文献情報
文献番号
200910003A
報告書区分
総括
研究課題名
エフェクター選別性の抗がん免疫アジュバントの開発
課題番号
H20-ワクチン・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
瀬谷 司(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 松本 美佐子(北海道大学 大学院医学研究科)
- 西川 諭((独)産業技術総合研究所 年齢軸生命工学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(次世代ワクチン開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,799,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は安全でQOLが高いがん患者に使える抗がん免疫アジュバントを開発し、がん医療の現場に速やかに導入することを目的とする。アジュバントは我々が開発したToll様受容体(TLR)のアゴニスト・微生物成分を模したものを基盤とし、副作用が少なくCTL, NK を効果的に誘導する物質を選ぶ.本年度はNK, CTL活性化についてリポ蛋白とRNA duplex の機能を解析した。
研究方法
以下のPam2 リポペプチドを合成し、in vitro TLR2アゴニスト活性とin vivo 腫瘍退縮活性を既報に依って調べた(Akazawa et al., PNAS 2007)。一方、H21年度に合成が成功したRNA duplex(dsRNA X)と polyI:C を用いて同様の査定を行った。
結果と考察
Pam2について以下の結果を得た。 1. 合成の16 種のPam2CysX2X3X4X5X6を比較検討して、TLR2 活性はX2がSer/Gly が必須である。2. 長さはX5以上が必要であり、distal のアミノ酸は親水性残基を持つ必要がある。3. これらのTLR2 agonists はTICAM-1 (TRIF) 経路ではなくMyD88 経路を経由して樹状細胞を NK 活性化型に成熟化する。4.Pam2のNK活性化はB16D8(NK 感受性) 移植がんを退縮しない。5. Pam2は樹状細胞TLR2を介しcross-priming/CTL誘導を誘起する。
一方、dsRNA Xについて以下の結果を得た。6. 樹状細胞による抗がんNK の活性化は TICAM-1 経路とIPS-1経路で誘導された。7. TICAM-1 経路の下流はIRF-7 ではなくIRF-3 で NK 活性化型樹状細胞が成熟化する。8. IRF-3-/-樹状細胞にNK 活性化の候補分子を発現スクリーニングし、樹状細胞上のNK活性化膜分子を同定した(INAMと名付けた)。9. INAMを発現させた樹状細胞はNK感受性移植がんを強く退縮した。10. CTL誘導はTICAM-1依存性に強く起き、IRF-3/7 両方が必須であった。
一方、dsRNA Xについて以下の結果を得た。6. 樹状細胞による抗がんNK の活性化は TICAM-1 経路とIPS-1経路で誘導された。7. TICAM-1 経路の下流はIRF-7 ではなくIRF-3 で NK 活性化型樹状細胞が成熟化する。8. IRF-3-/-樹状細胞にNK 活性化の候補分子を発現スクリーニングし、樹状細胞上のNK活性化膜分子を同定した(INAMと名付けた)。9. INAMを発現させた樹状細胞はNK感受性移植がんを強く退縮した。10. CTL誘導はTICAM-1依存性に強く起き、IRF-3/7 両方が必須であった。
結論
以上の知見を基に真に有効な抗がんアジュバントを合成で作製し、最終年度に剤型を確定する。GMP標品ができれば臨床研究を企画する。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-