がん診療連携拠点病院等におけるがん診療の実態把握に係る適切な評価指標の確立に資する研究

文献情報

文献番号
202208045A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療連携拠点病院等におけるがん診療の実態把握に係る適切な評価指標の確立に資する研究
課題番号
22EA1005
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
藤 也寸志(国立病院機構 九州がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 若尾 文彦(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター本部)
  • 東 尚弘(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科 公衆衛生学分野)
  • 高山 智子(静岡社会健康医学大学院大学 社会医学研究科)
  • 前田 英武(高知大学 医学部附属病院)
  • 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院 第二内科)
  • 津端 由佳里(島根大学医学部内科学講座 呼吸器・臨床腫瘍学)
  • 小寺 泰弘(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 横川 史穂子(地方独立行政法人 長野市民病院 がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、がん診療連携拠点病院等(拠点病院)におけるがん診療の実態を継続的に把握・評価できる適切な評価指標の開発・選定を通じて、以下の観点において次期整備指針策定やがん対策推進基本計画(基本計画)の推進に寄与することを目的とする。
1. 継続的なベンチマーキングやPDCAサイクル活動の推進を通じたがん診療の質の向上に役立つ、拠点病院の運用状況や進捗等を確認できる客観的な評価指標の策定
2. 各がん医療圏・各都道府県(以下、合わせて各地域)・全国で継続的に測定し結果検討が可能な指標か、拠点病院が基本計画の目標に向けて機能しているかを評価できる指標かの検証
研究方法
1. 研究班内で評価指標の研究実施過程について議論を行い、ロジックモデルを用いることを決定した。
2. 提言につながる最終成果の出し方について議論し、ロジックモデルによる評価指標の策定について、そのステップを確認し開始した。
3. 同時に、拠点病院の現場の意見を収集する必要性から、全国の拠点病院、がん診療連携協議会、行政に対するインタビュー調査を開始した。さらに、基本計画で指摘されている問題点に関する研究班等の代表者に対してのインタビュー調査も開始した。
結果と考察
1年目(実質4か月)には、以下の活動を実施した。
・全体班会議(令和4年:12/5, 12/19、令和5年:2/17, 3/24)
・コアメンバー会議(令和4年:12/13、令和5年:2/6, 3/15)
1.ロジックモデルによる評価指標の策定
上記会議で全研究者による議論を行いながら、以下の経過でロジックモデルを用いた評価指標の策定を開始した。
1-1)拠点病院の整備指針の各項目別に、①現状で解決するべき問題は?、② ①で追及する目標/理想は?、③その前段階の目標は?、④そのために必要な条件は?に関して、自由記載で全研究者の意見を収集した。
1-2)整備指針の各項目別にロジックモデルを意識して記載内容を各アウトカムに配置した。
1-3)現在、それをベースに中間・分野別・最終アウトカムに関して研究班としてのコンセンサスを形成している段階である。
拠点病院の評価に特化した適切な指標を策定するには、まず中間・分野別・最終アウトカムに関して充分な議論を行い、研究班全体でコンセンサスを形成する必要がある。次年度に、実際の施策・アウトプット指標や各段階での評価指標の策定を開始する。また、インタビュー調査から抽出された現場や研究班からの意見も取り入れる必要がある。
2.全国の拠点病院や関連研究班の実地インタビュー調査
次年度に計画する全国の拠点病院に対する「拠点病院の評価のあり方・望まれる評価指標に関するアンケート調査」だけでは拠点病院の現場の実態を把握できないと考え、拠点病院(都道府県拠点・地域拠点別、大学・がんセンター・総合病院別、都会・地方別等を考慮)への実地インタビュー調査により、現場が望む指標や評価に関する問題点等を明確にして実態に則した評価指標を考える方針とした。また、関連研究班の代表へのインタビュー調査も開始した。
現在まで、以下の調査を終了した。
2-1)拠点病院へのインタビュー調査
都道府県拠点病院;長野県、高知県、愛媛県
地域拠点病院:長野県、高知県、岩手県  
都道府県連携協議会:沖縄県、高知県
都道府県行政:高知県
次年度は、島根県、北海道の日程が決定している。
2-2)関連研究班代表へのインタビュー調査
・希少がん、AYA世代のがん
 次年度は、小児がん、ピアサポート、生殖医療の日程が決定している。
今後も対象を拡大した上で、結果をまとめて評価指標の策定へつなげていく。現在までの調査の詳細な検討は今後であるが、評価に対する認識に関して、都道府県と地域拠点病院間差、地域間差等がある印象である。これらの差を認識できる指標も策定する必要がある。
策定された評価指標を用いて、全国や各地域でのベンチマーキングを行うことで初めて自施設や自地域の全国のがん医療における立ち位置が明らかとなり、経時的な改善状況を見える化できる。
現在、現況報告の現場負担が大きい点も考慮して、策定した指標をどのように現況報告に組み込むかどうかの検討が必要である。現況報告とは別に、例えば4年毎に改定される拠点病院の整備指針の中間評価として利用するなどの計画が現実的かもしれない。
結論
今回、初めて拠点病院に関するがん診療の実態を継続的に把握・評価できる適切な評価指標の開発・選定のための研究が本研究班において開始された。理想を求め現場のモチベーションを高めることが可能な評価指標の策定が望まれるが、指定要件をクリアーすることに過大な負荷を感じている拠点病院の活動の持続可能性も考慮するべきことは銘記しておく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202208045Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,960,000円
(2)補助金確定額
11,960,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,134,040円
人件費・謝金 1,268,006円
旅費 2,688,786円
その他 1,109,168円
間接経費 2,760,000円
合計 11,960,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
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