就労制限を来たした慢性疼痛患者の就労支援に寄与する多角的包括的研究

文献情報

文献番号
202215002A
報告書区分
総括
研究課題名
就労制限を来たした慢性疼痛患者の就労支援に寄与する多角的包括的研究
課題番号
22FG1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
井上 真輔(愛知医科大学 医学部運動療育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 敬之(東京大学 医学部附属病院 22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)
  • 松平 浩(東京大学 医学部附属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)
  • 吉本 隆彦(昭和大学 医学部 衛生学公衆衛生学講座)
  • 福井 聖(滋賀医科大学・医学部)
  • 髙橋 直人(公立大学法人 福島県立医科大学 医学部疼痛医学講座)
  • 笠原 諭(東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター)
  • 高橋 紀代(医療法人 篤友会 篤友会リハビリテーションクリニック )
  • 鉄永 倫子(川田 倫子)(岡山大学病院 整形外科)
  • 城 由起子(名古屋学院大学 リハビリテーション学部)
  • 酒井 美枝(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
  • 若泉 謙太(慶應義塾大学 医学部)
  • 今村 寿宏(独立行政法人労働者安全機構 九州労災病院 勤労者骨・関節疾患治療研究センター、整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 慢性の痛み政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、就労年代の慢性痛に起因する社会参加制限や経済損失が大きな社会的問題として注目されるようになり、就労者の慢性痛への対策がより一層求められている。
この研究では、新たに『慢性の痛み患者への就労支援の推進に資するための多角的包括的研究』として、以下の取り組みを起草し、研究により就労者の慢性痛への支援をより効果的に行うことを目指している。
1.これまでに作成した慢性痛の2次および3次予防マニュアルを、医療機関や企業と提携して実用性を検証し、完成・普及させる。
2.愛知医科大学の慢性痛マネジメントプログラムは若中年の難治性患者に適応して良好な成績を獲得しており、同プログラムを標準化し、痛みにより就労継続困難となった患者用の包括的就労復帰支援パッケージを新たに開発する。
3.研究代表者および分担者の専門性を活かし、就労の現場で度々対応が求められる腰仙根性症候群と発達障害の慢性痛について産業保健スタッフ向けのマニュアルを作成する。
4.働く女性が抱える慢性痛の問題に取り組み、疫学調査を通じて実態と課題を明らかにする。働く女性が抱える慢性痛の問題に取り組み、疫学調査を通じて実態と課題を明らかにする。
研究方法
6グループに分けて研究を遂行する。
①3次予防グループ
慢性痛の評価・治療に欠かせない心理社会的要因を簡便に抽出し、介入につなげるFlag systemをクラウド上で管理するシステム YORISOIAIを完成させて実臨床の現場で使用し、各項目の重要度を再検証しつつ更なるブラッシュアップを図る。
② 2次予防グループ
松平班で開発した2次予防マニュアルを複数の企業(産業保健スタッフ)で試行し、問題点を洗い出して実用的なマニュアルに改良する。
③ 集中・包括的復職支援グループ
愛知医科大学の集学的慢性痛マネジメントプログラムPAIN CAMPの改良を加え、就労支援に特化した運動・心理療法の種類や強度・量および言語化された指導ノウハウを含む包括的介入パッケージとして標準化する。
④ 腰仙根性症候群グループ
産業保健スタッフと臨床側の連携にも寄与する腰仙根性症候群への手術適応や合併症率、および術後リハ内容を含む対応マニュアル案を作成する。
⑤精神医学グループ
ADHD治療薬が、労働機能障害を含むアウトカムを改善するかを前向き研究にて検証する。並行してインターネットを利用した認知行動療法(慶應大I-CBT)を、不安障害やうつとともに慢性痛を抱える患者に適用しつつ有用性を検証する。
⑥ウィメンズヘルスグループ
就労環境における女性特有の課題(月経、妊娠、出産、産後復帰、育児、更年期障害等)に関連する痛みについて就労の視点から、疫学的アプローチを駆使して働く女性の慢性痛の実態と社会損失を明らかにする。
結果と考察
①3次予防グループ
心理社会的フラッグシステムを用いて、実際に慢性疼痛患者に妥当性および有用性を評価し検証したところ、有用な手段であることが判明した。目下クラウド上で管理するシステム YORISOIAIを開発中であり、臨床で機能できるようブラッシュアップを図る。
②2次予防グループ
フォーカスグループインタビューの概要について協議し、複数名の産業医・産業看護職にインタビューへの参加協力を依頼し、今後実施予定である。令和4年度末に、就労者の抱える健康上の不調とプレゼンティーズム・ウェルビーイングについての全国調査をインターネットにて実施した。次年度に統計解析を行いその実態と問題点を把握する予定。
③集中・包括的復職支援グループ
エキスパートオピニオンを集約して、痛みにより就労継続困難となった患者用の包括的就労復帰支援パッケージを新たに開発し、2名の難治性慢性痛患者に適応した。次年度には、プレリミナリーの臨床成果をもとに、さらに実施期間の調整・コンテンツのブラッシュアップなどを行い、症例数を増やす予定。
④腰仙根性症候群グループ
産業保健スタッフに向けた腰椎椎間板ヘルニアに対する最低限の基本知識を共有する項目を検討。次年度には、コンテンツを追加、ブラッシュアップ、仮運用を行う。
⑤精神医学グループ
ADHD治療薬のRCTに向けての体制構築の準備を進めるとともに、その介入研究の実施根拠を示すための論文作成と出版を行った。
⑥ウィメンズヘルスグループ
疫学調査を行うため文献を収集し、課題抽出を行い、調査項目の選定を行った。次年度にはアンケートを完成させ、インターネットを介した疫学調査を実施予定。得られた結果を基に結果を統計解析する。
結論
研究の進捗状況は、ほぼ計画通り順調に進行している。次年度は研究グループを再編成し、より効率的に研究を遂行する予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202215002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
9,989,000円
差引額 [(1)-(2)]
11,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,746,954円
人件費・謝金 703,326円
旅費 271,118円
その他 3,967,723円
間接経費 2,300,000円
合計 9,989,121円

備考

備考
余剰金10,879円発生

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-