地域の社会情報及び地理情報を加味した健康危機情報の分析と支援システムに関する調査研究

文献情報

文献番号
200840024A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の社会情報及び地理情報を加味した健康危機情報の分析と支援システムに関する調査研究
課題番号
H19-健危・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 泰司(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団救急救命九州研修所)
  • 有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域空間情報を的確に収集し、健康危機の原因の検討に利用できる空間ドキュメント管理システム(SDMS)の操作性の向上開発を行った。また、健康危機情報の分析として、小学校の欠席状況を用いて、インフルエンザなどの流行推移から空間的特徴を発見するための分析手法の開発を行った。
研究方法
支援システムについては、SDMSの操作性向上を中心に研究開発した。空間アノテーション機能を一般配布用のSDMSの基本機能として実装した。カーネル法濃淡図と、単純濃淡図の可視化の手段をSDMSの基本機能として導入した。ウェブ上の健康危機ニュース情報の自動収集・自動マッピング機能の検討と実装を行った。健康危機情報の分析では、小学校の児童欠席率を用いて、地域の相互影響強度を学習していくモデルをさらに精緻化した。また、地形を考慮したクリギング図作成し、そうでない場合との比較検討を行った。
結果と考察
支援システムについては、空間アノテーション機能により、空間分布の属性値のデータを負担無く準備できる利用者環境を実現できた。「健康危機管理支援ライブラリーシステム」に集まる健康危機ニュース群の地図化の自動化を試みた。このウェブページはニュースのソースであるウェブページをURLを使って指している。その参照先は、その種類も形式も非定型であり、SDMSが有効であることが分かった。健康危機情報の分析では、過去の流行の直感的な流行方向把握が困難なため、有効な可視化方法の開発が特に重要である。地形を考慮したクリギング図により流行スポットは流行原因に区分されて示された。
結論
支援システムについては、SDMSの完成度を上げ、実利用に耐えるものに仕上げる。RSSの枠組みを用いたウェブ上の健康危機ニュース情報を自動収集・自動通知・自動マッピングの機能の実現と実証実験を行う。SDMSの e-learningの教材を整備し、保健医療分野における空間情報システムの利活用の普及をめざす。健康危機情報の分析では、学校欠席状況だけを用いて、少なくともインフルエンザ相当の感染力を持った感染症であれば早期かつ地域性を明らかにして把握できる。今後、他地域のインフルエンザ流行期に適用し、結果の検証および比較検討をおこない、流行傾向分析として発展させる。地形や道路・鉄道といった自然的条件や社会的条件が、流行に与える影響についても考察する。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
-