文献情報
文献番号
200921036A
報告書区分
総括
研究課題名
運動器疾患の発症及び重症化を予防するための適切なプロトコール開発に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-長寿・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岩谷 力(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
- 中村耕三(東京大学大学院医学系研究科)
- 藤野圭司(藤野整形外科医院)
- 赤居正美(国立障害者リハビリテーションセンター病院)
- 星野雄一(自治医科大学整形外科)
- 飛松好子(国立障害者リハビリテーションセンター病院)
- 萩野 浩(鳥取大学医学部保健学科)
- 林 邦彦(群馬大学医学部保健学科)
- 芳賀信彦(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
運動器疾患患者における運動・生活障害の発生予防・重度化防止のための適切な運動器リハビリテーションプロトコールを開発すること。
研究方法
1.運動器疾患障害化モデルの作成:運動器疾患患者、運動器疾患により特定高齢者、要支援1,2と認定された高齢者の疾患、心身機能、生活機能を調査し、疾患から要介護に至る過程をモデル化する。(対象)整形外科診療所で、腰痛、膝痛、骨粗鬆症、変形性関節症と診断された患者、ならびに併設介護施設で運動器機能低下によりデイケアサービスを利用している者。(調査項目)生活環境、既往歴、併存症、身体計測、主訴、X-P所見、運動器症状・機能、体力、生活機能、要介護度
2.文献検索:骨粗鬆症、変形性関節症、腰痛症の治療、リハビリテーション、生活指導に関する文献のsystematic reviewを行い、エビデンスを収集する。
3.加齢による姿勢変化、運動能力低下の発現機序に関する研究
高齢者の姿勢変化が運動機能におよぼす影響に関する生体力学的研究
2.文献検索:骨粗鬆症、変形性関節症、腰痛症の治療、リハビリテーション、生活指導に関する文献のsystematic reviewを行い、エビデンスを収集する。
3.加齢による姿勢変化、運動能力低下の発現機序に関する研究
高齢者の姿勢変化が運動機能におよぼす影響に関する生体力学的研究
結果と考察
結果
1.運動器疾患障害化モデルの作成
全国5カ所の医療機関から314名(男80名、女234名)のデータを得た。
膝痛と腰痛の有無により腰痛-・膝痛-群、腰痛+・膝痛-群、腰痛-・膝痛+群、腰痛+・膝痛+群の4群間で、有意差(P<.05)を認めた要因は、変形性膝関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、ビタミンD(25OHD)、膝関節内側関節面積、FTA(膝外側角)、握力、下肢脚力、長座体前屈、生活活動度であった。
2.Systematic review
今年度は、25のresearch questionを作成し、1989年から2008年の文献データベースから文献収集をおこなった。2804件の論文が検索され、576件が一次選択された。2010年5月現在、批判的吟味を進めている。
3.加齢による姿勢変化、運動能力低下の発現機序の解明
健常高齢者40名を対象に、姿勢と運動機能に関する生体力学的測定をおこなった。腰椎の可動性の減少が歩行時の重心移動軌跡のばらつきの拡大に関係していることが明らかになった。
考察
高齢運動器疾患患者の膝痛と腰痛の生活機能への影響は同程度であるが、膝痛と腰痛が重なると相加的に生活機能は低下する。痛みには、変形性膝関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、膝外側角、内側関節裂隙面積、握力、柔軟性、下肢脚力が関連していた。
1.運動器疾患障害化モデルの作成
全国5カ所の医療機関から314名(男80名、女234名)のデータを得た。
膝痛と腰痛の有無により腰痛-・膝痛-群、腰痛+・膝痛-群、腰痛-・膝痛+群、腰痛+・膝痛+群の4群間で、有意差(P<.05)を認めた要因は、変形性膝関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、ビタミンD(25OHD)、膝関節内側関節面積、FTA(膝外側角)、握力、下肢脚力、長座体前屈、生活活動度であった。
2.Systematic review
今年度は、25のresearch questionを作成し、1989年から2008年の文献データベースから文献収集をおこなった。2804件の論文が検索され、576件が一次選択された。2010年5月現在、批判的吟味を進めている。
3.加齢による姿勢変化、運動能力低下の発現機序の解明
健常高齢者40名を対象に、姿勢と運動機能に関する生体力学的測定をおこなった。腰椎の可動性の減少が歩行時の重心移動軌跡のばらつきの拡大に関係していることが明らかになった。
考察
高齢運動器疾患患者の膝痛と腰痛の生活機能への影響は同程度であるが、膝痛と腰痛が重なると相加的に生活機能は低下する。痛みには、変形性膝関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、膝外側角、内側関節裂隙面積、握力、柔軟性、下肢脚力が関連していた。
結論
今後2年にわたり、6ヶ月毎にデータの集積を予定している。その結果を用いて、運動器障害モデルの作成、機能予測式の作成を通じて、重症化予防プロトコールを作成する。
公開日・更新日
公開日
2010-05-27
更新日
-