先天性骨系統疾患の医療水準と患者QOLの向上を目的とした研究

文献情報

文献番号
202211079A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性骨系統疾患の医療水準と患者QOLの向上を目的とした研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FC1012
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
窪田 拓生(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
  • 芳賀 信彦(国立障害者リハビリテーションセンター  自立支援局)
  • 鬼頭 浩史(あいち小児保健医療総合センター 臨床研究室)
  • 室月 淳(東北大学大学院医学系研究科医科学専攻先進成育医学講座胎児医学分野)
  • 宮崎 治(国立成育医療研究センター 放射線診療部)
  • 道上 敏美(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 研究所 環境影響部門)
  • 山田 崇弘(北海道大学大学院医学研究科総合女性医療システム学講座)
  • 難波 範行(鳥取大学 医学部)
  • 蒔田 芳男(旭川医科大学 医学部 病院遺伝子診療カウンセリング室)
  • 岡田 慶太(東京大学 医学部附属病院 入退院センター/整形外科)
  • 松下 雅樹(名古屋大学医学部附属病院整形外科)
  • 兒玉 祥彦(宮崎大学 医学部 小児科)
  • 上妻 友隆(国立病院機構佐賀病院 産婦人科)
  • 大幡 泰久(大阪大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
12,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定難病と小児慢性特定疾病(小慢)の骨系統疾患、①タナトフォリック骨異形成症(指275)、②軟骨無形成症(ACH)(指276・小)、③低ホスファターゼ症(HPP)(指172、小)、④骨形成不全症(OI)(指274、小)、⑤大理石骨病(指326・小)を基本的な対象とする。小慢のみ認定の、⑥2型コラーゲン異常症関連疾患、⑦TRPV異常症(変容性骨異形成症等)、⑧カムラティ・エンゲルマン症候群、未認定で候補の⑨骨パジェット病、新概念⑩遺伝性骨系統疾患も対象とする。学会と連携しながら、指定難病の診断基準策定、診療ガイドライン改訂、患者・成人患者調査、疾患レジストリの構築、疾患マニュアルの改訂、改訂国際分類の和訳を行い、骨系統疾患各疾患の医療水準と患者QOLの向上のために研究を推進する。
研究方法
1)診断基準・重症度・診療ガイドライン:軟骨無形成症、低ホスファターゼ症、骨形成不全症、2型コラーゲン異常症関連疾患について、表現型、遺伝子型、その関連性を検討し、診療ガイドライン改訂のための課題の抽出を行う。
2)疾患レジストリ:軟骨無形成症、2型コラーゲン異常症関連疾患、低ホスファターゼ症、骨形成不全症
3)患者調査、成人期調査:骨形成不全症の成人期の循環器系合併症の調査、TRPV4異常症、カムラティ・エンゲルマン症候群の実態調査。多中心性手根骨足根骨溶解症と偽性軟骨無形成症のADL関連因子の抽出。障害者総合支援法と骨系統疾患の関係性。
4) 骨系統疾患マニュアル改訂第3版の発刊。
5) 胎児期所見:低ホスファターゼ症の胎児期と出生後の検査所見やX線所見の収集。
結果と考察
1)診断基準・重症度・診療ガイドライン:
②ACHにおいて成長ホルモン(GH)治療を受けた11名(女性9名)の成人身長は男性平均141.5cm、女性平均141.2cmであった。脚延長分を除くと、男性平均135.4cm、女性平均127.8cmであった。身長SDSをACH成長曲線より換算するとGH開始時身長SDSが-0.04であるのに対して、成人身長は+0.80であった。また、移行期支援ガイドを作成中である。
⑥2型コラーゲン異常症関連疾患の表現型と遺伝子解析を実施し、82例の患者検体から遺伝子解析を実施した。45例に病的バリアントを認めた。先天性脊椎骨端異形成症(SEDC)25例のうち21例に病的バリアントを認めた。イントロンにバリアントを認めた3例は表現型がすべてKniest骨異形成症であった。
③HPPの「HPP診療ガイドライン」と「HPPモニタリングガイダンス日本版」の普及に努めた。ALPL遺伝子の解析と同定されたバリアントの機能解析を行った。。
④骨形成不全症の診療ガイドライン改訂は日本小児内分泌学会骨代謝委員会と連携してCQ (案) および推奨文 (案)を策定した。
⑦TRPV4異常症の診断基準と重症度分類について日本整形外科学会で承認を受け、指定難病検討委員会で検討された。
2)疾患レジストリ:
②ACHの難病プラットフォームのレジストリは、2施設で登録を開始し、現在32例登録済である。
③HPP74名が登録された。
④OI患者89名(男性48名、女性41名)の登録がなされた。84名に病的バリアントが同定されていた。
3)患者調査、成人期調査:
④OIの成人23名の検討において頭部MRI/MRAで頸動脈瘤3名、頭蓋底陥入症3名が同定された。
⑧カムラティ・エンゲルマン症候群の現在一次調査の集計が終了した。15症例の存在が確認された。
⑦TRPV4異常症の全国調査研究において、12名の患者(うち成人6名)を把握できた。患者12名中重症は7名(58.3%)であった。
多中心性手根骨足根骨溶解症では腎機能不全を合併する症例では大関節にも骨溶解が見られることが分かった。偽性ACH(小慢)では成長と共に進行性に下肢変形が生じ、歩行障害をもたらすことが分かった。
障害者総合支援法の対象疾病と、国際分類に基づく骨系統疾患の間の関係性を調査した。現時点で障害者総合支援法の対象となっている366疾病のうち28疾病が骨系統疾患国際分類に収載されており、それは骨系統疾患国際分類に収載されている全461疾患のうち108疾患に相当していた。疾病の予後に関する記載は様々であった。
4)「骨系統疾患マニュアル」(本研究班の対象疾患を含む)を15年ぶりに全面的に改定し、改訂第3版を刊行した。
5)胎児期所見:③HPP胎児期と出生後の検査所見やX線所見を収集した。
結論
指定難病と小児慢性特定疾病(小慢)の骨系統疾患各疾患において、学会と連携しながら、診断基準策定、診療ガイドライン改訂、患者・成人患者調査、疾患レジストリの構築、疾患マニュアルの改訂を行い、骨系統疾患各疾患の医療水準と患者QOL向上のために研究を推進する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211079Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,990,000円
(2)補助金確定額
14,240,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,750,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,660,702円
人件費・謝金 537,560円
旅費 963,459円
その他 4,388,459円
間接経費 3,690,000円
合計 14,240,180円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-02-02
更新日
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