文献情報
文献番号
202127006A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模イベント時の健康危機管理対応に資する研究
課題番号
19LA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 森村 尚登(東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻 生体管理医学講座 救急科学分野)
- 冨尾 淳(東京大学 大学院医学系研究科)
- 和田 耕治(国際医療福祉大学 大学院医学研究科公衆衛生学専攻)
- 市村 康典(岡山県 保健福祉部)
- 島田 智恵(国立感染症研究所 実地疫学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
12,600,000円
研究者交替、所属機関変更
島田研究分担者の所属が国立感染症研究所実地疫学研究センターに変更になった。
市村研究分担者の所属が国立国際医療研究センター国際医療協力局に変更になった。
研究報告書(概要版)
研究目的
オリンピック・パラリンピック等、大規模な国際イベント(マスギャザリングイベント)は、感染症を筆頭に、様々な健康危機を発生させるリスクを孕んでいる。想定されるリスクを評価し、平時の健康危機への対応能力と必要な対応リソースのギャップを分析し、計画的な対応能力の強化を行うとともに、中長期的な対応能力の向上に結びつける遺産化(ヘルス・レガシー)が求められる。2019年度から2020年度にかけては、G20、ラグビーW杯、東京オリンピック・パラリンピック等、注目度が高い大規模国際イベントの国内開催が相次ぐことから、これらに対して健康危機管理対策として計画され、実行される国及び自治体における健康危機管理対策と対応を、それぞれの特性(開催主体、ステイクホルダー、参加者、開催地などの違い)を踏まえ、計画の過程から体型的に記録し、事後に検証すること、そして、今後のマスギャザリングの保健医療対応能力の向上に資する資料を作成することを第一の目的とする。第二に、マスギャザリングイベントへの保健医療分野の対応は、諸外国に共通する問題であることから、国際連携体制の構築に関する検討を行う。
今年度は、コロナ禍で延期され2021年度に実施された東京2020オリンピック・パラリンピック大会における新型コロナ感染症対策を記述的にとりまとめ、その知見を幅広く共有することを目的とした。
今年度は、コロナ禍で延期され2021年度に実施された東京2020オリンピック・パラリンピック大会における新型コロナ感染症対策を記述的にとりまとめ、その知見を幅広く共有することを目的とした。
研究方法
研究代表者をはじめ、各分担研究者で以下の課題に取り組んだほか、適宜グループでの会議、全体の班会議を実施し研究を遂行した。新型コロナウイルス感染症が発生している状況を鑑み、ウェブ会議等を使用した意見交換等を進めた。収集情報や、報告書についてはウェブサイトにて情報還元を行った
・アフターアクションレビュー手法の検討・オールハザード対応
・官学連携体制に関する検討
・公衆衛生リスクの検討
・海外事例の検討
・新型コロナウイルス感染症発生下におけるマスギャザリングイベントの実施に関する検討
・アフターアクションレビュー手法の検討・オールハザード対応
・官学連携体制に関する検討
・公衆衛生リスクの検討
・海外事例の検討
・新型コロナウイルス感染症発生下におけるマスギャザリングイベントの実施に関する検討
結果と考察
日本は、この20年の間に様々な国際的なマスギャザリング・イベント、あるいは各国のVIPが参集する国際的に注目度の高いイベント(high visibility)イベントを経験してきた。WHOは、マスギャザリングイベントは、「特定の場所に特定の目的を持ってある一定期間集まった人々で、その国やコミュニティの計画・対応リソースを制限する可能性があるもの」として定義する。特に計画されたマスギャザリングでは、そのイベントを安全に開催すると共に、地域へ負の影響を与えないような十分な準備が求められる。また、世界的には、健康危機に対する対処能力の底上げを図る取り組みの中で、マスギャザリングイベントの実施における準備は、公衆衛生危機に対する対応能力を向上する機会として重視されている。このようなイベントの実施における準備や対応について、記録し教訓を伝えていくことが非常に重要である。
2013年9月に東京でのオリンピック・パラリンピック開催の決定後、公衆衛生分野においてもさまざまな準備が進められてきた。公衆衛生対策の関心は主に熱中症、自然災害、輸入感染症、テロリズムであった。しかし、開催直前の2019年末に新型コロナウイルス感染症が発生し、ほどなくしてパンデミックへと進行し、世界の状況は一変した。結果的に1年延期しての開催が決まったが、大会における新型コロナウイルス感染症対策が何よりの関心事となった。さらには感染・伝播性の高い変異株の出現など、対策はさらに難しさを増した。開催直前には、東京で感染者が増加し、緊急事態宣言下で大会が開催されるに至った。パンデミック下でこのような国際的マスギャザリングイベントを行うという非常にチャレンジングな状況であり、準備にかける時間も限られていたが、刻々と変わる状況に合わせて、安全に大会を行うための取り組みが進められてきた。最終的に、本研究班で、東京2020大会における新型コロナウイルス感染症対策について、一連の公衆衛生取り組みを俯瞰的に記録することができた。今後、国内外で、今後のマスギャザリングにおける公衆衛生対策やCOVID-19流行下での社会活動に役立てられることが望まれる。
COVID-19パンデミックと東京2020大会の予期せぬ延期により、研究班の成果はCOVID-19対策が中心になったが、今後、アフターアクションレビューをさらに深め、今後につながる知見が導き出されることが期待される。
2013年9月に東京でのオリンピック・パラリンピック開催の決定後、公衆衛生分野においてもさまざまな準備が進められてきた。公衆衛生対策の関心は主に熱中症、自然災害、輸入感染症、テロリズムであった。しかし、開催直前の2019年末に新型コロナウイルス感染症が発生し、ほどなくしてパンデミックへと進行し、世界の状況は一変した。結果的に1年延期しての開催が決まったが、大会における新型コロナウイルス感染症対策が何よりの関心事となった。さらには感染・伝播性の高い変異株の出現など、対策はさらに難しさを増した。開催直前には、東京で感染者が増加し、緊急事態宣言下で大会が開催されるに至った。パンデミック下でこのような国際的マスギャザリングイベントを行うという非常にチャレンジングな状況であり、準備にかける時間も限られていたが、刻々と変わる状況に合わせて、安全に大会を行うための取り組みが進められてきた。最終的に、本研究班で、東京2020大会における新型コロナウイルス感染症対策について、一連の公衆衛生取り組みを俯瞰的に記録することができた。今後、国内外で、今後のマスギャザリングにおける公衆衛生対策やCOVID-19流行下での社会活動に役立てられることが望まれる。
COVID-19パンデミックと東京2020大会の予期せぬ延期により、研究班の成果はCOVID-19対策が中心になったが、今後、アフターアクションレビューをさらに深め、今後につながる知見が導き出されることが期待される。
結論
2021年度に延期されて実施された東京2020オリンピック・パラリンピック大会における新型コロナウイルス感染症に関する知見を取りまとめ、国際的に還元することができた。
公開日・更新日
公開日
2022-10-13
更新日
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