エビデンスに基づいたロコモティブシンドローム早期対策の実践に資する包括的研究

文献情報

文献番号
202209033A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づいたロコモティブシンドローム早期対策の実践に資する包括的研究
課題番号
22FA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
田中 亮(国立大学法人広島大学 大学院人間社会科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 安達 伸生(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
  • 高橋 真(広島大学 大学院医系科学研究科(保))
  • 緒形 ひとみ(国立大学法人広島大学 大学院 人間社会科学研究科)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 光武 翼(福岡国際医療福祉大学 医療学部 理学療法学科)
  • 猪村 剛史(広島都市学園大学 健康科学部リハビリテーション学科)
  • 生田 祥也(広島大学 病院 整形外科)
  • 岩本 義隆(広島大学病院 診療支援部リハビリテーション部門)
  • 田中 繁治(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)
  • 牛尾 会(広島大学病院 リハビリテーション科)
  • 平田 和彦(広島大学病院 診療支援部リハビリテーション部門)
  • 井上 優(吉備国際大学 保健医療福祉学部)
  • 山科 俊輔(広島大学 大学院人間社会科学研究科)
  • 出口 直樹(東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,668,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、フレイル、サルコペニアの関係性を整理し、エビデンスに基づいて簡便な診断法や介入方法を確立し、将来的に要介護となる者を未然に減らす施策の提言を行うことである。
研究方法
本研究のために3つの研究項目を設定した。研究項目1は「ロコモのスクリーニング方法の検証」とした。横断研究を行い、ロコモ非該当を基準個体とした体力測定の基準範囲を作成した。また、ロコモ度を推定する体力測定の診断閾値を作成した。さらに予備研究として、歩行および片脚立ち動作の運動学的特徴からロコモ度を推定できるか検討した。研究項目2は「運動と栄養に睡眠管理を加えた有効性の検証」とした。システマティックレビューを行い、ロコモをアウトカムとしたRCT論文を収集し、効果の大きさやエビデンスレベルを評価した。予備研究を行い、睡眠衛生が若年者の睡眠の質、ネガティブな情動、運動器に及ぼす影響を検討した。研究項目3は「ロコモ、フレイル、サルコペニアの因果関係の検証」とした。システマティックレビューを行い、ロコモおよびフレイルに影響を及ぼす要因を調べたコホート研究や横断研究の論文を収集し、効果の大きさやエビデンスレベルを評価した。また、コホート研究を実施し、サルコペニアの有無と1年後のロコモの関係、および、ロコモの有無と1年後のフレイルの関係を検討した。
結果と考察
研究項目1ではロコモ非該当を基準個体とした握力、歩行速度、Timed up & go(TUG)テストの基準範囲が作成された。また、ロコモ度を推定するための握力、片脚立ち時間、TUGの診断閾値が作成された。さらに、歩行および片脚立ち動作の運動学的特徴からロコモの有無や重症度を推定できる可能性が示唆された。研究項目2ではロコモの改善に効果を示すエビデンスレベルの高い介入は確認されなかった。予備研究では睡眠衛生による睡眠管理の効果は認められなかったが、介入内容を見直すことで睡眠の質向上が得られるならば、ネガティブな情動が改善し、運動器の痛みも緩和する可能性が示された。研究項目3では短い片脚立位時間、弱い背筋力、弱い握力など身体機能や筋力がロコモ発生の危険因子として挙げられた。また、骨折の既往がある参加者の低除脂肪量、腹部周囲径で定義される腹部肥満、骨密度Tスコアがフレイルに有意に影響することが示唆された。コホート研究ではサルコペニアの有無と1年後のロコモ度の変化の関係が検討されたが、現時点では明確な因果関係を示す知見は得られなかった。ロコモは1年後のフレイル進行の危険因子である可能性が示唆された。
結論
体力測定の結果を活かしたスクリーニング方法の一部が作成、検証された。運動、栄養、睡眠管理はロコモの改善に有効であることを示す質の高いエビデンスは確認できなかった。ロコモ、フレイル、サルコペニアの因果関係の一部が認められた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,768,000円
(2)補助金確定額
4,768,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,571,753円
人件費・謝金 1,887,059円
旅費 97,629円
その他 111,559円
間接経費 1,100,000円
合計 4,768,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-19
更新日
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