通信連絡機器を活用した健康危機情報をより迅速に収集する体制の構築及びその情報の分析評価に関する研究

文献情報

文献番号
200840017A
報告書区分
総括
研究課題名
通信連絡機器を活用した健康危機情報をより迅速に収集する体制の構築及びその情報の分析評価に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域における健康危機を迅速に察知する方法として、携帯電話とインターネットを活用して、通常と異なる症状を自覚した国民から直接、リアルタイムで健康状態に関する情報を収集する方法を検討し、その実行可能性と有効性を検証することを目的とする。
研究方法
・北海道洞爺湖町周辺において家庭用PCを媒体とした31日間連続の調査を、島根県出雲市において3群に分けたモニタに対してそれぞれ2日置き21日間(合計63日間)の調査を行った。
・洞爺湖町周辺のモニタに対しては毎日、出雲市のモニタに対しては3日に1度、電子メールにて世帯構成員の健康状況に関する調査協力を依頼し、協力者には、24時間内に、ウェブサイト上に設置した専用画面を通じて、世帯内における直近72時間の健康情報を入力して頂いた。
・得られた毎日の症状別発症者数をEarly Aberration Reporting Systemで解析し、島根県発生動向調査の結果と同一地域で収集された学校欠席者サーベイランス及び外来症候群サーベイランスと結果と比較した。
結果と考察
・出雲市調査の結果、回答を3日に1回としても、サーベイランスの実施に大きな問題はないが、連日回答調査と比べた回答率の大幅低下の原因を解明する必要がある。またデータのバラツキは生じたがインフルエンザと感染性胃腸炎の季節的流行を捕捉しており、早期探知は可能であった。
・モニタの協力を引き出すインセンティブについて、回答1回あたり20円程度の差別化は、モニタの協力意向に影響を及ぼさないものと考えられる。
・日本生協連等との協働により、独自のモニタの確保方策、および研究班独自のデータ収集・分析システムを確立できた。モニタ数の拡大、直接経費の大幅削減が見込まれ、研究遂行上の課題を一度に解決できる可能性が示された。
結論
・症状に対する対処に関して「何もしない」という回答の有症報告数に対する比率が32%、「自宅で安静」も22%を占めた。既存のサーベイランスでは捕捉しきれなかった潜在的な健康状況の異常を、本研究で構築した症候群サーベイランスによって捕捉することができたと言える。
・連日ではなく3日に1回の調査でも(一定の回収数があれば)十分であることが分かり、本サーベイランスを長期運用する一方法が示された。一方できめの細かいサーベイランス調査のためには毎日同一の回答群に対して調査をした方が日ごとのバラツキが解消されると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
-