文献情報
文献番号
200901014A
報告書区分
総括
研究課題名
「生活機能」のコード化に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-027
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
上田 敏((財)日本障害者リハビリテーション協会)
研究分担者(所属機関)
- 小野 喜志雄(国際医療福祉大学)
- 楠 正(日本薬剤疫学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,981,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班の最終目的は「生活機能」のコード化を、1)厚生統計のツール、2)「共通言語」に立った連携のツールとして、ICF(国際生活機能分類)に基づいて明確にすることである。今年度は、上記1)については、厚生統計のあり方の検討のための障害児・者の生活機能実態調査、2)では、我が国の評価点基準の信頼性の検討を目的とした。
研究方法
1)障害児・者生活機能実態調査:障害当事者参加により多数例(4,306名)で実施した。障害のある人々の多様性(性、年齢、機能障害種別、生活環境、等)の把握を重視し、その立場から現在は障害者とは認められていないが、明らかな機能障害があり、生活機能上の問題をもつ人々をもできる限り含めた。調査項目の選択は国連障害者権利条約の規定の実現状況の把握の観点で行った。
2)厚生労働省社会保障審議会生活機能分類専門委員会の評価点基準暫定案の信頼性:同案策定前に80例の患者について、理学療法士と作業療法士のペア(各18名、42組)が独立に、ICF原本の「共通評価点」を用いて「活動」・「参加」の中項目のコーディングを行ったものと、採択後に同案を用いて70例の患者に同様のペア(各15名、37組)が同様に行ったものとのκ値(検者間一致度)を比較した。
2)厚生労働省社会保障審議会生活機能分類専門委員会の評価点基準暫定案の信頼性:同案策定前に80例の患者について、理学療法士と作業療法士のペア(各18名、42組)が独立に、ICF原本の「共通評価点」を用いて「活動」・「参加」の中項目のコーディングを行ったものと、採択後に同案を用いて70例の患者に同様のペア(各15名、37組)が同様に行ったものとのκ値(検者間一致度)を比較した。
結果と考察
1)障害者・児の生活機能について、従来把握されていなかった特徴、特定の機能障害種別のみの特徴と思われていたものの普遍性などが明らかとなり、これらに基づき、障害統計において必要な具体的評価項目と評価上留意すべき点が明らかとなった。例えば多種類の「参加」項目の必要、疲れやすさ・疲労の機能障害としての位置づけ、「介護」において「手助け」と「見守り・促し」とを区別する必要、「活動」での普遍的自立(ICF評価点0)と限定的自立(同1)の区別、等である。
また、偏見(女性、子供特有のものも含む)、医療の関与、障害像の変化、高齢化等の課題も明らかとなった。
2)暫定案を使用した場合、κ値は「共通評価点」使用時と比べて著しく向上し、この基準の高い検者間信頼性を示した。
また、偏見(女性、子供特有のものも含む)、医療の関与、障害像の変化、高齢化等の課題も明らかとなった。
2)暫定案を使用した場合、κ値は「共通評価点」使用時と比べて著しく向上し、この基準の高い検者間信頼性を示した。
結論
○障害児・者の統計において、ICFが問題・課題のより的確な把握に役立つことと、その具体的留意点が明らかとなった。
○これまでの検討も含め、わが国の評価点基準の高い信頼性・妥当性が証明された。
○以上は障害児・者の統計だけでなく、広い範囲の「生活機能低下者」全般にも当てはまるものと考えられる。
○これまでの検討も含め、わが国の評価点基準の高い信頼性・妥当性が証明された。
○以上は障害児・者の統計だけでなく、広い範囲の「生活機能低下者」全般にも当てはまるものと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2010-06-04
更新日
-