健康無関心層のセグメント化と効果的介入手法の検討:ライフステージに着目して

文献情報

文献番号
202209031A
報告書区分
総括
研究課題名
健康無関心層のセグメント化と効果的介入手法の検討:ライフステージに着目して
課題番号
22FA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
福田 吉治(帝京大学 大学院公衆衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 ひろの(帝京大学大学院公衆衛生学研究科)
  • 近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科)
  • 本庄 かおり(大阪医科薬科大学 医学部医学科)
  • 林 芙美(学校法人香川栄養学園女子栄養大学 栄養学部)
  • 田淵 貴大(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター がん対策センター疫学統計部)
  • 村山 洋史(東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 渋谷 克彦(帝京大学 大学院公衆衛生学研究科)
  • 金森 悟(帝京大学 大学院 公衆衛生学研究科)
  • 甲斐 裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)
  • 鈴木 有佳(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康寿命の延伸、疾病予防、健康増進を目的に、特に健康無関心層に対して効果的な介入を実施するため、健康無関心層の特性把握と同定方法、および健康無関心に関連する要因を明らかにすること、新しい生活様式の中で効果的な取組を実装するために、集団をセグメンテーションする方法を明らかすること、および各種取組の健康無関心層と健康格差への影響を明らかにし、効果的な取組方法を提言することを目的とする。
研究方法
上記を目的に、研究1:健康無関心層の定義および尺度開発、研究2:職域保健プログラム「健診戦」の効果、研究3:国民生活基礎調査データを用いた健康無関心層の特性把握、研究4:健全な食生活を心掛けていない者の特徴:若い世代を対象とした検討、研究5:健康無関心層における禁煙関連イベントの認知度・禁煙キャンペーンへの曝露と翌年の禁煙状況との関連、研究6:研究コロナ禍における先延ばし傾向と感染予防行動、研究7:若年女性に着目した行動変容ステージ別の特性と客観的に評価された身体活動の分析を実施した。
結果と考察
究1では、異なる観点から5つの健康無関心層の定義ならびにそれぞれの利点と欠点を示した。また、12項目の健康関心度尺度の質問紙から因子分析等の結果に基づき、3つのサブスケールそれぞれ2項目からなる短縮版を作成し、その妥当性を示した。研究2では、健康関心度高群は、労働時間が短い傾向がみられた一方で、健康関心度低群は、健診戦への参加割合が低い傾向があり、喫煙行動がある、運動習慣がないといった特性がみられた。健康アウトカムの変化に関しては、健康関心度中等度群において、健診戦参加群でBMIの改善が大きかった。研究3では、健康行動の数や、婦人科がん検診の未受診者割合は、年齢や社会経済状況、同居家族等の属性によって異なり、その差には性差があることなどが示された。研究4では、健全な食生活の心掛けについて,男女差がみられ,男性に比べて女性で心掛けている者が有意に多いことなどが示された。研究5では、健康無関心層の喫煙者のうち、2019年時点で禁煙を試したことがある者は101名(15.4%)、2020年時点で禁煙を達成した者は98名(14.9%)であった。禁煙関連イベントや情報と翌年の禁煙達成との関連を見ると、「健康日本21」「WHOのたばこ規制枠組み条約」「JTの新聞広告」を知っている又は見たことがあると回答した群で、知らない又は見ていないと回答した群と比べ、有意に禁煙達成と関連していた。研究6では、「先延ばし傾向あり群」は,「先延ばし傾向なし群」に比べ,新型コロナウイルス感染恐怖が低く,ワクチン陰謀信念が低いことが示された。研究7では、若年女性の「前熟考期」は痩せている人が多く、身体活動に関しては活動強度が不足している集団と推察された。
結論
健康無関心層を定義し、定量化する尺度の短縮版の作成により、集団において健康無関心層を同定し、アプローチすることがより簡便に可能となる。また、各種調査の分析により、健康関心度尺度等と健康行動との関連が示された。これらの結果をもとに、ナッジを応用した健康づくりガイドブックの公開、研修会等により研究成果の普及啓発とともに、健康無関心層への効果的なアプローチ方法として、ナッジと行動経済学を応用した取組を推進することに貢献できた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,940,000円
(2)補助金確定額
4,940,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 510,958円
人件費・謝金 1,339,509円
旅費 242,170円
その他 1,707,363円
間接経費 1,140,000円
合計 4,940,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-11
更新日
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