国民健康づくり運動の推進に向けた飲酒の社会的影響に関するエビデンスの創出

文献情報

文献番号
202209041A
報告書区分
総括
研究課題名
国民健康づくり運動の推進に向けた飲酒の社会的影響に関するエビデンスの創出
課題番号
22FA1012
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
池原 賢代(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 磯 博康(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 山岸 良匡(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
  • 金城 文(田原 文)(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
  • 澤田 典絵(倉橋 典絵)(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 予防研究部)
  • 髙田 碧(大阪健康安全基盤研究所 公衆衛生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度は、飲酒状況と総死亡、循環器疾患、がんなどの各種生活習慣病の発症・死亡リスクとの関連についての先行研究のレビューを行い、エビデンスを整理・拡充し、飲酒ガイドライン及び次期健康づくりプラン策定に寄与することを目的とする。また、最近の飲酒状況を把握するための実態調査の準備・実施を進める。
研究方法
本研究は、まず、2000年以降に発表されたわが国のコホート研究による論文についてシステマティックレビューを行い、総死亡、循環器疾患、脳卒中(出血性脳卒中、脳梗塞)、虚血性心疾患(心筋梗塞)、がん部位別、糖尿病、高血圧(若いコホート)について、飲酒状況ごとに相対危険度を整理した。検索にはPubMedを使用した。十分な論文数があった男女の総死亡及び男性の大腸がんに関して、飲酒量別の比較を行うため、「Never」、「Non」を基準とした研究に限定し、メタ解析を行った。
結果と考察
それぞれの研究論文で、基準となる群が様々であったが、概ね、総死亡リスクに関しては、「Light」(エタノール1-149 g/週)でリスク低下、「Heavy」(300-449 g/週)、「Very heavy」(≥450 g/週)でリスク増加が認められた。脳卒中、出血性脳卒中については、「Heavy」(300-449 g/週)から発症・死亡リスクの増加が見られた。「Light」(1-149 g/週)では男女ともに出血性脳卒中の発症リスクが高かった。脳梗塞については、女性では「Light」(75-149 g/週)で発症リスクが高かったが、男性ではリスク低下が認められ、「Heavy」(300-449 g/週)では、男女ともに発症・死亡リスクが高くなる傾向が見られた。
がんについては、男性で「Light」(1-149 g/週)から胃がん、「Moderate」(150-299 g/週)から大腸がん、食道がん、「Very heavy」(450-599 g/週)で肝がんの発症リスクが高くなった。女性では、「Light」(≥15 g/日)で乳がんの発症・死亡リスク、「Moderate」(150-299 g/週)から大腸がん、肝がんの発症リスクが高い傾向があった。若い世代を対象としたコホート研究において、高血圧発症との関連については、若い世代でも「Light」(12-22 g/週)からリスクの増加が見られた。
また、総死亡及び大腸がんについては、メタ解析を行った。男女ともに総死亡では「Light」でリスク低下が見られた。男性では「Very heavy」で総死亡リスクが高く、女性では「Heavy」でリスクが高い傾向があった。男性の大腸がんについては、「Moderate」から発症リスクが高くなった。
結論
本研究の1年目は、わが国の飲酒状況と総死亡、循環器疾患、がんなどの各種生活習慣病の発症・死亡リスクとの関連に関する論文について、詳細なシステマティックレビューを行い、エビデンスを整理・拡充した。また、男女の総死亡及び男性の大腸がん発症に関して、メタ解析の結果を報告した。本レビューは、飲酒ガイドライン検討会において発表し、適切な飲酒量や飲酒習慣についての議論を進めるための資料として活用された。進行中の実態調査については、次年度以降に結果を報告する。

公開日・更新日

公開日
2023-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,992,000円
(2)補助金確定額
4,992,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,868,056円
人件費・謝金 0円
旅費 90,190円
その他 1,881,754円
間接経費 1,152,000円
合計 4,992,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-19
更新日
-