きく貢献するものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2023-12-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202223003C

収支報告書

文献番号
202223003Z