胃粘膜に蓄積したエピジェネティック異常の定量による多発胃がん発生予測に関する前向き研究

文献情報

文献番号
200907013A
報告書区分
総括
研究課題名
胃粘膜に蓄積したエピジェネティック異常の定量による多発胃がん発生予測に関する前向き研究
課題番号
H20-ゲノム・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
牛島 俊和(国立がんセンター研究所 発がん研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 健(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)
  • 島津 太一(国立がんセンターがん予防検診研究センター 予防研究部)
  • 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学 第二内科)
  • 藤城 光弘(東京大学医学部附属病院 光学医療診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
44,175,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胃がんなど一部のがんでは、がん患者の非がん部には、既にDNAメチル化異常が蓄積しており、その量が発がんリスクと相関する(エピジェネティックな発がんの素地)。胃がんでは、早期胃がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後に、異時性多発胃がんの発生が多く、多数の患者の高頻度の経過観察が負担となっている。そこで、本研究では、ESD後の異時性多発胃がんの発生予測に非がん部胃粘膜生検組織におけるDNAメチル化量の測定が有用であるか否かを前向き研究により明らかにする。
研究方法
早期胃がんに対してESDを施行予定または施行後の症例について、ピロリ菌感染がある場合は除菌を施行し、1,000例を登録する。DNAメチル化レベルは、定量的methylation-specific PCR法、または、Pyrosequencing法により測定する。DNAメチル化アレイ解析は、抗メチル化DNA抗体による免疫沈降とCpGアイランドマイクロアレイ解析により行った。
結果と考察
(1) 症例登録:平成21年度までに834例を登録し、観察開始時のDNAメチル化レベル測定用のDNAを抽出した。(2) 新規マーカー同定:感度・特異度が高い新規マーカー遺伝子を同定するために、平成21年度は、胃がん患者非がん部胃粘膜と健常者胃粘膜とを用いたDNAメチル化アレイ解析を行い、両者でDNAメチル化レベルが異なるCpGアイランド27個を同定した。(3) 測定の高度化:測定方法も臨床検査として実施可能なように、異なる施設・異なる時点においても高度の再現性が得られるように高度化した。平成21年度までに、複数回、独立に測定したDNAメチル化レベルの変動係数0.03を達成し、ほぼ同一の値が得られる測定手順を確立した。
結論
前向き試験の症例集積、新規マーカーの分離、測定の高度化が順調に進展している。平成22年度には、観察開始時点での横断的解析が完了できる予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-