がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に及ぼす影響に関する研究

文献情報

文献番号
202208016A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に及ぼす影響に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20EA1017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 予防検診政策研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 研究支援センター医療統計室)
  • 齋藤 英子(国立国際医療研究センター)
  • 福井 敬祐(広島大学大学院先進理工学系研究科)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 堀 芽久美(静岡県立大学 看護学部)
  • 十川 佳代(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国のがん対策推進基本計画(以下、基本計画)は、2022年度に第4期の計画が策定される流れとなっている。第1期・第2期の全体目標として10年間で「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」が掲げられていたが、達成されなかった。原因として喫煙率やがん検診受診率が目標値に届かなかったことなどが定性的に指摘されたが、定量的な評価は行われていない。第3期基本計画では全体の数値目標は設定されなかったが、都道府県計画では多くの場合目標設定されている。そこで本研究では、がん対策における各指標の関連性を可視化するために、がん対策全体のロジックモデルを構築し、主要ながん種についてがん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化およびがんの年齢調整死亡率・罹患率の目標値の提案をすることを目的とした。
研究方法
①がん対策全体のロジックモデルの構築
昨年度までに検討したがん対策のロジックモデルを統合して、がん対策全体のロジックモデルを構築した。
②胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化
③がんの年齢調整死亡率・罹患率の目標値の提案
がん年齢調整死亡率・罹患率の数値目標について、2022年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業「次期健康づくり運動プラン作成と推進に向けた研究」と連携し、全がんの年齢調整死亡率および罹患率のトレンド分析を行った。
④国民栄養調査データを用いた世帯収入別の各種指標の算出
国民健康・栄養調査の利用申請に基づき、2018年のデータを用いて世帯所得別の各種健康指標の算出を行った。
結果と考察
がん対策の立案および評価における年齢調整死亡率・罹患率の有用性および位置づけを検討するために、①がん対策全体のロジックモデルの構築、②胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化、③がんの年齢調整死亡率・罹患率の目標値の提案、および④国民健康・栄養調査データを用いた世帯所得ごとの健康指標の算出を行った。がん対策の予防・検診分野の各種指標についてロジックモデルを構築することにより、各指標の意義と互いの関連性が可視化されるとともに、全体目標である年齢調整死亡率・罹患率の位置づけが明確になることがわかった。がん対策における健康格差の指標について、地理的剥奪指標を用いた地域間格差の指標や社会階層別公的統計の集計が有用であることがわかった。
結論
がん対策の立案において、がんの年齢調整死亡率・罹患率はいずれも最終アウトカムとして重要である。がんの年齢調整死亡率・罹患率の目標値としては、いずれも75歳未満を想定した場合、年齢調整死亡率については10年規模で30%減、年齢調整罹患率については減少、10%減などの目標設定が可能だと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202208016B
報告書区分
総合
研究課題名
がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に及ぼす影響に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20EA1017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 予防検診政策研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 研究支援センター医療統計室)
  • 齋藤 英子(国立国際医療研究センター)
  • 福井 敬祐(広島大学大学院先進理工学系研究科)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 堀 芽久美(静岡県立大学 看護学部)
  • 十川 佳代(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国のがん対策推進基本計画(以下、基本計画)では、第1期・第2期の全体目標として10年間で「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」が掲げられていたが、達成されなかった。原因として喫煙率やがん検診受診率が目標値に届かなかったことなどが定性的に指摘されたが、定量的な評価は行われていない。第3期基本計画では全体の数値目標は設定されなかったが、都道府県計画では多くの場合目標設定されている。国の健康づくり運動である健康日本21でも第二次の評価および第三次の目標設定が検討されており、特に健康格差の指標の拡充が議論されている。本研究では、がん対策の立案および評価における年齢調整死亡率および年齢調整罹患率のあり方を検討するための資料として、がん対策の指標間の関係を可視化するロジックモデルの構築、健康格差指標の可能性の検討、およびがん対策の死亡率、罹患率への影響を定量化するモデルの検討を行った。
研究方法
・がん対策のロジックモデルの構築
・がん対策における健康格差の指標の可能性の検討
・胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化
・がんの年齢調整死亡率・罹患率の目標値の提案
・国民栄養調査データを用いた世帯収入別の各種指標の算出
結果と考察
がん対策の立案および評価における年齢調整死亡率および年齢調整罹患率の有用性を検証するため、①都道府県がん対策推進計画の調査、②米国および英国の健康計画およびがん対策計画の調査、③胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化のためのモデル構築を行った。
都道府県および米国ではがんの死亡率が重要な目標値の一つとなっていた。米国、英国ともに専門家、患者・市民が参画して計画の策定から評価を行う体制が整備されていた。年齢・時代・コホート(Age-Period-Cohort)分析など、がん種横断的に適用可能な数理モデルの候補が特定された。大腸がん、肝臓がんではマイクロ・シミュレーションモデルを構築し、一部推計を実施できた。
結論
がんの一次予防、二次予防、医療の充実、いずれの分野においても最終アウトカムは罹患率と死亡率であり、がん対策全体の構成の中でその位置づけを考えるとともに、計画の策定、評価、次期計画への反映をシームレスに実施する体制を構築する必要がある。がん対策の各種指標についてロジックモデルを構築することで、概念や指標の整理が可能になるとともに、全体目標である年齢調整罹患率・死亡率の位置づけが明確になることがわかった。数理モデルの適用により、がんの年齢調整死亡率・罹患率の目標値としては、いずれも75歳未満を想定した場合、年齢調整死亡率については10年規模で30%減、年齢調整罹患率については減少、10%減などの目標設定が可能だと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202208016C

収支報告書

文献番号
202208016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,708,000円
差引額 [(1)-(2)]
292,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,566,855円
人件費・謝金 2,933,486円
旅費 1,519,252円
その他 2,920,266円
間接経費 2,769,000円
合計 11,708,859円

備考

備考
(2)補助金確定額は、支出合計額の千円以下を切り捨てた金額となるため、差異が生じた

公開日・更新日

公開日
2024-05-23
更新日
-