テロメラーゼ依存性蛍光発現ナノバイオ・ウイルス製剤を標識薬剤とする高感度リアルタイム微小癌転移イメージングシステムの開発

文献情報

文献番号
200912032A
報告書区分
総括
研究課題名
テロメラーゼ依存性蛍光発現ナノバイオ・ウイルス製剤を標識薬剤とする高感度リアルタイム微小癌転移イメージングシステムの開発
課題番号
H21-ナノ・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 俊義(岡山大学病院 遺伝子・細胞治療センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
39,122,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
天然に存在する生物由来の蛍光タンパク質は、至適な波長の励起光を吸収することにより強い蛍光を発し、導入した細胞を生きたままの状態で可視化することができる。GFPをはじめとする蛍光タンパク質を用いた分子イメージングは、最先端の生命科学の研究や技術開発には広範囲に利用されているが、医療への応用は未だ研究段階であり、実際にヒトに臨床応用された事例はない。本研究では、新たに鏡視下手術用の高感度蛍光感知機能を付与したビデオスコープを試作し、大動物でその操作性と有用性を評価することで、最近の腹腔鏡・胸腔鏡手術の普及に対応した、より実践的な低侵襲治療の確立を目指す。
研究方法
「かぜ」症状の原因となるアデノウイルス5型を基本骨格とするTelomeScanは、癌細胞で選択的に増殖してGFP蛍光を発する。緑色蛍光を可視化するために、反射光と蛍光をスコープに装着したカメラアダプタで分離して同時に表示する高感度蛍光検出ビデオスコープの第1号機を試作した。第2号機では、カメラヘッドを小型化し、カメラヘッドのスイッチにて視野モードのフィルタ切り替えができるようにした。全身麻酔下にミニブタにトロッカーを挿入し、ポートからビデオスコープを挿入して腹腔内を観察、次に経口的に上部消化管用内視鏡を挿入して胃粘膜下にGFPと同様の蛍光波長を有する蛍光ビーズを注入した。
結果と考察
腹腔内からの蛍光視野にてリアルタイムに所属リンパ節領域へのリンパ流が可視化可能であることが確認でき、今後はウイルス製剤による蛍光発現が検出可能であるかどうかの段階へと進んでいく。また、より深部の微小癌組織を高感度に検出するために、組織透過性の高い近赤外蛍光を発する蛍光タンパク質を搭載した新たなウイルス標識薬剤を作成するとともに、ウイルス製剤の臨床用ロットを製造し、実際の早期胃癌患者における術前投与の臨床研究・臨床試験を目指す。
結論
GFPの蛍光を可視化することができる高感度蛍光検出ビデオスコープ試作機を作成し、生体内における蛍光ビーズの動態を可視化することで、極めて良好にリアルタイムにリンパ流を確認することができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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