悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索

文献情報

文献番号
200918006A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索
課題番号
H19-臨床試験・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
斎田 俊明(国立大学法人信州大学 医学部皮膚科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 直也(国立がんセンター中央病院皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,926,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本人の悪性黒色腫患者を対象に、統一された手技でセンチネルリンパ節生検を多施設共同研究として実施し、特に使用する検査薬の安全性と有効性を評価する。
研究方法
以下のような共通プロトコールに沿って症例を集積し本検査の安全性と有効性を評価する。
<評価予定の薬剤>(商品名)
色素:インジゴカルミン(インジゴカルミン注第一)、インドシアニングリーン(ジアグノグリーン注)、パテントブルー
RI標識コロイド:スズコロイド(スズコロイド注調整用キット、スズコロイド注セット)、フチン酸(テクネフチン酸キット)
結果と考察
結果:
共通プロトコール作成前の平成19年1月~平成20年3月と、作成後の平成20年4月~平成211年10月までの症例を集積し、解析を行った。総症例数は668例でセンチネルリンパ節の同定率は97.9%であった。使用された色素はパテントブルー609例、インドシアニングリーン87例、インジゴカルミンが34例であった(重複有)。山崎の検討では、インドシアニングリーンによる同定率は100%であった(52/52)。コロイド剤別同定率は、スズコロイド剤が96.3%(237/246)、フチン酸が99.2%(361/364)、RIを使用せず色素のみで行った場合は96.6%(56/58)であった。リンパ節が同定できなかった症例は14例あり、うち8例は原発巣が頭頚部領域に存在する症例だった。色素法とRI法を併用した症例でどちらか片方で同定できなかった症例が6.5%(39/597)あった。問題となる有害反応は何も認められなかった。ただし、パルスオキシメーターにて低値を示した症例がみられたが、用いた生体色素のための見かけ上の低値であって、何の問題も生じなかった。
考察: 
生体色素、RI標識用コロイド剤の種類による同定率に大きな差は認められなかった。頭頚部領域は同定率が下がること、色素法とRI法の併用が重要であることが示唆された。
結論
本検査は有益で安全性も高いことが示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200918006B
報告書区分
総合
研究課題名
悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索
課題番号
H19-臨床試験・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
斎田 俊明(国立大学法人信州大学 医学部皮膚科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 直也(国立がんセンター中央病院 皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本人の悪性黒色腫患者を対象に、統一された手技でセンチネルリンパ節生検を多施設共同研究として実施し、特に使用する検査薬の安全性と有効性を評価する。
研究方法
 以下のような共通プロトコールに沿って症例を集積し本検査の安全性と有効性を評価する。
<評価予定の薬剤>(商品名)色素:インジゴカルミン(インジゴカルミン注第一)、インドシアニングリーン(ジアグノグリーン注)、パテントブルー、RI標識コロイド:スズコロイド(スズコロイド注調整用キット、スズコロイド注セット)、フチン酸(テクネフチン酸キット)
 平成19年度にプロトコールを作成し、症例集積を開始した。平成20年度に中間解析を行い進捗状況やプロトコールについてチェックを行った。最終的に、全国の24の大学病院あるいはがん専門病院の協力が得られ、共通プロトコール作成前の平成19年1月~平成20年3月と、作成後の平成20年4月~平成21年10月までの症例が集積された。
結果と考察
最終解析時の総症例数は668例で、センチネルリンパ節の同定率は97.9%であった。使用された色素はパテントブルー609例、インドシアニングリーン87例、インジゴカルミンが34例であった(重複有)。山崎の検討では、インドシアニングリーンによる同定率は100%であった(52/52)。コロイド剤別同定率は、スズコロイド剤が96.3%(237/246)、フチン酸が99.2%(361/364)、RIを使用せず色素のみで行った場合は96.6%(56/58)であった。リンパ節が同定できなかった症例は14例あり、うち8例は原発巣が頭頚部領域に存在する症例だった。色素法とRI法を併用した症例でどちらか片方で同定できなかった症例が6.5%(39/597)あった。問題となる有害反応は何も認められなかった。ただし、パルスオキシメーターにて低値を示した症例がみられたが、用いた生体色素のための見かけ上の低値であって、術前検討時に麻酔科医を含めた情報提供を行うことが確認された。解析により、生体色素、RI標識用コロイド剤の種類による同定率に大きな差は認められず、これらの薬剤を使用すれば高率にセンチネルリンパ節を同定できることが示された。また、頭頚部領域は同定率が下がること、色素法とRI法の併用が重要であることも明らかとなった。
結論
本検査は有益で安全性も高いことが示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200918006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本邦人のメラノーマ罹患率は10万人あたり1-2人と少なく、センチネルリンパ節生検の適応になる患者はさらに絞られる。これまで国内で行われてきた研究の規模は300人程度であり、方法も施設ごとにばらつきがあった。今回は共通した試験方法による短期間の多施設共同研究であり、本邦から海外に対して発することができる数少ないデータである。
臨床的観点からの成果
今回完全な共通プロトコール下で多施設共同前向き試験として3年間で600例を超える症例を集積し、安全性と有効性(同定率)を確認できたことは特筆すべき業績と考えている。今回の試験結果(中間解析)は本試験の保険収載への資料として用いられた。また、今回に試験によりに本邦におけるメラノーマに対するセンチネルリンパ節生検の標準的な方法を確立できたことは、今後の普及に際し、安全性を確保するための指標になると考えている。
ガイドライン等の開発
皮膚悪性腫瘍ガイドラインの改訂が進められており、その資料として使用が予定されている。
その他行政的観点からの成果
2010年4月からの当技術の保険適応が認められたが、その審議に際し、本研究の中間解析結果が参考資料として使用された。
その他のインパクト
第48回日本癌治療学会のシンポジウムで発表予定

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
日本皮膚悪性腫瘍学会(2010年6月、東京)
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Uhara H, Takata M, Saida T.
Sentinel lymph node biopsy in Japan
Int J Clin Oncol , 14 , 490-496  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-