膝痛の診断・治療に関する調査研究-関節マーカーを用いた早期診断と予後予測の確立に関する研究-

文献情報

文献番号
200921030A
報告書区分
総括
研究課題名
膝痛の診断・治療に関する調査研究-関節マーカーを用いた早期診断と予後予測の確立に関する研究-
課題番号
H20-長寿・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山田 治基(藤田保健衛生大学 医学部 整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 石黒直樹(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 馬淵昭彦(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 宗田大(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科)
  • 岩崎倫政(北海道大学 大学院 整形外科学)
  • 福井尚志(国立病院機構 相模原病院臨床研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
要介護となる末期変形性膝関節症(OA)患者を減少させるためOAを発症、重症化するpopulationを特異的なマーカーにより早期選別することを目的とする。
研究方法
1)大規模地域住民コホートに対するマーカーによる病態評価、2)OA軟骨変性に特異性の高い新規マーカーの開発の2方面からマーカーの有用性を検証した。
結果と考察
大規模コホートについては平成20年度の864名に平成21年度は新たに826名を加え合計1690名にのぼるコホートをもとにマーカーによるOAの早期診断における有用性を検証した。マーカーも合計6種類を測定した。血清COMPと血清HA、尿CTX-Iが膝OAの病期と正の相関を示すことを見出すことに成功した。OA病態の進行が身体機能低下と相関することが示された。軟骨マトリックスの分解フラグメントがOAの病態に密接に反映しており血中マーカーによるOA病態評価が可能であることを本邦の大規模コホートを使用して明らかにした。マウス軟骨中のN型糖鎖構造解析を行いOA早期より糖鎖構造が変化しているN型糖鎖を同定し、この構造の変化を生じさせる関連酵素の同定に成功した。II型コラーゲンフラグメントであるC2Cの検討については生活習慣病に対しての予防的運動習慣をもつグループと持たないグループとで膝関節機能および画像評価、QOL評価、マーカーの測定を行い適正な運動習慣を検討することの有用性を評価した。関節液中の間葉幹細胞の解析をOA早期発症の検知と進行予測に応用する研究では前十字靭帯損傷膝、及び変形性膝関節症の関節液中間葉幹細胞を定量し、関節鏡評価による軟骨変性度や、レントゲンによる重症度と相関するかを解析し、さらに変形性膝関節症の関節液中に存在する間葉幹細胞の遺伝子プロファイルを解析した。既存マーカーの効率的組み合わせでOA重症化の予測を行う研究ではOA関節各組織におけるマーカー発現を解析するためにOA軟骨と滑膜についてcDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、さらにいくつかの遺伝子についてはレーザー・マイクロダイセクションとqPCRによる発現解析を行った。
結論
OA病態をマーカーにより評価することが可能であり本評価法はOA発症、重症化を予知する簡便なスクリーニング法として応用が可能と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
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