文献情報
文献番号
200905014A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザA(H1N1)への公衆衛生対応に関する評価及び提言に関する研究
課題番号
H21-特別・指定-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
尾島 俊之(浜松医科大学)
研究分担者(所属機関)
- 小林 光樹(東北大学大学院医学系研究科)
- 西山 利正(関西医科大学)
- 早坂 信哉(浜松医科大学)
- 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成21年春に発生し世界中での流行となった新型インフルエンザA(H1N1)は社会的な影響の大きい健康危機となった。そこで、将来に再度、別の新型インフルエンザの流行に見舞われた場合に、今回の経験を生かして、より適切に対応できることに資することが目的である。
研究方法
(1) 重症化が予測される住民等への市町村の対応:都道府県・保健所・市町村への聞き取り調査、また全国17都道府県の820の市町村を対象にした郵送調査を行った。(2) 高校生等の集団発生に対する自治体と学校等の連携対応:6都道府県にある公立学校7,384校を対象とした郵送調査等を行った。(3) 感染拡大地域の行政対応:阪神地域の本庁及び保健所の対応の状況について検討を行った。(4) 保健所及び本庁の対応:全国510保健所及び都道府県・保健所設置市の感染症対策課111か所を対象に、電子メールによる調査を行った。
結果と考察
収集された情報を元に検討を行った結果、以下のことが重要であると考えられた。(1) 行動計画策定等の備え:流行発生後にも随時行動計画等を修正する方法を盛りこむこと、対応の基本原則/全国一律に遵守を求める事項/地域の状況に応じて柔軟な運用をすべき事項の区分を明確にすること、市町村・都道府県等の地方における行動計画、財政負担を考慮しつつ物資の備蓄等の備え、流行初期及び平常時からのクラスターサーベイランス。(2) 種々の関係者間及び国民とのコミュニケーションの強化:全ての情報を把握整理提供する情報デスク機能、決定事項について「なぜそうするのか」についての情報、国と都道府県や保健所等の地方・意思決定者と公衆衛生や感染症の専門家等のコミュニケーション、国や自治体と国民等の間の適切なリスクコミュニケーション、メディアの社会的責任。(3) 感染症対応に関する人材力の強化:地方の専門能力を持った人材・政策決断力の強化、人員と役割のトレードオフの中でその時点や地域毎での折り合い、入国者の健康監視について状況に応じて要否や方法を判断すること、国立感染症研究所の機能強化。
結論
今後の新型インフルエンザ対策として、状況に応じて柔軟な運用が行いやすい行動計画策定等の備え、種々の関係者間及び国民とのコミュニケーションの強化、感染症対応に関する人材力の強化などが重要であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2010-06-01
更新日
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