文献情報
文献番号
202211043A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC1051
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 裕之(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 松島 将士(九州大学病院 循環器内科)
- 井手 友美(九州大学 医学研究院)
- 絹川 真太郎(九州大学大学院医学研究院循環器病病態治療講座)
- 坂本 一郎(国立大学法人九州大学 大学病院 循環器内科)
- 安斉 俊久(北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学教室)
- 渡辺 昌文(山形大学 医学部)
- 竹石 恭知(公立大学法人福島県立医科大学)
- 小室 一成(国立大学法人東京大学 医学部附属病院)
- 福田 恵一(慶應義塾大学 医学部 循環器内科)
- 吉村 道博(東京慈恵会医科大学 循環器内科)
- 室原 豊明(名古屋大学 大学院 医学系研究科)
- 藤野 陽(金沢大学 医薬保健研究域 保健学系 )
- 坂田 泰史(国立大学法人 大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
- 泉 知里(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 北風 政史(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 臨床研究推進センター 臨床開発部)
- 斎藤 能彦(公立大学法人 奈良県立医科大学 医学部)
- 北岡 裕章(国立大学法人 高知大学 医学部 老年病・循環器内科学)
- 神谷 千津子(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 産婦人科)
- 吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター 小児科)
- 八尾 厚史(東京大学 保健・健康推進本部)
- 安田 聡(東北大学 大学院医学系研究科 循環器内科学分野)
- 小野 稔(東京大学医学部附属病院 心臓外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,785,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班は1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後46年間継続してわが国における本領域での研究の進歩・発展に大きく貢献してきた。本研究では、わが国における小児から成人における心筋症の実態を把握し、日本循環器学会、日本心不全学会およびAMED研究班と連携して診断基準や診療ガイドラインを改訂・確立し、研究成果を広く診療へ普及させ心筋症の医療水準と患者のQOLの向上に貢献することを目的とする。
具体的には、令和2年度より厚労省臨床調査個人票や大規模入院患者データベースを用いて心筋症および鑑別が必要な類縁疾患を含む患者の実態・予後を解明し、心筋症診療の向上に資するエビデンスを構築する。また、令和2年度より日本成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease: ACHD)学会、AMED心筋症研究班と連携し、小児および小児から成人に移行した心筋症患者のデータベース構築し、令和3-4年度には小児期心筋症の抽出基準/診断基準を確立するとともに小児・成人の心筋症患者を一体的に研究・診療できる体制および小児成人期移行医療(トランジション)の礎を築く。さらに、周産期心筋症の早期診断検査確立研究を推進し、良質かつ適切な医療の確保を目指す診療体制の構築に必要なエビデンスを確立する。令和2年度以降はAMED難治性疾患実用化研究事業「拡張相肥大型心筋症を対象とした多施設登録研究」、「ナチュラルキラーT細胞活性化による慢性炎症制御に基づく新たな心筋症治療の実用化」および「ゲノム分子病理解析による難治性心筋症における精密医療の実現」などの関連研究班と連携し、新たな心筋症の診断・治療に関するエビンスを創出する。これらの研究成果をふまえ、令和4年以降に心筋症・心不全ガイドラインの改訂を目指す。さらに海外ガイドラインとの協調をはかる。
具体的には、令和2年度より厚労省臨床調査個人票や大規模入院患者データベースを用いて心筋症および鑑別が必要な類縁疾患を含む患者の実態・予後を解明し、心筋症診療の向上に資するエビデンスを構築する。また、令和2年度より日本成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease: ACHD)学会、AMED心筋症研究班と連携し、小児および小児から成人に移行した心筋症患者のデータベース構築し、令和3-4年度には小児期心筋症の抽出基準/診断基準を確立するとともに小児・成人の心筋症患者を一体的に研究・診療できる体制および小児成人期移行医療(トランジション)の礎を築く。さらに、周産期心筋症の早期診断検査確立研究を推進し、良質かつ適切な医療の確保を目指す診療体制の構築に必要なエビデンスを確立する。令和2年度以降はAMED難治性疾患実用化研究事業「拡張相肥大型心筋症を対象とした多施設登録研究」、「ナチュラルキラーT細胞活性化による慢性炎症制御に基づく新たな心筋症治療の実用化」および「ゲノム分子病理解析による難治性心筋症における精密医療の実現」などの関連研究班と連携し、新たな心筋症の診断・治療に関するエビンスを創出する。これらの研究成果をふまえ、令和4年以降に心筋症・心不全ガイドラインの改訂を目指す。さらに海外ガイドラインとの協調をはかる。
研究方法
我が国の心筋症の実態を明らかにするために、大規模心筋症データベースの構築を行うとともに、小児心筋症、周産期心筋症、ACHDにおける心筋症治療実態に関する研究を進めた。さらに、AMED研究班と連携し心筋症研究を推進した。
(倫理面への配慮)
本研究は九州大学病院および分担施設の倫理委員会にて承認を得て行った。
(倫理面への配慮)
本研究は九州大学病院および分担施設の倫理委員会にて承認を得て行った。
結果と考察
2022度に研究代表者の筒井は心筋症診療ガイドラインの改訂・作成に資するエビデンスの創出のために、心不全治療薬に関する研究成果を報告した(Nat Med. 2022 28(12):2512-2520)。心筋症における重大な合併症である不整脈に関するガイドライン(J Arrhythm. 38(6):833-973. 2022)および心臓リハビリテーションに関するガイドライン(Circ J. 87(1):155-235. 2022)の作成に参画し心筋症に関わるガイドラインの作成に貢献した。また、研究班として今まで行ってきた研究を継続するとともに心筋症に関する新たなエビデンスを創出する研究として「大規模心筋症患者データベースの構築および解析」を中心に、全体研究、個別研究を推進した。具体的には、厚生労働省特定疾患臨床調査個人票における心筋症患者データベースを用いて、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症のデータを解析し、心筋症に対する治療効果を明らかにし論文化した(ESC Heart Fail. 9:1175-1185. 2022, Circ J. 87(4):500-507. 2023)。また、心筋症による心不全入院患者のレジストリであるJROADHF(The Japanese Registry Of Acute Decompensated Heart Failure)研究のデータ収集および解析し、その成果を報告した(JACC Asia. 3(1):93-104. 2023)。
全国規模のデータベースを構築し、心筋症患者のデータを収集することによって、重症度・予後、診断基準に関する質の高いエビデンスの構築が期待される。また、心筋症の現状を把握し、QOL、予後および重症度の予測因子を解明することは、診療の標準化へと結びつくことが期待される。
全国規模のデータベースを構築し、心筋症患者のデータを収集することによって、重症度・予後、診断基準に関する質の高いエビデンスの構築が期待される。また、心筋症の現状を把握し、QOL、予後および重症度の予測因子を解明することは、診療の標準化へと結びつくことが期待される。
結論
心筋症を含む心不全のガイドラインである急性・慢性心不全診療ガイドラインのフォーカスアップデータ版の英語版を発刊し、その普及に努めた。また、心筋症治療のエビデンスを創出し、今後のガイドライン改定に資する成果を報告した。さらに、大規模心筋症データべースの構築・解析を進め、我が国における心筋症の実態を明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2024-04-04
更新日
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