RMCE法による心血管傷害モデルの開発と核酸医薬標的分子の探索

文献情報

文献番号
200911018A
報告書区分
総括
研究課題名
RMCE法による心血管傷害モデルの開発と核酸医薬標的分子の探索
課題番号
H21-生物資源・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
栗原 裕基(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 富田 幸子(東京女子医科大学 医学部)
  • 栗原 由紀子(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 西山 功一(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源・創薬モデル動物研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、マイクロRNA(miRNA)が、さまざまな生理機能や病態形成の担い手として、さらには創薬の標的として注目されている。本研究は、エンドセリンA受容体遺伝子座(ETAR)を標的とするリコンビナーゼ依存性カセット交換を用いたマウス遺伝学的研究を基盤として、心および平滑筋細胞におけるmiRNAの病態生理的役割の検証や標的分子の探索が可能なマウスモデルの確立を目標とする。これにより、心筋梗塞や血管病の病態に関与するmiRNAとその標的分子を同定し、核酸医薬開発への道を探る。
研究方法
ES細胞のETAR遺伝子座に組み込んである変異lox配列に対し、Cre-ERT2(タモキシフェン誘導型Cre)、miR199a+miR214を含む遺伝子断片をそれぞれ、Adeno-Creを用いてノックインし、各ES細胞株をキメラマウス化した。また、ETAR-lacZ/EGFPノックインマウスにより、ETAR発現心筋細胞・平滑筋細胞の分布と動態を、lacZ染色、免疫染色、蛍光ラベルなどにより解析した。
結果と考察
ETAR-CreERT2ノックインマウスを樹立し、その解析のためCAG-CAT-lacZマウス、Cre誘導型DTR発現マウス(iDTR)との交配を開始した。ETAR-lacZ/EGFPノックインマウスの解析では、本研究の標的細胞であるETAR発現心筋細胞が発生初期に心流入路の限局した領域に発生し、その後左心室と両心房に寄与すること、刺激伝導系の形成とも関連する可能性があることが示された。miR199a+miR214ノックインES細胞由来のキメラマウスは生殖細胞系列移行が得られず、再度ES細胞のスクリーニングを行っているが、一方でmiR199a+miR214ノックインがmiR199a+miR214欠損マウスの表現型を部分的にレスキューすることを確認した。その発現量は内在性miRNAの発現よりも低いため、pri-miRNAの安定性やmiRNAのプロセシングの至適配列を検討しており、良好な結果が得られた場合は今後遺伝子ノックインのデザインに応用する予定である。
結論
ETAR-CreERT2ノックインマウスのマウスの樹立とETAR-lacZ/EGFPノックインマウスによるノックイン標的細胞の動態解析を行った。これらの実験系は、心血管系におけるmiRNA特異的発現による疾患モデルマウス作成に有用と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-