医療保険者による特定健診・特定保健指導が医療費に及ぼす影響に関する研究

文献情報

文献番号
200901027A
報告書区分
総括
研究課題名
医療保険者による特定健診・特定保健指導が医療費に及ぼす影響に関する研究
課題番号
H20-政策・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡山 明(財団法人結核予防会第一健康相談所 生活習慣病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 克之(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学)
  • 安村 誠司(福島県立医科大学医学部)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部)
  • 岡村 智教(国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 日高 秀樹(滋賀医科大学社会医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,531,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度からの医療法改正では保険者の保健事業が義務化され、保健事業
の有効 性を医療費から評価することが求められている。この保健事業が成功
するには保険者 の健診・保健指導の実施体制のうち、どのような要素が医療
費の適正化に結びつくか を明らかにすることが緊急の課題である。本保健事
業では各保険者は所定の書式で実 施計画を作成することが義務づけられてお
り、実施計画と実績を統一的な手法で評価 することが可能である。効果を高
める要因を明らかにするには個人単位での保健事業 実施状況がその個人の医
療費にどのような影響を与えるかを明らかにする必要がある。
研究方法
平成20年度には個別データの収集が可能な19保険者を募集し、個別データの収集 体制を整
備し、平成21年度には実際に医療費、特定健診実施実績、特定保健指導実施
実績を保険者の協力を得て収集した。さらに各研究者が平成18-19年度医療費
と平成 20年度健康診断結果との関連を予備的に分析し、最終年度にむけデー
タ収集と解析の 体制を 整備した。
結果と考察
対象者は男性が128093名、女性が142804名であった。対象者の構成は55歳以
降が多 くみられた。被雇用者保険では対象者の構成や男女ほぼ同数であり、
60歳以降の割合 が少なかった。高血圧治療中のもののうち年齢階級により違
いが見られるが40%-45% が基準を超えていた。現在の高血圧治療のゴールが
130mmHg未満かつ80mmHg未満であ り、最大血圧140mmHg以上または最小血圧
90mmHg以上とは治療が適切に行われていな いものの割合といえる。本健診受
診時に降圧剤を服用していない可能性もあり、解釈 は慎重に行う必要がある
が、特定健診の結果の分析からは治療を行っても十分なリス ク軽減に 結びつ
いていない可能性が示された。
結論
本研究では、今回の保健事業の大きな目的である保健事業の効果評価を行う
社会基 盤を整備することが第一の目標である。そのためにはデータの収集体
制や匿名化デー タセットの作成、医療費分析など保険者が克服すべき課題は
大きい。当研究班ではそ の第一歩として、データ収集に関わる困難な要因を
解消するための独自ソフトを作成 した。これにより個人情報の授受なく連結
可能な情報を授受できる体制が整備され、 保険者の負担も軽くなったといえ
る。現時点では匿名化ソフトには年間医療費を算出 できる機能は備えていな
いが、今後の研究班の活等を通じ、年間医療費と保健事業情 報 を容易に結合
可能な仕組みを整備していきたい。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-