日本の道路安全と外傷予防に関する経験を活用した途上国の外傷予防に関する研究

文献情報

文献番号
200903004A
報告書区分
総括
研究課題名
日本の道路安全と外傷予防に関する経験を活用した途上国の外傷予防に関する研究
課題番号
H21-地球規模・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中原 慎二(聖マリアンナ医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村昭夫(国立国際医療センター 緊急部)
  • 市川政雄(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 吉川徹(財団法人労働科学研究所研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の交通安全対策と労働安全対策中心とした外傷予防策の効果を、文献レビューとデータ分析により評価し、その知見をもとに途上国における外傷予防策について提言を行うとともに、根拠に基づく外傷予防策立案のためのデータ収集と活用法について提言を行う。
研究方法
1年目である本年度は、我が国の交通安全対策については行政文書と効果評価論文をレビュー、労働安全対策については、我が国の労働災害の死傷病報告と災害防止政策の立案の仕組み作りのレビューから、途上国に活用できる安全対策評価を行った。また、事業所運転手に対する安全対策について、東京のタクシー会社を訪問し実地調査を行った。飲酒運転対策の効果について、警察データを用いて時系列分析を行った。タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの外傷データベースを評価するとともに、我が国の外傷データを用いて、途上国でも簡便に使用可能な外傷診療の質評価指標作成を試みた。

結果と考察
我が国の交通安全対策に関する文献レビューから、対策がリスクの高い場所、人に集中しているため、対象の数が少ない場合に効果が薄くなることが示され、ポピュレーション・アプローチの必要性が示唆された。労働安全対策に関する文献レビューから、労災報告制度、行政と現場の連携、労使の自主的活動、現場での実践的活動経験の重要性が示された。警察データの分析からは、飲酒運転に対する罰則の強化前からすでに事故低減効果が表れており、メディアによる報道の効果があった可能性を示唆した。事業所における交通安全対策では、始業前のアルコール呼気検査、タコメーターによる運転状況のモニターなどが効果的に行われていることを示した。タイの外傷データベースは活用実績もあり、途上国におけるデータベース構築のモデルとなりうる。我々が開発した、簡便な外傷診療質評価指標は精度をある程度保ちつつ単純化に成功しており、途上国での使用が期待できる。
結論
本年度は文献レビュー、データによる分析から、我が国の外傷予防の現状を明らかにした。来年度以降、この結果を状況の異なる途上国でどのように生かすかを検討する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-