文献情報
文献番号
202222029A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における医療安全情報の活用等管理のあり方に関する研究
課題番号
22IA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
鮎澤 純子(国立大学法人九州大学 )
研究分担者(所属機関)
- 長尾 能雅(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部)
- 松尾 龍(九州大学 大学院医学研究院)
- 梅村 朋(名古屋大学 医学部附属病院)
- 新 秀直(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
- 藤井 清孝(北里大学医学部)
- 中島 勧(埼玉医科大学 医学部)
- 長江 祐吾(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
- 入江 芙美(九州大学 医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,699,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究者らは、取り組んだ先行研究において、医療機器等の再発・類似事例の防止については、医療安全情報の一元化を通して確実な周知を図ることが必要であること、臨床工学技士の更なる活用の検討が必要であること等を明らかにし、医療機関における情報の共有のあり方の現状と課題についても検討していく必要があるという結論に至った。
そこで、本研究班は、以下の3つの研究に取り組んだ。
分担研究①「医療機関における医療安全情報の活用状況と情報の浸透に関わる因子の検討」
分担研究②「医療安全管理体制におけるMEの活用のあり方及びMEが関わることによる医
療安全管理上の効果の検討」
分担研究③「医療機器のエラー・事故防止と情報の周知・徹底に注目した医療機関における取り組み」
そこで、本研究班は、以下の3つの研究に取り組んだ。
分担研究①「医療機関における医療安全情報の活用状況と情報の浸透に関わる因子の検討」
分担研究②「医療安全管理体制におけるMEの活用のあり方及びMEが関わることによる医
療安全管理上の効果の検討」
分担研究③「医療機器のエラー・事故防止と情報の周知・徹底に注目した医療機関における取り組み」
研究方法
分担研究①:先行研究の「医療機器等に関連する医療事故・ヒヤリハット事例における再発事例の調査と類型化に関する研究」で得られたデータを追加解析し、医療機関内の医療安全に関する情報管理体制や再発防止策の実装活動についての現状把握を行うとともに、医療現場の医療従事者が活用しやすい情報提供ツールや情報発信方法について検討し、その促進要因等を明らかにすることを試みた。
分担研究②:先行研究の「医療機器安全管理業務を推進する際の障壁となりうる課題抽出のためのアンケート調査」で得られたデータを深耕し、医療機器の安全管理における課題を明らかにし、全国の医療機関に役立つ基礎情報を整理することを目的とした。また、全国の大学病院における臨床工学技士の活用事例をヒアリングすることで、医療機器の安全管理業務を推進するための基礎情報を提供することを目指した。
分担研究③「国内の事例:九州大学病院の『医療機器操作強化WG』と『人工呼吸管理サポートラウンド』「海外の事例:Brigham and Women's Hospital(以下:BWH)の医療安全に関する取り組み」を調査した。
分担研究②:先行研究の「医療機器安全管理業務を推進する際の障壁となりうる課題抽出のためのアンケート調査」で得られたデータを深耕し、医療機器の安全管理における課題を明らかにし、全国の医療機関に役立つ基礎情報を整理することを目的とした。また、全国の大学病院における臨床工学技士の活用事例をヒアリングすることで、医療機器の安全管理業務を推進するための基礎情報を提供することを目指した。
分担研究③「国内の事例:九州大学病院の『医療機器操作強化WG』と『人工呼吸管理サポートラウンド』「海外の事例:Brigham and Women's Hospital(以下:BWH)の医療安全に関する取り組み」を調査した。
結果と考察
分担研究①180施設における医療安全情報の平均浸透度は2.74、上位20%の優良群(36施設)は3.82、下位20%の非優良群(36施設)は1.73であった。医療機器、医療材料、医薬品に関連する安全情報の平均浸透度はそれぞれ2.57、2.84、2.79であった。優良群では非優良群に比し、病床数あたりのインシデント報告数が有意に多く、医療機器に関する安全対策を検討する部署の設置が進み、医療安全情報の周知を多職種で担うとともに、全職員に定期的に周知している施設の割合が多かった。現場の平均的な医療者は「医療安全情報を見た記憶が定かでなく、特に非医療安全担当者の浸透度の低さと、施設間格差に課題が見て取れる結果となった。
分担研究②解析結果から、医療機器の安全管理が適切に行われている施設に、特有の共通点があるわけではないものの、臨床工学技士の在籍を含むリソースの豊富さが影響していることが示唆された。一方、業務範囲の広さや内容の煩雑さスタッフの医療機器安全管理に対する関心の低さが課題である点が新たに明らかになった。専従臨床工学技士に対するヒアリングでは、配置の経緯はさまざまであったが、医療安全への意識の高まりが関係していることが窺われた。
分担研究③「医療機器操作強化WG」については、現場における指導者の育成を目的としていること、「人工呼吸器管理サポートラウンド」については、未然防止にも成果をあげていること等が、特色として挙げられた。海外の医療機関においても我が国の医療安全における課題と同様な課題を有していることが確認できた。
分担研究②解析結果から、医療機器の安全管理が適切に行われている施設に、特有の共通点があるわけではないものの、臨床工学技士の在籍を含むリソースの豊富さが影響していることが示唆された。一方、業務範囲の広さや内容の煩雑さスタッフの医療機器安全管理に対する関心の低さが課題である点が新たに明らかになった。専従臨床工学技士に対するヒアリングでは、配置の経緯はさまざまであったが、医療安全への意識の高まりが関係していることが窺われた。
分担研究③「医療機器操作強化WG」については、現場における指導者の育成を目的としていること、「人工呼吸器管理サポートラウンド」については、未然防止にも成果をあげていること等が、特色として挙げられた。海外の医療機関においても我が国の医療安全における課題と同様な課題を有していることが確認できた。
結論
・「浸透度」とうい概念の導入と測定を行い、浸透度優良群と非優良群の特徴等を検討するための基礎資料を得ることができた。浸透度の測定方法のブラッシュアップにより浸透度の測定方法としての汎用化が期待される。データのさらなる解析により、優良群と非優良群方の特徴等を明らかにしていくとともに、医療安全情報の活用に資するデータを示していくことが期待される。
・医療機器の安全管理を促進するための要因を明らかにするための基礎資料を得ることができた。データのさらなる解析により、医療機器の安全管理が適切に行われている施設の特徴等を明らかにしていくとともに、臨床工学技士の活用に資するデータを示していくことが期待される。なお、医療安全において臨床工学技士が関わるメリットを数値化して示していくことは臨床工学技士の活用に向けた今後の重要な課題である。
・医療機器の安全管理や医療安全に関する情報の周知・徹底において参考になる取り組み事例を紹介することができた。医療機関の規模や専門性、さらには安全管理体制に応じた医療機器の安全管理や情報の周知・徹底の方法の参考に資することが期待される。
・医療機器の安全管理を促進するための要因を明らかにするための基礎資料を得ることができた。データのさらなる解析により、医療機器の安全管理が適切に行われている施設の特徴等を明らかにしていくとともに、臨床工学技士の活用に資するデータを示していくことが期待される。なお、医療安全において臨床工学技士が関わるメリットを数値化して示していくことは臨床工学技士の活用に向けた今後の重要な課題である。
・医療機器の安全管理や医療安全に関する情報の周知・徹底において参考になる取り組み事例を紹介することができた。医療機関の規模や専門性、さらには安全管理体制に応じた医療機器の安全管理や情報の周知・徹底の方法の参考に資することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2024-03-26
更新日
-