化学物質、特に家庭内の化学物質の暴露評価手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200839004A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質、特に家庭内の化学物質の暴露評価手法の開発に関する研究
課題番号
H18-化学・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
神野 透人(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第一室)
研究分担者(所属機関)
  • 杉林 堅次(城西大学薬学部 薬粧品動態制御学講座)
  • 辻 清美(神奈川県衛生研究所)
  • 林 留美子(愛知県衛生研究所)
  • 田中 博子(滋賀県衛生科学センター)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第二室 )
  • 香川 聡子(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第一室 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
24,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、家庭用品に由来する化学物質の多経路 (経気道・経皮・経口) 暴露について体系的な評価手法を確立することである。平成20年度はエンペントリンを活性成分とする衣料用防虫剤の放散挙動を解析し、活性成分の暴露シミュレーションを実施した。また、平成19年度に放散試験を行った蚊取り製剤について、室内空気中濃度に関する実態調査を行った。さらに、経皮暴露された化学物質の皮膚透過性並びに作用様式 (全身作用・局所作用) の予測手法についても検討を行った。
研究方法
容積24 m3のモデルルームに設置した洋服タンス内の防虫剤から放散される活性成分の室内空気中濃度及び壁・床・天井への付着量をGC/MSにより定量した。放散挙動の解析及び暴露シミュレーションにはCONTAM 2.4を使用した。熱蒸散性 (プラレトリン) 及び常温揮散性 (トランスフルトリン、メトフルトリン) 蚊取り製剤使用時の室内空気中活性成分濃度はそれぞれ固相吸着/溶媒抽出-GC/MS法、加熱脱離-GC/MS法で定量した。皮膚透過性試験にはヘアレスラットから摘出した腹部皮膚を、細胞毒性試験には真皮線維芽細胞を用いた。
結果と考察
衣料用防虫剤の活性成分はモデルルームの空気中のみから検出され、壁等からは不検出であった。洋服タンスの換気回数実測値及び小形チャンバー法で測定した活性成分放散速度を用いて解析を行った結果、タンス開扉に伴う気中濃度の変動を精度良くシミュレーション出来ることが明らかになった。実態調査による蚊取り剤活性成分の室内空気中濃度 (中央値) は、プラレトリン 2.7 ug/m3、トランスフルトリン 0.86 ug/m3、メトフルトリン 0.34 ug/m3であった。経皮暴露評価モデルでは、ダイアジノンの皮膚透過係数は角層落屑速度よりも小さいこと、経皮暴露したp-クレゾールの皮膚内濃度と真皮線維芽細胞に対する細胞毒性から真皮部での局所的な作用の有無を予測できることが明らかになった。
結論
衣料用防虫剤についてのモデルルーム放散試験を実施し、暴露シミュレーションモデルを構築するとともに、過年度に実施した蚊取り製剤放散試験の妥当性を一般家庭での実態調査により検証した。また、化学物質の経皮暴露に関して、皮膚透過性と作用様式を解析するための一連の評価手法を確立した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200839004B
報告書区分
総合
研究課題名
化学物質、特に家庭内の化学物質の暴露評価手法の開発に関する研究
課題番号
H18-化学・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
神野 透人(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第一室)
研究分担者(所属機関)
  • 杉林 堅次(城西大学薬学部 薬粧品動態制御学講座)
  • 辻 清美(神奈川県衛生研究所)
  • 林 留美子(愛知県衛生研究所)
  • 田中 博子(滋賀県衛生科学センター)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第二室 )
  • 香川 聡子(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部第一室 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
家庭用品に由来する化学物質の室内環境中での暴露評価スキームの確立を目的として、使用頻度及び生体影響の観点からバイオサイドに着目し、換気を制御したモデルルームでの放散実験により室内環境中での化学物質の挙動を解析するとともにシミュレーションモデルの構築を行った。また、暴露された化学物質の吸収、特に経皮吸収に関してその透過速度を予測するためのin vitro評価系の開発を行った。
研究方法
容積24 m3のモデルルームを設置し、ハエ・蚊用エアゾール剤 (活性成分: レスメトリン/フタルスリン)、液体蚊取り剤 (プラレトリン)、ゴキブリ用エアゾール剤 (イミプロトリン/フェノトリン) 及び衣料用防虫剤 (エンペントリン) の4製剤について放散試験を実施した。液体蚊取り製剤については室内空気中濃度に関する実態調査を行って放散試験結果の妥当性を検証し、使用頻度が急増しつつある常温揮散性ピレスロイド剤についても併せて暴露評価を行った。経皮暴露in vitro評価系の開発にはヘアレスラット腹部皮膚及び真皮線維芽細胞、ピレスロイド系殺虫剤の解毒代謝に関する研究にはHEK 293細胞で発現させたヒトカルボキシルエステラーゼ (CES) を用いた。
結果と考察
ハエ・蚊用エアゾール剤、液体蚊取り剤、ゴキブリ用エアゾール剤及び衣料用防虫剤の放散試験を実施し、それぞれの活性成分の挙動を明らかにした。衣料用防虫剤についてCONTAM 2.4によるシミュレーションを行い、空気中濃度の変化を精度良く予測できることを明らかにした。また、液体蚊取り剤に関する実態調査から、モデルルーム放散実験の結果は実際の使用状況下での暴露濃度を概ね反映していることを確認した。経皮暴露のin vitro評価では、皮膚透過係数、皮膚中残存濃度及び真皮線維芽細胞に対する細胞毒性を指標とする暴露量及び作用様式 (全身作用・局所作用) の推定方法を確立した。さらに、CES分子種によるピレスロイド系殺虫剤の加水分解には選択性が認められ、暴露経路依存的な解毒代謝活性の差異が存在する可能性を明らかにした。
結論
本研究では、家庭用品に由来する化学物質、特にバイオサイドの多経路 (経気道・経皮・経口) 暴露の体系的な評価に必要な一連の手順を提示した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200839004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ピレスロイド剤を活性成分とする衣料用防虫剤の放散挙動の解析及び暴露シミュレーションは、一般用医薬品及び医薬部外品としての殺虫剤の室内使用時のリスク評価やGHS分類におけるヒト暴露量の推算手法を補完する上で貴重な研究成果である。また、in vitro経皮暴露評価による皮膚透過係数及び作用様式の解析手法は、家庭用品に由来する化学物質のみならずナノマテリアルの安全性評価手法としても高い関心を集めている。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
カルボキシルエステラーゼによるピレスロイド系殺虫剤の解毒代謝に関する研究は、研究成果及び発表技法が優れた講演として、平成20年度室内環境学会年会において顕彰された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
2016-06-16