ヒトソマトスタチン受容体を標的とするRNAアプタマーの創製とその応用による新規腫瘍診断薬および抗腫瘍薬の開発

文献情報

文献番号
200912045A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトソマトスタチン受容体を標的とするRNAアプタマーの創製とその応用による新規腫瘍診断薬および抗腫瘍薬の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-ナノ・若手-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 俊伸(神戸大学自然科学系先端融合研究環重点研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 義仁(岐阜大学工学部)
  • 竹村 茂一(大阪市立大学医学部)
  • 近藤 昭彦(神戸大学工学部)
  • 荻野 千秋(神戸大学工学部)
  • 田中 勉(神戸大学自然科学系先端融合研究環重点研究部)
  • 南海 浩一(株式会社 ジーンデザイン)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌腫瘍の診断には、そのソマトスタチン受容体SSTRの高発現性に基づき、RI標識したソマトスタチンおよびアナログを用いたSSTRを標的とする腫瘍可視化が有効である。ヒトGPCRの中でもSSTRは、酵母で機能的に発現し、刺激に応答して酵母シグナル伝達経路が作動する。そして、我々は出芽酵母にヒトSSTRを発現させ、酵母内在性G蛋白質を介してのアゴニスト活性を、GFP蛍光を利用して解析可能な系の構築をした。そこで、本研究では、内分泌腫瘍の診断および治療薬のリード化合物として、SSTR作動性RNAアプタマーの創製を試みる。
研究方法
酵母SSTR評価系を応用し、SSTR2と特異的に結合するアプタマー創製を試みた。まず、これまで微量のリガンドを検出が不可能であったSSTR2評価系の改変を試みた。具体的には、酵母GαをヒトGαに置換した変異体株を用いて微量リガンドの検出を試みた。さらに、SSTR5のリガンド認識に重要なアミノ酸残基の特定を試みた。アプタマーの取得では、プライマー結合配列およびRNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む一定の配列に挟まれた60塩基のランダム配列からなる鋳型DNAプールからランダムRNAプールを調製し、SSTR非発現細胞を用いて非特異的に結合するRNAを排除した。次に、非特異的な結合性を有しなかったRNAプールをSSTR発現酵母と混合し、特異的に結合するRNAアプタマーの取得を試みた。
結果と考察
SSTR2系においてnMオーダーのリガンド検出に成功した。また、SSTR5のリガンド認識に重要なアミノ酸残基を特定した。酵母を用いたアプタマー作成ではRNAが酵母に大量に非特異的結合し、あるいはSELEX終了後のアプタマーはSSTRの発現の有無にかかわらず酵母と結合した。以上のように、計画していた酵母生細胞を用いた手法に重篤な障害が発生し、RNAアプタマーの取得が達成出来なかった。一方、高精度スクリーニング系構築は順調に進んでおり、またリガンド認識に必須なドメインをアミノ酸レベルまで解明することができたのは大きな進歩であるといえる。
結論
リガンド認識を厳密に評価する系がSSTR2およびSSTR5で完成した。RNAアプタマー作成では、方向転換し組換えタンパク質および接着性の培養細胞を用いたSELEX法を実行している。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-