新型コロナウイルス感染症拡大時の地域における看護職員確保及び人材調整の実態把握についての調査研究

文献情報

文献番号
202206015A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症拡大時の地域における看護職員確保及び人材調整の実態把握についての調査研究
課題番号
22CA2015
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
叶谷 由佳(横浜市立大学 医学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 土肥 眞奈(菅野 眞奈)(横浜市立大学 医学部看護学科)
  • 丸山 幸恵(横浜市立大学 医学部看護学科)
  • 南﨑 眞綾(菅野 眞綾)(横浜市立大学 医学部看護学科)
  • 金田 明子(横浜市立大学 医学部看護学科老年看護学領域)
  • 有本 梓(横浜市立大学 医学部看護学科地域看護学領域)
  • 秋山 智弥(名古屋大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,292,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新型コロナウイルス感染症拡大時の地域における看護人材確保についてのプロセス、及び事前の体制整備等について実態を把握するとともに、課題を明確にし、今後起こりうる新興感染症の流行に対する医療提供体制維持に必要な看護職員確保策についての政策提言を行うことを目的とした。
研究方法
研究方法は、①量的記述的研究、②質的研究である。
①量的記述的研究
郵送法によるアンケート調査を実施した。調査項目は、新型コロナウイルス感染症拡大時の看護職確保に関する文献レビューから検討、設定した。アンケート調査対象者は、都道府県、政令指定都市・中核市・保健所設置市・特別区(保健所政令市等)、都道府県看護協会、日本看護協会の新型コロナウイルス感染症に関する看護職員の人材調整担当者である。
②質的研究
ヒアリング調査は、アンケート結果から看護職の人材調整件数が多い、または感染拡大の事前の備えが効果的だった等の特徴がみられた機関へ研究協力を依頼し、同意を得て、Zoomを用いた調査を実施した。
結果と考察
アンケート調査において、都道府県対象調査では医療機関、保健所ともに都道府県内での人材調整経験が多かったが、他都道府県への人材調整経験もみられた。回答が多かった調整内容について、医療施設は「医療機関間の派遣調整」、保健所は「常勤保健師の派遣」の回答であった。保健所政令市等対象の調査では、医療施設の人材調整経験は少ないが、保健所の当該自治体内の人材調整経験があり、調整内容は「常勤保健師の派遣」の回答が多かった。都道府県看護協会対象の調査では、医療施設で都道府県内、他都道府県への人材調整の経験がみられ、保健所での調整は都道府県内の人材調整経験のみであった。調整内容は、医療施設では「感染症看護に関する認定・専門看護師による相談調整」、保健所における調整では「潜在看護職の紹介」だった。新型コロナウイル感染症拡大時、都道府県、保健所政令市等、都道府県看護協会は、管轄エリアで人材リソースの活用や既存業務のノウハウを生かした看護職人材確保に尽力していた。
ヒアリング調査では、人材調整担当者の役割について、都道府県や保健所政令市等の地方自治体では医療機関等の関係者への協力要請や在宅療養者支援等のより現場に密接に関わる調整を役割とし、都道府県看護協会は看護職リスト作成や派遣要請内容とのマッチング、派遣する看護職の不安軽減等、派遣を円滑にする調整を役割としていた。具体的な看護職確保策について、主に都道府県と当該地域看護協会(以後、看護協会)で協定、事業委託契約を結び、都道府県が都道府県内の派遣要望を取りまとめて看護協会へ派遣を依頼し、看護協会はeナースセンター等を介して未就業看護師の確保、調整を行っていた。また、看護職の確保のため、都道府県や保健所政令市等の職員や看護協会職員として一時雇用した者を派遣していた事例もあった。
結論
研究により得られた成果の今後の活用・提供:本調査より以下を提言する。
・各医療機関が平時より看護業務をスリム化する、BCP(事業継続計画)を立案し、危機時においても看護に集中できる力をつける研修等を推進する。
・医療機関の応援体制は地域で完結できるよう医療機関同士のネットワークやシステムを平時より構築し、応援した看護職が円滑に適応できるようにマニュアルを活用する。
・保健所における看護職確保では、災害支援のノウハウを生かすとともに各地域での医療計画等を踏まえ地域包括的危機管理体制を構築する。
・既存のDMAT、DHEAT、IHEATを効果的に活用するしくみをつくる。
・広域派遣については、既存のナースセンター機能を維持するとともに看護協会や自治体による連携体制がとれる制度を構築する。
・関わる関係者対象の感染症予防教育と人材調整担当者の育成を推進する。
・財政支援は迅速に柔軟にできるしくみとする。

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202206015C

収支報告書

文献番号
202206015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,479,000円
(2)補助金確定額
9,479,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,121,257円
人件費・謝金 2,121,499円
旅費 106,640円
その他 2,942,604円
間接経費 2,187,000円
合計 9,479,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-29
更新日
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