文献情報
文献番号
202216011A
報告書区分
総括
研究課題名
地域リハビリテーションの効果的な提供に資する指標開発のための研究
課題番号
22GA1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 尚久(千葉県千葉リハビリテーションセンター 診療部)
研究分担者(所属機関)
- 田中 康之(千葉県千葉リハビリテーションセンター 地域支援センター)
- 五百川 和明(福島県立医科大学 保健科学部作業療法学科)
- 鈴木 英樹(北海道医療大学 リハビリテーション科学部理学療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、都道府県での支援体制の整備状況と市町村での支援事業の実施状況について既存データの分析およびヒアリング調査を実施し、効果的な地域リハビリテーションの提供に資する指標案を目的とする。なお研究実施にあたり一般社団法人日本リハビリテーション病院・施設協会の協力を得ている(以下、リハビリテーションをリハと略す)。
研究方法
「都道府県地域リハ支援体制と市町村地域リハ活動支援事業の関係性の確認」のために、千葉県地域リハ支援体制整備推進事業の主管課が2021年(令和3年)7月に全国都道府県の健康福祉関係担当課に対して実施した調査結果と、厚生労働省の令和3年度 介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況に関する調査結果を活用し、都道府県地域リハ支援事業の有無と市町村事業の実施状況の比較と、リハ専門職の派遣状況の比較を行う。
「市町村側から見た都道府県地域リハ支援体制の活用の確認」のために、一般社団法人日本リハ病院施設協会より、先行研究で実施した市町村調査と都道府県調査に関する調査票および調査結果の提供をいただき、市町村側から見た都道府県地域リハ支援体制の活用状況等を確認するに資する設問を抽出し、既存データより再分析を行う。
「市町村事業担当者が都道府県地域リハ支援体制に期待する機能・役割の確認」のために、既存データの再分析結果を参考に、市町村事業担当者が都道府県の地域リハ支援体制を活用して市町村介護予防事業を効果的に実施していると認識している市町村の事業担当者へのヒアリングを行い、定性的な分析から、市町村事業担当者が都道府県地域リハ支援体制に期待する機能・役割の確認を行う。
「市町村介護予防事業の支援に有用な都道府県地域リハ支援体制の機能・役割の確認」のために、先駆的な活動をしている都道府県リハ支援センターにヒアリングを行い、都道府県地域リハ支援体制側から考える市町村介護予防事業の支援に有用な支援体制の機能・役割を定性性的に確認し、そのチェックリスト案を作成する。
「市町村側から見た都道府県地域リハ支援体制の活用の確認」のために、一般社団法人日本リハ病院施設協会より、先行研究で実施した市町村調査と都道府県調査に関する調査票および調査結果の提供をいただき、市町村側から見た都道府県地域リハ支援体制の活用状況等を確認するに資する設問を抽出し、既存データより再分析を行う。
「市町村事業担当者が都道府県地域リハ支援体制に期待する機能・役割の確認」のために、既存データの再分析結果を参考に、市町村事業担当者が都道府県の地域リハ支援体制を活用して市町村介護予防事業を効果的に実施していると認識している市町村の事業担当者へのヒアリングを行い、定性的な分析から、市町村事業担当者が都道府県地域リハ支援体制に期待する機能・役割の確認を行う。
「市町村介護予防事業の支援に有用な都道府県地域リハ支援体制の機能・役割の確認」のために、先駆的な活動をしている都道府県リハ支援センターにヒアリングを行い、都道府県地域リハ支援体制側から考える市町村介護予防事業の支援に有用な支援体制の機能・役割を定性性的に確認し、そのチェックリスト案を作成する。
結果と考察
都道府県地域リハ支援体制が運営されている都道府県にある市町村の方が、市町村地域リハ活動支援事業を実施している割合が有意に高かった。また、リハ専門職の市町村派遣に関しては、理学療法士のみ派遣割合が高いことが確認された。
都道府県リハ支援センターや広域支援センターと濃密な連携が図られている市町村は約3割程度であった。
都道府県の地域リハ支援体制を活用して介護予防事業を効果的に実施していると認識している市町村の事業担当者は、都道府県の地域リハ支援体制に対して人材確保以外に、当該事業に関わる人・情報・市町村同士を繋げ、より良い事業を作り上げるための支援等を欲していた。さらに、リハ専門職に対しても地域を見るという視点を持ち、事業計画や運営・評価等への関わりや、多職種・多領域のつなぎ役となる期待があった。
先駆的な活動をしている都道府県リハ支援センターは、都道府県地域リハ支援体制として、人材育成・派遣を含め、実施主体である都道府県がビジョンを明確にし、それを関係機関と共有していること、都道府県リハ支援センターや広域支援センターはそれぞれ都道府県全体・圏域全体を俯瞰した「つなぐ機能」「調整する機能」「組織化する機能」を有することが市町村介護予防事業担当者に有用であると考えていることが確認された。
これらのことから都道府県の地域リハ支援体制として、協議会・県支援センター・広域支援センターそして協力機関を設置すること有りきではなく、事業実施主体である都道府県が人材育成・派遣をどのように考えるのか等、事業ビジョンが明確にされ、それを関係機関で共有していることが市町村介護予防事業の支援に資する前提であることが改めて確認できたと考える。
今回、これらヒアリングの結果を基に、人材育成・派遣を軸とした都道府県の地域リハ支援体制の機能・役割の状況を確認するチェックリスト案を作成した。
都道府県リハ支援センターや広域支援センターと濃密な連携が図られている市町村は約3割程度であった。
都道府県の地域リハ支援体制を活用して介護予防事業を効果的に実施していると認識している市町村の事業担当者は、都道府県の地域リハ支援体制に対して人材確保以外に、当該事業に関わる人・情報・市町村同士を繋げ、より良い事業を作り上げるための支援等を欲していた。さらに、リハ専門職に対しても地域を見るという視点を持ち、事業計画や運営・評価等への関わりや、多職種・多領域のつなぎ役となる期待があった。
先駆的な活動をしている都道府県リハ支援センターは、都道府県地域リハ支援体制として、人材育成・派遣を含め、実施主体である都道府県がビジョンを明確にし、それを関係機関と共有していること、都道府県リハ支援センターや広域支援センターはそれぞれ都道府県全体・圏域全体を俯瞰した「つなぐ機能」「調整する機能」「組織化する機能」を有することが市町村介護予防事業担当者に有用であると考えていることが確認された。
これらのことから都道府県の地域リハ支援体制として、協議会・県支援センター・広域支援センターそして協力機関を設置すること有りきではなく、事業実施主体である都道府県が人材育成・派遣をどのように考えるのか等、事業ビジョンが明確にされ、それを関係機関で共有していることが市町村介護予防事業の支援に資する前提であることが改めて確認できたと考える。
今回、これらヒアリングの結果を基に、人材育成・派遣を軸とした都道府県の地域リハ支援体制の機能・役割の状況を確認するチェックリスト案を作成した。
結論
都道府県地域リハ支援体制は、関係機関等とのビジョンの共有を図り、支援体制を主に構築する協議会・県支援センター・広域支援センターそして協力機関等の人材育成・派遣を軸とした機能・役割を明確にすることで、これまで以上に市町村介護予防事業の支援に有用な事業になり得る可能性が高い。
公開日・更新日
公開日
2023-05-31
更新日
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