屋内ラドンによる健康影響評価および対策に関する研究

文献情報

文献番号
200840031A
報告書区分
総括
研究課題名
屋内ラドンによる健康影響評価および対策に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 元(国立保健医療科学院 生活環境部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉山英男(国立保健医療科学院 生活環境部 )
  • 山口一郎(国立保健医療科学院 生活環境部 )
  • 緒方裕光(国立保健医療科学院 情報センター)
  • 笠置文善(放射線影響研究所 疫学部)
  • 藤原佐枝子(放射線影響研究所 臨床研究部)
  • 米原英典(放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター)
  • 木村真三(労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
  • 毛利一平(労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では政策判断の基礎資料となるデータを収集することを目的に、第1に、屋内ラドンの人口加重全国平均値、その分散、都道府県別の平均値とその分散を求めるために、ラドン・トロン分別測定器を用いて全国3900家屋の測定を行う。第2に、人口加重全国平均値と男女・年齢階層別の喫煙率や喫煙の肺がん相対リスクなどの既存のデータを利用し、米国環境保護庁が開発した屋内ラドンの肺がん推計モデルを用いて屋内ラドンの肺がん寄与割合を算定する。第3に、屋内ラドンによる健康影響や対策に関する重要文献を翻訳し、行政・専門家等に情報提供する。
研究方法
1)屋内ラドン測定調査
 本研究では、パッシブ型ラドン・トロン分別測定器(ハンガリーRadoSys社)を用いて、ラドンとトロンを別々に測定する。Neyman分配法に従って都道府県毎の測定数を決定した。3年間で3900家屋を目標に調査を進める。測定期間は半年で、同一地域で春夏期と秋冬期に測定する家屋を分配する。
(2)リスク推計手法
 本研究は、屋内ラドン濃度と肺がんの関連を直接調査するものではない。私たちは、米国科学アカデミーが開発し、EPAが改良した鉱山労働者の疫学調査から得られたラドンの肺がんリスク係数を援用したモデルを使ってリスク推計する。
結果と考察
(1)屋内ラドン測定調査
H19年9月―H20年2月の第1期測定データ820軒分およびH20年3月-8月の第2期測定データ828軒分解析結果を記す。屋内ラドンが換気率等の影響を受けるため、季節間変動がある。春夏期および秋冬期の屋内ラドン共に対数正規分布に従っており、両者は平行移動させることによりほぼ同一の分布となる。これを利用し、季節間変動を調整した。
 第1期、第2期測定分の35都道府県別の補正後のデータでは、0.2-590 Bq/m3の範囲で分布した。全体の平均値は、算術平均値(SD)で15.5(24.6) Bq/m3、幾何平均値(GSD)で11.3(2.1) Bq/m3であった。屋内ラドン濃度は、都道府県の一部で高い傾向がある。
 
結論
 都道府県別データは、重点施策地区を同定する手法に用いることができる。

公開日・更新日

公開日
2009-10-29
更新日
-