文献情報
文献番号
200905027A
報告書区分
総括
研究課題名
小児の喘息患児における新型インフルエンザの重症化機序分析のための全国調査及び対応ガイドラインに関する研究
課題番号
H21-特別・指定-027
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科 小児病態学)
研究分担者(所属機関)
- 松井 猛彦(財団法人東京都保健医療公社荏原病院小児科)
- 岩田 力(東京家政大学家政学部児童学科小児医学研究室)
- 勝沼 俊雄(東京慈恵会医科大学小児科)
- 南部 光彦(天理よろづ相談所病院小児科)
- 中川 聡(国立成育医療センター手術集中治療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、
(1)小児の喘息における新型インフルエンザ患者症例の実態調査と死亡例、重症例に関する臨床経過等に関する詳細調査
(2)重症化症例の分析と喘息における重症化機序解明に向けた基礎調査
(3)小児の喘息における新型インフルエンザ対応マニュアルの作成
①緊急の対応マニュアル作成②調査データおよび分析に基づいた重症化阻止対応マニュアル作成③重症例に対する集中治療マニュアル作成
以上により新型インフルエンザ患者に対する診療の質の向上に貢献することを通して社会に貢献する。
(1)小児の喘息における新型インフルエンザ患者症例の実態調査と死亡例、重症例に関する臨床経過等に関する詳細調査
(2)重症化症例の分析と喘息における重症化機序解明に向けた基礎調査
(3)小児の喘息における新型インフルエンザ対応マニュアルの作成
①緊急の対応マニュアル作成②調査データおよび分析に基づいた重症化阻止対応マニュアル作成③重症例に対する集中治療マニュアル作成
以上により新型インフルエンザ患者に対する診療の質の向上に貢献することを通して社会に貢献する。
研究方法
(1)小児の新型インフルエンザ患者症例の実態調査と死亡例、重症例に関する臨床経過等に関する詳細調査を行った。
(2)重症化症例の分析と喘息における重症化機序解明のための分析を行った。
(3)マニュアルを作成した。
(2)重症化症例の分析と喘息における重症化機序解明のための分析を行った。
(3)マニュアルを作成した。
結果と考察
〔研究の結果明らかになった成果〕
(1)多数例(全国862人)の検討から、喘息が寛解状態あるいは軽症であっても重症例と同程度に大発作や呼吸不全を起こすリスクがあることが確認できた。
(2)新型インフルエンザに罹患して重症化する喘息患児は一部である。一方において、悪化する場合、進行は急速で、重篤化し、迅速で適切な対応を要する。
(3)新型インフルエンザに罹患し肺炎により入院となった症例では非肺炎症例と比較してTh1(IFN-gamma),Th2(IL-4, IL-5,IL-13)の両者のサイトカインの上昇が認められた。さらにGSMDL遺伝子、ADRB2遺伝子、LTC4S遺伝子、CPT2遺伝子の多型がインフルエンザ肺炎と関連することが示唆された。
(4)小児人口あたりの我が国のインフルエンザ死亡が、欧米の国々よりも低い。死亡年齢が低年齢である。発症から死亡までの期間が短い。基礎疾患のない小児での死亡が比較的多い。死因としては、脳炎・脳症が大きなウェイトを占めている。
〔診療の手引きおよび治療指針の作成〕
(6)小児気管支喘息の新型インフルエンザに対する診療の手引き暫定版 ver.3(2010/03/17版)http://www.iscb.net/JSPACI/
(7)H1N1インフルエンザによる小児の呼吸不全症例に対しての治療指針
日本小児アレルギー学会ホームページ参照
(1)多数例(全国862人)の検討から、喘息が寛解状態あるいは軽症であっても重症例と同程度に大発作や呼吸不全を起こすリスクがあることが確認できた。
(2)新型インフルエンザに罹患して重症化する喘息患児は一部である。一方において、悪化する場合、進行は急速で、重篤化し、迅速で適切な対応を要する。
(3)新型インフルエンザに罹患し肺炎により入院となった症例では非肺炎症例と比較してTh1(IFN-gamma),Th2(IL-4, IL-5,IL-13)の両者のサイトカインの上昇が認められた。さらにGSMDL遺伝子、ADRB2遺伝子、LTC4S遺伝子、CPT2遺伝子の多型がインフルエンザ肺炎と関連することが示唆された。
(4)小児人口あたりの我が国のインフルエンザ死亡が、欧米の国々よりも低い。死亡年齢が低年齢である。発症から死亡までの期間が短い。基礎疾患のない小児での死亡が比較的多い。死因としては、脳炎・脳症が大きなウェイトを占めている。
〔診療の手引きおよび治療指針の作成〕
(6)小児気管支喘息の新型インフルエンザに対する診療の手引き暫定版 ver.3(2010/03/17版)http://www.iscb.net/JSPACI/
(7)H1N1インフルエンザによる小児の呼吸不全症例に対しての治療指針
日本小児アレルギー学会ホームページ参照
結論
(5)今後、さらに検討を加えて、インフルエンザ重症化の病態を明らかにし、サイトカインなどを指標とした重症化予知のマーカーや早期治療法の確立につなげたい。
公開日・更新日
公開日
2010-05-24
更新日
-