低所得者に対する相談援助機能の強化に関する研究

文献情報

文献番号
200901032A
報告書区分
総括
研究課題名
低所得者に対する相談援助機能の強化に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森川 美絵(国立保健医療科学院 福祉サービス部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 卓(首都大学東京 都市教養学部)
  • 和気 康太(明治学院大学 社会学部)
  • 新保 美香(明治学院大学 社会学部)
  • 根本 久仁子(聖隷クリストファー大学 社会福祉学部)
  • 阪東 美智子(国立保健医療科学院 建築衛生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新たなセーフティネットとして展開される低所得者への予防的介入とフォロー段階での相談援助について、現状把握と機能強化の手法提示(業務支援ツールの作成)を目的とする。
 
研究方法
初年度にあたる本年度は、「新たなセーフティネット」の制度的な枠組みの検討、「新たなセーフティネット」のひとつである生活福祉資金貸付制度(特に総合支援資金)の運用や当該制度を媒介した相談援助活動に関する、全国的な概況調査(市区町村社会福祉協議会(社協)[N=527]への郵送アンケート調査)、および個別ヒアリング(A~D社協)、生活困窮者を包摂した地域福祉の展開に関する先進事例(大阪府社協、豊中市社協)のヒアリングを実施した。
結果と考察
結果として、「新たなセーフティネット」は、生活保護制度の受給を防ぐため、その手前に設定された枠組みという特徴があり、対象の不明瞭さ、保護制度の補完・代替という側面が、運用をめぐる混乱と事務の煩雑さ等をもたらす制度要因となる可能性が示唆された。また、「新たなセーフティネット」を媒介した相談援助活動の基本的スタンスと、生活福祉資金貸付のける具体的な援助方法論を提示した。低所得・困窮者支援の先進事例では、上記のような支援のスタンスやスキルを取り込んだ事業展開がうかがえ、生活困窮者を包摂した地域福祉推進の要素が抽出された。他方で、生活福祉資金貸付事業の実施機関へのヒアリングからは、低所得・困窮者への望ましい地域福祉実践と実際の相談援助活動との乖離が大きいことが明らかになった。
結論
新たなセーフティネットの一翼を担う生活福祉資金貸付制度を媒介した相談援助活動は、低所得・困窮者に対する地域福祉実践の先進事例や望ましい姿との乖離が大きい。今後は、こうした現状分析をふまえ、望ましい実践に実施機関が近づける手段としての「業務支援ツール」の開発を進める必要がある。これを次年度の研究課題とする。

公開日・更新日

公開日
2010-06-17
更新日
-