文献情報
文献番号
202127026A
報告書区分
総括
研究課題名
『新しい生活様式』に即した環境因子の変化に伴う熱中症発症因子の検討
課題番号
21LA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科救急医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 神田 潤(帝京大学 医学部)
- 鈴木 健介(日本体育大学 保健医療学研究科)
- 阪本 太吾(日本医科大学付属病院 救命救急科)
- 林田 敬(慶應義塾大学 医学部救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
毎夏の熱中症の発生は発熱性疾患の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延との重なりにより、救急医療への負担を増大させる。本研究は、新しい生活様式、ウイズコロナの中で熱中症をいかに安全に予防すべきか、広く国民に正確な情報を提供することを本研究の目的とする。
研究方法
主として下記の研究を行う
①新しい生活様式下での熱中症発症のリスク関連因子の評価を行うため、医療機関で熱中症と診断された対象の情報を収集する。また対象の一般診療情報を解析し、病態や治療の現状を把握し、発生の予防に向けた地域医療へのアプローチを検討する。
研究の種類・デザイン:前向き観察研究
方法: 2021年6月1日(予定)から9月30日までの期間に、日本救急医学会に登録された医療機関(日本救急医学会指導医施設約140施設)で熱中症と診断された患者。
診療録から、年齢、性別、来院方法、発生状況、現場でのバイタルサイン、既往歴、生活歴、来院時の所見(身体所見、採血結果など)、発生要因、治療法、転帰に関する情報を匿名化してwebで登録し、その後に集計・解析を行う。また、同時に別個のマスク着用の有無に関する症例抽出を行い、マスク着用の来院時深部体温や熱中症重症度、バイタルサインや血液データとの関連性を検討する。
②熱中症予防ツールの開発と継続的データ収集:日本救急医学会の熱中症レジストリデータより開発された、熱中症重症度スコアリング(J-ERATO score)や、日本救急医学会熱中症分類の症状を基にした、熱中症診断アプリの開発を行い、広く全国の救急医療機関、救急隊、介護従事者やヘルスケアプロバイダ、市民に周知させる。また、熱中症予防ツールを使用した市民や医療従事者に追加のアンケートを施行し、更なる改善を図る。
①新しい生活様式下での熱中症発症のリスク関連因子の評価を行うため、医療機関で熱中症と診断された対象の情報を収集する。また対象の一般診療情報を解析し、病態や治療の現状を把握し、発生の予防に向けた地域医療へのアプローチを検討する。
研究の種類・デザイン:前向き観察研究
方法: 2021年6月1日(予定)から9月30日までの期間に、日本救急医学会に登録された医療機関(日本救急医学会指導医施設約140施設)で熱中症と診断された患者。
診療録から、年齢、性別、来院方法、発生状況、現場でのバイタルサイン、既往歴、生活歴、来院時の所見(身体所見、採血結果など)、発生要因、治療法、転帰に関する情報を匿名化してwebで登録し、その後に集計・解析を行う。また、同時に別個のマスク着用の有無に関する症例抽出を行い、マスク着用の来院時深部体温や熱中症重症度、バイタルサインや血液データとの関連性を検討する。
②熱中症予防ツールの開発と継続的データ収集:日本救急医学会の熱中症レジストリデータより開発された、熱中症重症度スコアリング(J-ERATO score)や、日本救急医学会熱中症分類の症状を基にした、熱中症診断アプリの開発を行い、広く全国の救急医療機関、救急隊、介護従事者やヘルスケアプロバイダ、市民に周知させる。また、熱中症予防ツールを使用した市民や医療従事者に追加のアンケートを施行し、更なる改善を図る。
結果と考察
①新しい生活様式における熱中症発症のリスク評価:Heat stroke STUDY2020-21:全国138施設の協力を得て、2021年は659例のデータを収集した。なお、同じコロナ禍であった2020年の登録は1081例であり、今年度は8月後半の冷夏の為もあり、患者発生が少なかった可能性がある。一方、死亡率は8.4%→9.1%と微増していた。また、Active cooling(冷却デバイスや冷水浸漬を用いた積極的な冷却)施行率は33.5%→22.3%に低下していた。マスク着用下の発症は53例(18.2%)→110例(27.9%)と増加傾向が見られた。ちなみに発症形態は屋外発症が増加していた523例(49.3%)→336例(53.2)。なおマスク着用の有無で死亡率や来院時体温に差は見られなかった。
②熱中症予防ツールの開発と継続的データ収集
ダウンロード数は6月1日から10月31日までの間に1,219件に及び、実際に患者発生の際に使用された件数は245件(平均年齢41.7歳)であった。全体の66.5%の患者がマスクを着用していたものの、マスクの有無と体温に直接的な関連は見られないことが明らかになった。また、マスク着用の有無と重症度の差異は見られなかった。学校教職員、ライフセーバー、救命救急士学生などのヘルスケアプロバイダー(HCP)や、一般市民を対象としたアプリケーションの周知とアンケート調査も行ったが。HCP、一般市民ともに、熱中症診断補助スケールとアプリの使用について好意的な意見が見られた。一方、一般市民において「なまあくび」や「集中力・判断力の低下」は評価が難しいと回答が多かった。
②熱中症予防ツールの開発と継続的データ収集
ダウンロード数は6月1日から10月31日までの間に1,219件に及び、実際に患者発生の際に使用された件数は245件(平均年齢41.7歳)であった。全体の66.5%の患者がマスクを着用していたものの、マスクの有無と体温に直接的な関連は見られないことが明らかになった。また、マスク着用の有無と重症度の差異は見られなかった。学校教職員、ライフセーバー、救命救急士学生などのヘルスケアプロバイダー(HCP)や、一般市民を対象としたアプリケーションの周知とアンケート調査も行ったが。HCP、一般市民ともに、熱中症診断補助スケールとアプリの使用について好意的な意見が見られた。一方、一般市民において「なまあくび」や「集中力・判断力の低下」は評価が難しいと回答が多かった。
結論
新しい生活様式による環境因子の変化が、熱中症の発症にどのように影響を与えるか検討し、熱中症と感染症予防の両立の評価を行うことができた。とくに、アプリケーションは現場で使用でき、入力が簡便であることが示唆された。ヘルスケア従事者と一般市民の選択方法、収縮期血圧の入力方法、一般市民の症状の選択について改善をする必要がある。
公開日・更新日
公開日
2022-10-04
更新日
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