脳保護薬のDDS評価を可能にする超高解像度SPECT技術の開発

文献情報

文献番号
200917015A
報告書区分
総括
研究課題名
脳保護薬のDDS評価を可能にする超高解像度SPECT技術の開発
課題番号
H21-トランス・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 銭谷 勉(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)
  • 古幡 博(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
  • 横山 昌幸(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
  • 飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経外科)
  • 鷲野 弘明(日本メジフィジックス株式会社)
  • 工藤 博幸(筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
  • 菅野 巖(放射線医学総合研究所 分子イメージング センター)
  • 吉田 洋一(株式会社モレキュラーイメージングラボ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業では、脳保護薬や治療薬の疾患領域への到達(DDS)と血液脳関門の透過性を評価するために、高解像度かつ高感度で、定量的な画像診断の確立を目指し、放射性同位元素を用いた超高解像度SPECTを開発する。また、神経細胞の残存や組織血流量、血管反応性などの生理機能の定量画像に基づき、新規治療法の有効性を総合的に評価する。本年度は、DDS評価体系の構築、超高解像度定量SPECT撮像のための画像再構成法の検討、組織血流量などの生理機能を定量する手法およびMRI画像との重ね合わせ手法の検討を目的とした。
研究方法
DDS評価体系の構築として、小動物用経頭蓋超音波照射システムの整備、ラット脳梗塞モデル状態のMRI画像(9.4T)による確認を行った。また、高分子ミセルMRI造影剤が脳梗塞画像診断造影剤として十分な性能を有するか評価した。画像再構成法の検討では、局所領域を高解像度定量撮像するために、トランケーション投影データ(欠損データ)からのCT/SPECT画像再構成理論を構築した。また、吸収補正、散乱線補正、コリメータ開口補正を組み込んだ画像再構成法を、中視野検出器SPECTに適用し、一連のファントム実験を行い、補正効果を確認した。機能定量手法の検討では、脳血流SPECTおよび脳循環代謝PETに、MRI画像を重ね合わせ、過灌流状態を詳細に評価し、臨床的有効性を確認した。
結果と考察
小動物用経頭蓋超音波照射システムが整備でき、ラット脳梗塞モデルのMRI画像が得られた。また、高分子ミセル型MRI造影剤は、ABC現象を誘発せず、3mmの固形がんの微細構造を描出可能であり、脳梗塞の高解像度定量診断への有効性が示唆された。トランケーション投影データからの画像再構成理論を構築し、シミュレーションとCTファントム実験で理論の正当性を確認できた。また、吸収補正、散乱線補正およびコリメータ開口補正を組み込んだ画像再構成法は、開発中のSPECT装置で補正効果を確認することができた。従って、超高解像度定量画像化の基盤技術が確立できた。さらには、脳血流SPECTやPETの脳循環代謝の生理機能の定量画像とMRIによる形態画像を重ね合わせることで、術後の過灌流についての詳細な評価が可能であった。ラット脳微小血管構築の計測データも得られた。
結論
脳保護薬DDS評価のための超高解像度SPECT技術開発の基盤整備ができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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