文献情報
文献番号
202206026A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植のサステナビリティ向上のための課題解決に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22CA2026
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
江口 晋(国立大学法人 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 田倉 智之(東京大学 大学院医学系研究科 医療経済政策学講座)
- 木下 修(東京大学 医学部附属病院)
- 岡田 克典(東北大学 加齢医学研究所)
- 伊藤 孝司(京都大学 医学部附属病院 肝胆膵移植外科)
- 蔵満 薫(国立大学法人神戸大学 医学部附属病院)
- 伊藤 泰平(藤田医科大学 医学部 移植・再生医学)
- 上野 豪久(大阪大学医学系研究科 小児成育外科)
- 江川 裕人(浜松ろうさい病院)
- 曽山 明彦(長崎大学大学院 医歯薬総合研究科)
- 市丸 直嗣(大阪大学大学院医学系研究科先端移植基盤医療学寄附講座)
- 佐藤 雅昭(東京大学医学部附属病院 臓器移植医療センター)
- 篠田 和伸(聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成9年に臓器移植法が施行されて25年が経過し、これまでの施策や研究事業等の取り組みの結果、脳死下臓器提供数は増加傾向にある。今後更に臓器提供数が増加しても臓器移植側の医療の質や安全の担保し、持続可能な体制の確立が必要である。そのために、今後の医師の働き方改革をふまえ、臓器摘出-臓器移植術-外来診療のプロセスにおいて、これまで明らかでなかった移植医療における環境の現状を評価し、医療の質を落とすことなく移植医療に従事する医師の負担軽減や環境改善につながる方策を立てることが必要である。
本研究は、先行研究を踏まえ、現在100件/年程度で推移している臓器提供数が、近隣の韓国同様の500例/年、欧米並みの1,000例/年と大幅に増加した場合でも、医師の働き方改革による医療の在り方を踏まえつつ持続可能で質の高い臓器移植医療体制を確立するために、各臓器移植領域における現状分析に基づいた個別の課題、共通の課題を明らかにし、課題解決につながると考えられる方策を提言することを目的として実施した。
本研究は、先行研究を踏まえ、現在100件/年程度で推移している臓器提供数が、近隣の韓国同様の500例/年、欧米並みの1,000例/年と大幅に増加した場合でも、医師の働き方改革による医療の在り方を踏まえつつ持続可能で質の高い臓器移植医療体制を確立するために、各臓器移植領域における現状分析に基づいた個別の課題、共通の課題を明らかにし、課題解決につながると考えられる方策を提言することを目的として実施した。
研究方法
本研究では、臓器移植数増加時にもサステナブルな臓器移植医療の提供に繋がると考えられる臓器移植体制の確立に向けての具体的なシミュレーションを行う。
また日本移植学会(令和3年)で実施された「脳死下・心停止後臓器摘出手術における勤務実態と就労管理・補償・待遇の現状」に関するアンケート結果を参考に、持続可能性を検討するにあたり重要と考えられる以下の項目について、現状における課題を明らかにするとともにその方策の策定を行う。
また日本移植学会(令和3年)で実施された「脳死下・心停止後臓器摘出手術における勤務実態と就労管理・補償・待遇の現状」に関するアンケート結果を参考に、持続可能性を検討するにあたり重要と考えられる以下の項目について、現状における課題を明らかにするとともにその方策の策定を行う。
結果と考察
移植症例増加に向けたシミュレーション図を作成した。
移植を担当する外科医はレシピエントの手術前の管理、摘出手術、臓器の搬送、移植手術、術後管理と連続する業務を担当することが多かったが、今後の臓器移植件数増加時にも質を保ちながら、持続可能な移植医療提供のための多分野、多職種による業務分担のあり方について検討した。⑦では移植医の労災保険、処遇は移植医自身もはっきりと自覚しておらず、また、施設によりばらついていることが明らかとなった。今後、画一した制度化を議論する必要があると考えられる。さらには2024年4月からの働き方の際にキーワードとなる労働時間のインターバルについても十分には確保されていない現状も明らかとなった。
移植を担当する外科医はレシピエントの手術前の管理、摘出手術、臓器の搬送、移植手術、術後管理と連続する業務を担当することが多かったが、今後の臓器移植件数増加時にも質を保ちながら、持続可能な移植医療提供のための多分野、多職種による業務分担のあり方について検討した。⑦では移植医の労災保険、処遇は移植医自身もはっきりと自覚しておらず、また、施設によりばらついていることが明らかとなった。今後、画一した制度化を議論する必要があると考えられる。さらには2024年4月からの働き方の際にキーワードとなる労働時間のインターバルについても十分には確保されていない現状も明らかとなった。
結論
今回、多角的な視点から、臓器提供300~500例時代に備えた移植医側を中心とした現状と課題、および克服に向けた提案を作成することができた。ドナー意思を可及的にレシピエントへ届けることができるよう、今後も医療者、コメディカル、JOT、行政一体となり移植医療の発展に寄与する必要がある。移植医療のサステナビリティのために様々な制度改革を行う必要性が明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2023-12-21
更新日
-