職域での健診機会を利用した検査機会拡大のための新たなHIV検査体制の構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202220004A
報告書区分
総括
研究課題名
職域での健診機会を利用した検査機会拡大のための新たなHIV検査体制の構築に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20HB1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 秀人(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 増田 将史(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 生島 嗣(特定非営利活動法人ぶれいす東京 研究事業/支援・相談サービス)
  • 石丸 知宏(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 今橋 真弓(柳澤 真弓)(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,733,000円
研究者交替、所属機関変更
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター増田将史が追加となった。

研究報告書(概要版)

研究目的
平成30年度(2018年度)から、職域における健康診断の機会を利用してHIV感染症/エイズ及び梅毒(以下、エイズ等)の同時検査を実施することで検査の利用機会拡大とエイズ等の早期発見・早期治療を促進するモデル事業が開始された。本研究班は、平成7年に発出された「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」(以下ガイドライン)を遵守し、平成30年度以降、5業種9企業の健診等の機会にエイズ等の検査機会提供を行ってきた。モデル事業は終了となったが、平成31年度(令和元年度)から令和4年度の期間、研究として2企業でエイズ等検査機会提供が継続している。
本研究では、同じ事業所で継続してエイズ等検査機会を提供した場合の効果等の検証を行う。また、健診センターでオプション検査としてエイズ等検査を提供する場合の課題を検討する。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴い自己検査キット提供先等として重要な役割を果たしている薬局でエイズ等検査機会の提供を試みる。また、職域で行われているエイズ等検査に対するガイドラインの問題点を検証する。
研究方法
研究参画企業での継続的なエイズ等検査機会提供等はガイドラインを遵守して行う。疾病知識の普及啓発の実施主体は企業とする。検査機会は郵送検査キットによって提供する。継続的な検査機会提供の受検行動や疾病理解に対する効果を調査する。
福岡県内の健診機関で健診センターにおけるオプション検査としての実施の課題検討を行い、運用マニュアルを作成する。
愛知県内で薬局におけるエイズ等検査機会提供を試みる。
データ解析は、研究参画企業から従業員に対する受検勧奨圧力が生じないようにとの要望を受け、研究終了時点で参画企業全体を対象に解析を行う。企業個別の結果は公表しない。
(倫理面への配慮)
情報の収集、解析及び公開等について、国立病院機構名古屋医療センター臨床研究審査委員会(整理番号:2018-039、2018-035、2018-105)及び産業医科大学倫理委員会の承認(受付番号R4-018)を得て実施した。
結果と考察
2018年度から2022年度までに7企業でエイズ等検査機会提供を行った。そのうち、2企業で先行研究を含め2019年度から2022年度の全期間で継続的に検査機会提供を行った企業A(正社員数約3,200人)のキット取り寄せ者数(キット使用者数)は、638(425)→232(153)→197(125)→229(134)、企業B(正社員数約2,800人)では411(298)→137(95)→139(95)→68(47)であった。検査機会利用者に不利益は生じなかった。
健診センターでのエイズ等検査機会提供の試みでは、市販の郵送検査キットを用いることで、プライバシーの保護に留意したサービスの提供が可能であった。
薬局におけるエイズ等検査機会提供を試みたところ、2施設でそれぞれ6キット、9キット配布し、5キット、1キットが使用された。
産業医の視点から現ガイドラインの問題点等を検討したところ、プライバシー確保に格段の配慮を要するが故にHIV検査機会提供を不可とするのは理由にならないと評価された
検査実施継続企業ではエイズ等検査機会提供は、従業員が適切な情報に基づき判断して受検する環境が整ったが、20%以上の検査キットが未使用となる問題は未解決である。
健診センターにおけるオプション検査の提供は労働者のHIV感染症の教育機会としても寄与する可能性がある。「健診施設における郵送キットを用いたHIV検査マニュアル」を作成、研究班HPで公開した。
従業員が企業から補助を得てセルフテストキットを購入して検査をするという場面を想定し薬局でのエイズ等検査キット販売を試みたが、配布及び販売の広報の対象や方法に検討の余地がある。
健康情報取扱規程が適正に運用されればガイドラインを別途定める必要がない、すなわち、職域においてHIV感染症/AIDSもガンをはじめとする様々な健康の課題の一つして扱われるようになるのではと思われる。
結論
企業や健診センターにおける職域健診時等に一斉のエイズ等検査機会の提供は現時点では極めて困難であった。しかしながら、エイズ等の正しい知識の普及啓発効果に大きな意義があり、エイズ等の予防及びまん延の防止にも資すると思われる。職域では知識普及・啓発を促し、従業員が健診センターで健診を受検する際にオプション検査として選択し得る環境を整えるという方向性が現実的である。エイズ等は今もなお職域において関わってはいけない疾病と位置付けられているが、「健康情報取扱規程」の遵守及び「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」の適正な運用・改正等により、職域で労使共にHIVに係る課題に適切に対応することは可能になることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2023-12-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-12-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202220004B
報告書区分
総合
研究課題名
職域での健診機会を利用した検査機会拡大のための新たなHIV検査体制の構築に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20HB1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 秀人(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 増田 将史(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 生島 嗣(特定非営利活動法人ぶれいす東京 研究事業/支援・相談サービス)
  • 石丸 知宏(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 今橋 真弓(柳澤 真弓)(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター増田将史が追加となった。

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで、職域における健康診断の機会を利用したHIV感染症/エイズ及び梅毒(以下、エイズ等)の同時検査機会の提供を試み、5業種9企業の参画を得てきた。
その結果、適切な郵送検査キット利用と検査相談体制拡充によって「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン(以下、ガイドライン)」を遵守しつつ従業員に不利益なく検査機会を提供可能であることに加えて、職域はエイズ等の最新で正しい知識の普及と啓発に極めて有用であることを示した。また、より多くの企業の就業者にエイズ等検査の機会を提供するためには、エイズ等の検査ががんや肝炎ウイルス等と同様に健診のオプション検査に位置付けられ、広く健診センター等で提供されるようになることが望ましいと考えられた。
職域では、ガイドラインによりエイズ等は特に扱うべきでない課題とされた結果、ほとんどの産業保健業務従事者はエイズ等の課題に関わっていない。今後、職域でのHIV検査機会提供とエイズ等への差別偏見によって従業員が不利益を被る事例をなくすためには、適正なガイドラインの運用や改訂が必要である。
そこで、本研究では、協力企業において職域でのエイズ等検査機会提供を継続して実施し、職域におけるエイズ等検査機会の提供に関する課題の検討を行った。また、健診センターにおけるエイズ等検査機会の提供及び現行のガイドラインの運用に関する課題の検討も実施した。
研究方法
企業におけるエイズ等検診機会提供はガイドラインを遵守して行う。エイズ等検査機会は郵送検査キットにより提供する。広報と啓発は、研究班が啓発資材を提供し企業が独自に従業員に情報伝達を行う。郵送検査キット配布数及びキット利用者数を調査するとともに、受検者にはHIV感染症/エイズに関する知識確認を含むアンケート調査を実施する。知識確認アンケートは、平成30年1月に総務省で実施された「HIV感染症・エイズに関する世論調査」と比較できる形で啓発効果の検証を行う。受検希望者及び受検者数の解析は、研究参画企業から従業員に対する受検勧奨圧力が生じないようにとの要望を受け、研究終了時点で参画企業全体を対象に解析を行い、企業個別の結果は公表しない。
(倫理面への配慮)
情報の収集、解析及び公開等について、国立病院機構名古屋医療センター臨床研究審査委員会(整理番号:2018-039、2018-035、2018-105)及び産業医科大学倫理委員会の承認(受付番号R4-018)を得て実施した。
結果と考察
郵送検査キットの仕組みを利用・応用して様々な検査機会の提供の仕組みを構築した。2018年度から2022年度までに7企業でエイズ等検査機会提供を行い、総計3,530キットが取り寄せられ、1,857キットが使用された。2019年度から2022年度の全期間継続して検査機会を提供している企業A(正社員数約3,200人)及び企業B(正社員数約2,800人)の実施期間中の通算キット取り寄せ者数(キット使用者数)はそれぞれ1296人(837人)、では755人(535人)であった。キットを取り寄せながら受検しなかった理由を調査したところ、ランセット針を用いた自己採血の難しさ、煩わしさが主な原因であった。
企業におけるエイズ等検査機会提供の最も大きな意義は、就労者に対するエイズ等の正しい知識の普及啓発である。また、検査提供及び受検者等の支援体制の充実のため、健診センター等の産業保健業務従事者への知識普及も必要である。
健康情報取扱規程が適正に運用されればガイドラインを別途定める必要はないと考えられる。
結論
従業員の健康情報の適正な管理やプライバシー保護が適切に行われている企業では、職域でエイズ等検査機会提供が可能なことが明らかになった。企業や健診センターにおける職域健診時等におけるエイズ等検査機会の提供はHIV検査の受検者増につながる。また、健診センターでのHIV検査の経験の蓄積により、保健所検査の外部委託先の候補となる可能性がある。
また、健診センター等でオプション検査としてHIV検査を提供されるようになれば、従業員へのHIV検査機会提供が増えるとともに、健診センター従事医や産業医の疾病理解を進むことも期待される。職域における産業医や保健師などの専門職の役割を確認する契機にもなり、HIV感染者が不条理な扱い受けない職場環境が整備される可能性がある。
ガイドラインは海外赴任時のビザ取得のためのHIV検査受検などが現在の記載や運用では抵触すると評価された。「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」の適正な運用や改正により、職域で労使共にHIVに係る課題に適切に対応することが可能になる。

公開日・更新日

公開日
2023-12-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-12-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202220004C

収支報告書

文献番号
202220004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,352,000円
(2)補助金確定額
11,352,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,276,025円
人件費・謝金 1,817,664円
旅費 201,340円
その他 2,437,971円
間接経費 2,619,000円
合計 11,352,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
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