文献情報
文献番号
202221007A
報告書区分
総括
研究課題名
非ウイルス性を含めた肝疾患のトータルケアに資する人材育成等に関する研究
課題番号
20HC2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
江口 有一郎(医療法人ロコメディカル ロコメディカル総合研究所)
研究分担者(所属機関)
- 考藤 達哉(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国府台病院 肝炎・免疫研究センター)
- 是永 匡紹(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター)
- 小川 浩司(北海道大学病院 消化器内科)
- 宮坂 昭生(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科肝臓分野)
- 井上 泰輔(山梨大学医学工学総合研究部)
- 内田 義人(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科)
- 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
- 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院 内科)
- 飯島 尋子(兵庫医科大学 医学部)
- 日高 勲(山口大学医学部附属病院 肝疾患センター)
- 井出 達也(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
- 田中 靖人(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 裴 英洙(ハイ エイシュ)(慶應義塾大学 健康マネジメント研究科)
- 平井 啓(大阪大学 コミュニケーションデザイン・センター/大学院医学系研究科生体機能補完医学講座/人間科学研究)
- 米澤 敦子(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
- 川口 巧(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門)
- 高橋 宏和(国立大学法人佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
- 前城 達次(琉球大学医学部附属病院第一内科)
- 藤井 英樹(大阪公立大学 医学部 肝胆膵病態内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
24,897,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
肝炎対策の推進には肝炎ウイルス検査を受検、感染指摘後の精密検査の受診、抗ウイルス治療、受療後の定期的なフォローアップの全てのステップが最大限、漏れなく遅滞なく進むことが不可欠である。本研究班では肝Co等の人材育成における(1)適切な養成方法や配置、効果的な活用の方策について、それぞれの地域特性も鑑みながら明らかにし、また(2)職種別、配置場所別の知識面・活動度合等の質的な評価方法の策定と現場における実際の評価に応じた改善策を明らかにして、活動評価のための肝Coフォローアップシステムの開発を目指す。さらに(3)近年、ウイルス性肝疾患のみならず非ウイルス性の肝疾患の増加している現状も踏まえて肝疾患のトータルケアに資する人材育成の方策、以上の3つの柱を中心とした課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
(1)北海道・東北・関東・中部・北陸・関西・中四国・九州・沖縄を代表する班員の地域における肝Coの配置と活動の現状の調査を、個々の肝Coの本来業務の延長線上で行なっている活動の事例の詳細調査を行なった。また「兵庫モデル」として、2次医療圏をひとつの単位としてそれぞれの医療圏に所在する専門医療機関に所属する肝Coを県のコア肝Coとして、またその支援を県および拠点病院が行いながら、県全体の配置および活動の向上を進める定例会をオンラインで開始し、またMAP化による見える化の推進を進め、2次医療圏ごとの評価が適切な単位であることを検証した。
(2)初版の肝Coポケットマニュアルが受検・受診・受療・フォローアップ、差別や偏見といった視点での構成であったため、新規に職種ごとに比較的に取り掛かりやすい活動に重きを置いて、①職種ごと(16職種)・②取り掛かりやすい活動・③患者および患者会肝Coに特化した複数のポケットマニュアルの作成をオンラインまたは現地での座談会形式およびピアレビュー方式で作成した。今後のオンライン化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を踏まえ、地域全体の肝Coの意見交換や拠点病院や都道府県からの情報発信、活動アンケート等を行うために、代表的なソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のひとつである「LINE」を用いた「肝炎医療コーディネーター応援公式LINEアカウント」を作成し、佐賀県、埼玉県、熊本県に加え、山口県、兵庫県、新潟県、北海道、茨城県、沖縄県また一般・患者会向けで情報共有としての運用を開始し、情報発信のみならず、養成やスキルアップの研修会の参加登録案内、活動収集ツール、都道府県の肝疾患の制度等の説明サイトへの誘導するリッチメニューという機能の付加等によりより具体的に活用し、活動アンケート等も実施した。
(3)肝炎医療コーディネーターによる脂肪性肝疾患(NAFLD・MAFLD)に対する運動療法プログラム、ツールを開発し、それらを用いた啓発と介入についての実証実験を行った。
(2)初版の肝Coポケットマニュアルが受検・受診・受療・フォローアップ、差別や偏見といった視点での構成であったため、新規に職種ごとに比較的に取り掛かりやすい活動に重きを置いて、①職種ごと(16職種)・②取り掛かりやすい活動・③患者および患者会肝Coに特化した複数のポケットマニュアルの作成をオンラインまたは現地での座談会形式およびピアレビュー方式で作成した。今後のオンライン化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を踏まえ、地域全体の肝Coの意見交換や拠点病院や都道府県からの情報発信、活動アンケート等を行うために、代表的なソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のひとつである「LINE」を用いた「肝炎医療コーディネーター応援公式LINEアカウント」を作成し、佐賀県、埼玉県、熊本県に加え、山口県、兵庫県、新潟県、北海道、茨城県、沖縄県また一般・患者会向けで情報共有としての運用を開始し、情報発信のみならず、養成やスキルアップの研修会の参加登録案内、活動収集ツール、都道府県の肝疾患の制度等の説明サイトへの誘導するリッチメニューという機能の付加等によりより具体的に活用し、活動アンケート等も実施した。
(3)肝炎医療コーディネーターによる脂肪性肝疾患(NAFLD・MAFLD)に対する運動療法プログラム、ツールを開発し、それらを用いた啓発と介入についての実証実験を行った。
結果と考察
肝炎の予防及び医療に携わる人材として肝Coが令和3年度までに全国47都道府県で合計約30,000万人が養成されてきたが、肝Coの配置や活動度合は十分と言える状態ではないことも判明した。また、ウイルス性肝疾患のみならず非ウイルス性の肝疾患の増加している中、それらの疾患の掘り起こしから受検・受診・受療・フォローアップの促進に肝Coのさらなる活動向上は意義が期待される。そこで、肝Co等の人材育成における適切な養成方法や配置、効果的な活動の方策について、それぞれの地域特性も鑑みながら明らかにした。またこれまでの肝Coの活動に資する各種資材を必要に応じてアップデートし、全国34の都道府県で活用されている「肝炎医療コーディネーターポケットマニュアル」を3年ぶりに第2版を完成させ、全国展開を開始した。また肝Coの役割や活動は職種によって異なっていることから「肝炎医療コーディネーター職種別マニュアル」を作成した。また第59回日本肝臓学会総会で開催されたメディカルスタッフセッション記録集を発刊し、全国関係部署に配布した。近年、ウイルス性肝疾患のみならず非ウイルス性の肝疾患の増加している現状も踏まえて肝疾患のトータルケアに資する人材育成の方策として、臨床現場で活用できる各種ツールの開発と展開を行なった。
結論
現在、全国47都道府県で養成されている肝Co等の人材の配置や効果に関する実態と課題を明らかにすることにより、全国の地域で適正な養成や配置と活動の活性化が地域の特性に応じた持続可能な各地の肝炎対策に貢献し、かかりつけ医や肝臓専門医とともにいわゆる多職種協働によって我が国における肝疾患対策の推進のさらなる加速と成果が期待される。
公開日・更新日
公開日
2024-03-29
更新日
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