子どもへの性的虐待の予防・対応・ケアに関する研究

文献情報

文献番号
200901022A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもへの性的虐待の予防・対応・ケアに関する研究
課題番号
H20-政策・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 正義(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 玉井 邦夫(大正大学人間学部)
  • 山本 恒雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所 子ども家庭福祉研究部)
  • 庄司 順一(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所 子ども家庭福祉研究部)
  • 岡本 正子(大阪教育大学教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,356,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
性的虐待対応の実態を踏まえ、学校等子ども関係機関、対応の中核的機関である児童相談所、被虐待児の中長期的ケアを担う児童福祉施設等の各機関を対象に、対応やケアのためのガイドラインを策定、効果的な対応・ケアに資する。
研究方法
本研究は、1.教育・福祉・保健機関等の職員のための子どもへの性的虐待初期対応ガイドラインの策定及び啓発・研修に関する研究、2.児童相談所における性的虐待対応ガイドラインの策定に関する研究、3.性的虐待の被害確認のための面接のあり方に関する研究、4.性的虐待を受けた子どもの中長期的ケアの実態とそのあり方に関する研究、の4分担研究で構成され、昨年度は実態把握と課題整理、本年度はそれらの検討を踏まえてガイドライン案を作成、現場での研修と試行を開始した。
結果と考察
分担研究1.昨年度、学校現場での性的虐待遭遇実態と関連する知識水準に関する質問紙を作成、全国国公私立幼・小・中・高・支援学校から1,066校を抽出、校種別校数に応じて配分、調査票を郵送した。校・園数として34.4%の回収率を得、本年度、集計・解析した。性的虐待事例との遭遇率は0.9%で、学校での性的虐待の発見は困難であり、対応上の課題も認められ、研修計画立案上の参考になる結果が得られた。
分担研究2.昨年度研究の結果を踏まえ、児童相談所としての対応ガイドライン試行版を作成、複数自治体の児童相談所で試行を開始した。次年度、実際の業務における適合性、実効性を検証する。
分担研究3.「被害確認面接」の具体的面接法として、米国のNICHDガイドラインをもとに日本版を開発、児童相談所における性的虐待対応ガイドラインに組込み、面接の研修を開始した。
分担研究4.全国の児童養護施設と情緒障害児短期治療施設へのアンケート調査で、82.3%の施設で性的虐待対応経験があり、対応マニュアルを作成済み及び作成中の施設は36.2%であった。先進的施設への訪問調査も行い、これらの結果をもとに性的虐待を受けて入所した子ども、入所後に性的虐待を受けていたことが判明した子どもへのケア・ガイドライン(試案)を作成した。
結論
子どもへの性的虐待に関して全国的な標準となりうる実務的ガイドラインの策定を目指している。児童相談所の対応ガイドラインは試行版が作成され、モデルとなる児童相談所において、被害確認面接も含め研修のうえ、試行実施されつつある。次年度、現場からのフィードバックを経て、ガイドラインの策定に向う。

公開日・更新日

公開日
2010-05-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-11-15
更新日
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