家族・労働政策等の少子化対策が結婚・出生行動に及ぼす効果に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200901021A
報告書区分
総括
研究課題名
家族・労働政策等の少子化対策が結婚・出生行動に及ぼす効果に関する総合的研究
課題番号
H20-政策・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 重郷(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 中嶋 和夫(岡山県立大学保健福祉学部)
  • 佐々井 司(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 守泉 理恵(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,306,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国において社会経済的要因が結婚・出生行動に及ぼす影響を明らかにすること、および政府や自治体が少子化対策として実施している家族・労働政策等がそれらの行動へ及ぼす影響・効果を検証することを通じて、今後の少子化関連施策の展開に資する研究知見を得るために本研究事業を行った。
研究方法
少子化の要因研究、政策効果研究、地方自治体の行動計画評価研究の3つの面から課題に接近した。研究方法は、人口・経済関連の公開デ-タを用いた計量経済モデル研究、就業構造基本調査等の個票データを使用した集計分析・多変量解析、地方自治体と連携したワーク・ライフ・バランスに関する質問紙調査および子育て支援の現状を把握するヒアリング調査である。
結果と考察
日本の低出生率は、未婚化の進行と出産の先送り、そしてその先送りの取戻し水準が低いことで生じている。少子化の社会経済要因の分析から、その背景には高学歴化による晩婚化、非正規就業の広がりによる結婚確率や出生率の引き下げ効果があることが見出された。出産先送りの要因には、妻の就業と母親との同別居が有意に影響していた。また、家族・労働政策の出生率に対する政策効果分析では、保育所の充実(仕事と家庭の両立支援)と労働時間短縮(WLB(ワーク・ライフ・バランス)施策)の両方において、特に25-39歳層で政策効果が表れていた。質問紙調査においても、企業のWLB施策展開により父親の育児参加が促進されれば、母親の心理的Well-being向上に資することが見出された。地方自治体の子育て支援に関するヒアリングでは、次世代育成支援行動計画の前期5年の実施を経て、基本的な子育て支援策は全国的に広まり、さらに地域独自の取組が進んできている実態を把握した。ただ、地域の取組は国の制度的な推進力や補助金の有無といった要因に左右される傾向もみられた。
結論
現在進められている家族・労働政策は一定の成果を上げてきている。少子化対策では、子育ての経済的支援だけではなく、保育サービスの量的・質的拡大と、家族形成期の男女の働き方の改革(ワーク・ライフ・バランスの実現)の3つの柱をバランスよく進めることが重要である。また、少子化関連施策の直接・間接的効果を検証するには、地域を対象とした継続的かつ詳細な調査分析が必要であり、その上で地域特性の類型化などをふまえた独自の施策と、より広域で展開される総合的な対策との連携が重要になる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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