行動科学を基盤とした科学的根拠に基づく臓器・組織移植啓発モデルの構築に関する研究

文献情報

文献番号
202214005A
報告書区分
総括
研究課題名
行動科学を基盤とした科学的根拠に基づく臓器・組織移植啓発モデルの構築に関する研究
課題番号
22FF1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
瓜生原 葉子(学校法人同志社 同志社大学 商学部)
研究分担者(所属機関)
  • 丸橋 繁(公立大学法人 福島県立医科大学 医学部 肝胆膵・移植外科学講座)
  • 島田 光生(徳島大学大学院 医歯薬学研究部 消化器・移植外科学)
  • 江川 裕人(東京女子医科大学 消化器外科)
  • 渥美 生弘(社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院救命救急センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器・組織提供数の増加を目指し、その障壁となっている啓発に関する行動課題を特定し、その解決のための「行動変容」促進因子と方策を明らかにすることである。目的を達成するための具体的な目標を以下と設定する。①地域の啓発に必要な資源の網羅的調査と必要資源の明確化②地域啓発プロセスの開発とそのパイロット検証③プロセスモデルの複数地域における実証④医療者への啓発課題の抽出と施策策定・実施⑤地域における啓発の共創環境整備と実装への参画
研究方法
①全国47都道府県に、移植啓発世話人(移植学会)及び都道府県コーディネーター(JOT)を選任し、移植啓発チーム設定した。47 都道府県の啓発資源(医療従事者・行政・市民団体・賛同企業など)活動実績について把握することを目的とし、R4年7月に「発活動内容・頻度の調査」、R5年1月に「地方自治体との連携の実態調査」の全国一斉アンケート調査を実施した。②10府県、14,562名の市民を対象とした定量分析から既導出の意思表示行動メカニズムを精緻化した。また、科学的根拠に基づき実施された既存の啓発プロセスを検討・精緻化し、啓発マニュアルのドラフトを作成した。③R4年8月28日に福島県にて移植に関する市民公開講座を開催し、これを一般啓発の社会実装介入とし、介入による効果の測定を前後に実施した。また、福島県民の臓器移植・提供に関する態度・行動について、市民を対象としたアンケート調査を実施した。④-1日本移植学会主催にてR4年12月5日にメディアワークショップを開催した。参加者よりアンケートをとり、その結果を雑誌「移植」に投稿し、当日の講演内容の特集記事とともに掲載した。④-2複数例の臓器提供を行っている病院に勤務する医師、看護師にフォーカスグループインタビューを行う。臓器提供に関わった時の苦悩や葛藤、臓器提供に関わった時の達成感、医療者自身の臓器提供への認識の変化についてインタビューする。また、インタビューは録音した上で文字に起こし、質的帰納的に分析する。
結果と考察
①協働先(移植学会臓器提供普及啓発委員会、JOT、都道府県コーディネーター)と新たな移植啓発チームの体制を整備し、47都道府県の啓発資源(医療従事者、行政、市民団体、賛同企業など)、活動実績について網羅的な調査をおこなった。その結果、行政・マスコミ・教育機関などとの協力体制や人員、予算確保の必要性が示された。自治体の担当者が1-2年毎に変わることも課題となる。現在前回の調査結果を受け、行政との連携についてのアンケート調査を実施、R5年度はその結果の分析予定である。②10府県、14,562名の市民を対象とした定量分析から既導出の意思表示行動メカニズムを精緻化し、また、科学的根拠に基づき実施された既存の啓発プロセスを検討・精緻化し、啓発マニュアルのドラフトを作成した。作成した啓発マニュアルのドラフトについてはR5年度から検証をおこない、精査していく予定である。③行動科学に基づく市民公開講座を企画・開催し、その効果把握として、講座の前後で来場者の態度・行動の変化を測定した。また、取材依頼を行い、新聞やローカル番組で取り上げられた。後日再度特集も組まれ、より多くの方への啓発につながった。福島県の一般市民への意識調査アンケートも実施し、福島県の現状把握をおこなった。R5年度は、前述のアンケート調査結果の解析(福島県と他県の比較)や医療者を対象とした聞き取り調査を実施予定である。④-1メディアワークショップを行い、移植報道に携わるメディアへの理解促進を図った。その内容を、『移植』に掲載(現在査読中)し、医学生の教育コンテンツとする予定である。また、R5年度から新人メディアを対象としたメディアワークショップを実施予定である。R5-6年度は,分析から課題を抽出し,解決策を策定・実施する。また,調査から浮き彫りになった医療者の思い・考えを一般に発信する体制づくりを行い,一般からの信頼を高める。④-2臓器提供の普及に必要な医療者の意欲を上げる(インセンティブ、患者・家族ケア)ことに着目した探索的調査をおこなっている。複数例の臓器提供を経験している医療者を対象としたインタビュー調査を計画した。本研究の研究計画書は山口大学の倫理委員会で承認された。また、依頼文、研究概要書、同意説明書、同意書と撤回書、インタビューガイドを作成した。R5年度、調査を実行、分析し結果を公表予定である。
結論
R4年度は研究課題の抽出や必要資源の明確化のために、各種定量調査や定性調査を各々の研究者がおこない分析をした。R5年度は調査結果をより精緻化し、発信や共有のための仕組みづくりを行うことで、よりよい行動変容を促すための要因を探索する予定である。また、啓発マニュアルのドラフトの検証など各分担班が協働しながら研究を進める。

公開日・更新日

公開日
2023-12-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-12-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202214005Z