都市・農村における生活習慣病の実態比較およびパーソナルヘルスレコードを活用した重症化予防介入プログラムの開発と効果検証

文献情報

文献番号
202209037A
報告書区分
総括
研究課題名
都市・農村における生活習慣病の実態比較およびパーソナルヘルスレコードを活用した重症化予防介入プログラムの開発と効果検証
課題番号
22FA1008
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
石見 拓(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 由光(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 岡田 浩(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野)
  • 山本 景一(大阪歯科大学 医療イノベーション研究推進機構 事業化研究推進センター データサイエンス部門)
  • 立山 由紀子(京都大学 医学研究科 )
  • 島本 大也(京都大学 医学研究科社会健康医学系専攻予防医療学分野)
  • 阿部 達也(株式会社ヘルステック研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,560,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者:山本 景一 和歌山県立医科大学(令和4年4月1日~4年12月31日) → 大阪歯科大学(令和5年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、都市部・農村部の地域特性を踏まえた生活習慣病の発症・重症化予防介入に向けて、パーソナルヘルスレコード(PHR)を活用したサービスモデルを開発し、有効性を検証することである。令和4年度は以下4つの取り組みを行い、都市部・農村部における地域特有の健康課題の抽出およびPHRを生活習慣病の予防介入のために活用する際の課題検討を行った。
分担①:生活習慣病の発症および重症化予防に対する経済状況の影響、社会経済要因の検討
(1)生活習慣病の行動・社会経済要因に関する調査
(2)健康医療介護統合データベースを用いた生活習慣病の地域差実態の分析
分担②:包括的な生活習慣病の発症・重症化予防介入プログラムの開発およびパイロット研究実施に向けた検討
分担③:生活習慣病の発症および重症化予防介入としてのPHR活用にかかる課題の検討
分担④:生活習慣病の発症および重症化予防介入での活用に向けたPHRアプリ・システムの開発および改修
研究方法
分担①:生活習慣病の発症および重症化予防に対する経済状況や社会経済要因の検討ため、(1)京都市の都市部・農村部の40歳以上の住民を対象に「生活習慣病の行動・社会経済要因に関するアンケート調査」および (2)京都市の2013~2020年度のレジストリデータを用いた「健康医療介護統合データベースを用いた生活習慣病の地域差分析」を行い、都市部・農村部の社会経済状況・生活習慣・その他影響を及ぼす要因の実態を記述するとともに、糖尿病をはじめとした生活習慣病について地域別の治療および重症化予防策の実施状況とその経年変化を記述した。
分担②:PHRを活用した生活習慣病の発症予防のための健康指導・支援プログラムの開発に向けて、分担①と連携し、糖尿病(予備群を含む)を対象としたプログラムの開発に向けて、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を含む先行研究の調査を行い、予防プログラムの骨格の検討を進めた。
分担③:予防介入プログラムでのPHR活用における課題解決に向けて、データ分析と結果の個人へのフィードバックを前提としたPHRデータ収集とデータベース化、およびデータ流通における標準化について課題検討を行うとともに、PHRデータ収集やデータベース化等に関する検討および論文レビューを行った。
分担④:PHRデータ収集のためのスマートフォンアプリケーション(アプリ)に必要な要件およびPHRアプリケーション利用において「考慮すべき事項」や「短期間での効率的なセットアップ方法」を検討した。
結果と考察
分担①:アンケート調査(都市部549名、農村部246名)および京都市の有するレセプトデータ分析の結果より、糖尿病患者において予防・重症化予防のための課題が多く存在すること、地域間格差が大きいこと、都市・農村部ともに経済的困難感やSNS未使用が多く、社会経済的な要因が糖尿病予防に影響する可能性が示唆された。都市部における夕食に関連した食習慣の課題、農村部における医療機関アクセスや糖尿病合併症検査(網膜症、腎症等)の実施率等の課題が明らかとなった。
分担②:分担①の結果を踏まえて糖尿病を対象に、isCGMを用いた生活習慣改善を促すための支援プログラムおよび予防介入計画の骨格の検討を行った。isCGMを活用した先行研究調査では、1型、2型糖尿病(インスリン療法中)における低血糖時間の減少や目標血糖範囲内に入る割合の増加が報告されている一方で、2型糖尿病(非インスリン療法中)に対するエビデンスは不十分であった。
分担③:PHRに関するシステム面においては、国内外でPHRやウェアラブルデバイスによる健康関連データを用いた治療・健康増進に関する事例(デジタルバイオマーカー、マルチモーダルAI、多次元時系列データの統合、ジオマーカーの評価)やPHR標準データ交換規格の検討(ガイドライン整備を含む)が進んでおり、多様なデータソースを組み合わせたPHR活用と社会基盤整備の重要性が示唆された。
分担④:PHRアプリ「健康日記」で収集するPHRデータの項目追加設定を行った。被験者のアプリからQRコード/ワンタイムパスワードを用いて研究者がPHRデータを収集し、タブレット端末で閲覧できるよう設定した。また、被験者がスムーズにPHRアプリをダウンロードし、PHRデータを記録・閲覧できるようにマニュアルの整備を行った。
結論
今年度の各研究によって、各地域特有の健康課題および糖尿病診療における課題が明らかとなり、その結果を踏まえて予防介入プログラムおよびPHRを活用したデータ収集のための具体的な準備を進めることができた。令和5年度は今年度の取り組み結果を踏まえて、生活習慣病の発症・重症化予防介入プログラムを作成し、その効果検証のための研究を開始する予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-08-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-08-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,928,000円
(2)補助金確定額
5,928,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,259,266円
人件費・謝金 72,243円
旅費 408,162円
その他 2,820,329円
間接経費 1,368,000円
合計 5,928,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-12
更新日
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